少女の旅路と優男の思惑8
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ザザ~ンと波が寄せては引いていく、そんな海岸に一人の男が馬にのり走っていた。
「まったく…幕府にも困ったものだ、結局、鯉太郎たちとは別行動になるし」
愚痴をこぼす青年の名は、上杉龍之介、上杉謙信と武田信玄の隠し子の子つまりは孫にして、龍虎の血を引き継ぎし青年だ。
「康虎に言い訳できないな…」
青年は走っていた、いまこうしている間にも友の命が危ういのだから。
「くそ…竹千代、間に合ってくれ」
ただ、海路を使って逃げているのに馬ではとうてい追いつけない…と気がつくころには備前まで来てしまっていた、そのせいで、巻き込まれてしまうのを彼はまだ知らない。
その頃その竹千代は…というと。
「♪~」
呑気に口笛を吹きながら船の床に座っていた。
「口笛、お上手ですね」
友の心、本人は知らず…とはこのことである。
「ん…あぁありがとう」
ニコ…と笑ってごまかさそうとする家光が、一言もらした。
「すまないな…この恩はわすれない」
「気にしないでください…若様」
堅い空気が二人の間にはながれていた。
こうして一人は馬に乗り情報を集めながら西へ西へと走り、二人は四国までの船旅をたのしみ、六人は港によるたびに、飯屋におもむき、 兄妹は衝動を抑える練習をし、一日が過ぎていった…。
お待たせしました_(_^_)_