少女の旅路と優男の思惑4
タイトル修正
鯉太郎が龍之介と忠治の三人で夕餉を食べているころ。
幕府のお膝元こと江戸では巽と龍太が宿で休んでいた。
「なぁ兄ちゃん、将軍様にはいつ会えるんだ?」
妹は少しだけ不安だった、なぜならここまできて空回りに終わる可能性があるからだった。
「う~ん…まだなんとも言えんな、あの侍たちも城に帰ったらしいからな、明日になったらわかるだろう」
兄も少しは不安なのかもしれない。
一方その頃、将軍が住まう城では…
「戻ったか、お疲れ様…龍の使者は?」
「はっ龍太と巽という、兄妹です」
「家光様~どうします?秀忠様に会わせますか?~」
「…」
こちらも相談が始まっていた。
「いや、義盛に草の者を差し向けてある…そして、その兄妹には私と福をさらってもらう、それで鯉太郎と龍之介と義盛と合流して皆で義兄のいる九州に向かい父を討つ機会を作ろうと思う」
なんとも壮大な計画であった。
「…では家光様、決行はいつになさいますか?」
「今より三日後だな、ちょうど江戸の祭りだ…どさくさに紛れて、行くぞ!」
こうして徳川幕府始まって以来初の嫡子遁走事件の幕が切って落とされたのであった。
その頃、徳島の大麻山では。
「種は取っておけ、竹からの言伝だ…近い内に龍之介と鯉太郎が来るらしいからな、あと福母ちゃんも…あまり会いたくないが仕方ないたったかやるぞ!野郎共 !」
「おぉ!」
威勢の良い声が山を駆け巡っていた。
巽と龍太、龍之介、鯉太郎、忠治…彼達の知らぬところでこの物語は山場を迎えようとしていた。
失礼いたしましたm(_ _)m