人狩り少女と優男2
今日は鍋だと聞いて巽は喜んでいた…ただ犠牲になった人に対しては申し訳ないな…と一人思っていたりする、そんなありふれた日の夕食での会話…
「なぁ兄ちゃん、明日は俺も行かないとダメか?」
ズズっと小分けにした椀をすする巽は兄に聞いていた
「あぁ…人狩りはこの里の絶対だらな俺たちの父ちゃんもまたその上の父ちゃんや母ちゃんだって人狩りはしてたんだからな!」
「なんで人狩りなんか、してんだ?いつも聞いてるけどよぉ兄ちゃんもっかい教えてくれよ…」
実際は巽は乗り気では無かった…なぜ同じ人間なのに喰わないといけないのかが、わからなかったからだ
「しかたないやつだなぁ…ん~、たしか神様のため?だったっけ…か?」
そして二人の兄妹の夕食はいつもそんな話から始まる
「あぁそうさ…鎮守の森の神様が、決めなさった、ことさ」
と母がハフハフと鍋を食べながら二人の話に割って入った
「でもおんなじ人間だろ?」
「違うぞ!巽…俺たちは龍だ」
兄はどこか、暗い顔をしていた
「龍?」
「いつも俺たちが人狩りを始める時に龍の面…かぶってるだろ?」
「うん」
「そういうことだ…とごちそうさま…母ちゃんうまかったよ」
「またがんばりなよ?」
まだ母は食べていた
こうしてこの三人家族の夜は更けていくのであった