少女の旅路と優男の思惑2
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こうして兄妹の旅が幕を上げて三日が過ぎた
「おらぁ!巽行ったぞ!」
「うん!兄ちゃん!」
ただいま盗賊と出会い肝補充のため戦闘中だ、種を飲めば良いのだが、村の人たちのぶんもあるためこの兄妹たちは肝を変わらずに食べ続けることを、選択したのだった
「死ね!」
巽は左手に付けた爪で相手の体を押さえつけ右手の爪で首を掻き斬る、そのとき血が噴水を上げるが、気にせず押さえつけた左の爪を押し込み相手の肋骨をへし折りながら心臓を潰す…熊のときは抜き出したが人相手ならグロい、という理由で潰すのだが…
「肉の…感触が…気持ち悪い、ぅえ」
とのことである
ちなみに右の爪は手甲のため左のように器用には使えないため、我々の感覚で言うならばフォークとナイフみたいである
「おっらぁ!死ねー!」
龍太は得物を新調したため絶好調であった黒光する刀身は欠けることなく持ち主の要望に遺憾なく答えている
「ってめえら!引け引けー!絶対生き延びろ!」
盗賊の頭が叫ぶ…だが
「…すまぬな」
「逃がさないよ~?」
「お覚悟を」
侍三人が逃げ道にまわっていた
虎口を逃れて龍穴に入るという言葉があるが今の状況はさながら 龍穴を逃れて侍に出会う…と言ったところであろう
「っく、くそ!くそ!くそ!…なんだってんだ、ちくしょう!」
もはや後がない盗賊たち…だがそれが最後の言葉になってしまった
「終わりだぁあぁ!」
龍太が刀を腹に突き刺し刀を捻る、こうして空気を入れ刀を抜けやすくするのだが…腹から血が舞ったのち止まらない赤、赤い血、やがて動かなくなり血も黒くなっていった…
「ごめんな、俺たちの生きるためだから…」
巽は全身に血を浴びながら人を殺した、相手の心音を自ら止めて殺す、そこにあるのは暖かい、盗賊であり一つの骸…罪の意識こそあれど、仕方ないと巽は割り切ろうとした…だが
「ぉえ…ォボゥえ」
胃の内容物を全て吐き出し涙を流していた
ただ龍と出会ったがためにこの盗賊たちは命を手放してしまっただが
「巽…肝だ、喰っとけ」
兄妹の明日に繋がったのが盗賊の救いなのかもしれない
そして、ベチャっと音がした…そこには盗賊から抜き取った肝が転がっていた
「うん」
こうして二人の旅は再開された…
そうこうしているうちに幕府のお膝元である街に来ていた…
「おっきいな~兄ちゃん!」
「おっ…おうでかいな」
次の瞬間ドン!と誰かがぶつかってきた
「ちょいとごめんよ」
「痛いじゃねえか!」
「わりいわりい坊主許せ、な?団子でもおごってやっからよ?」
「俺は女だ!ふざけんな!」
まだまだ前途多難の巽であった
よろしくお願いします<(_ _)>