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04:「『知らない…人と……キス…しちゃった……』…??」

やってしまった。


見ず知らずの通行人にキスしてしまった。



昔から集中しすぎたり、熱中しすぎたりすると周りが見えなくなる。


星太は分かっていたはずだったが、「やってしまった感」で溢れてくる涙のせいで


よけいにパニックに落ちいっていた。



(俺の大バカやろう!公衆面前で見ず知らずの女子高生にいきなりキスするとか変態じゃねーか!!)


そう、キスした相手は制服から見て女子高生。


それも恐らく星太たちと同じく麗月高校の人だ。



キスされた女子高生もパニックになってるようで、顔を真っ赤にして立ちすくんでいた。


透き通るような色白の肌。真っ黒で背中まで伸びた髪。


そして先ほど自分の触れたであろう、桃色で光を反射している唇。


かなりの美少女だった。


麗月でもトップクラスの顔立ちだった。



そしてそんな初対面の美人に恐れ多くも口づけをしてしまったこと。


それが自分の彼女に与えるはずだったファーストものだったということ。


公衆面前、朝一番で多くの人が見ている中でやってしまったということ。



いろんな最悪が重なって、耐えきれず泣きながら星太はその場をダッシュで離れた。





学校に着いても、トイレの個室でひたすら涙をこらえていた。


『反省に反省を加えろ』という父の名言を思い出していたが、


いくら反省しても後悔しか出てこず、自分の頭を殴る事しかできなかった。





幸い、あの場にクラスメートは居なかったのか。


誰にも突っ込まれる事無く、学校は終わった。



「おい入江。なんだよ今日ブルーじゃねえの。」



眼鏡で長身、顔は普通といったところの少年が机に突っ伏している星太の頭を叩いた。


絈野 篤史(かせの あつし)。よく絡んでくれる星太の友達だった。


ひょうきんで空気読めないけど、俺もあんまり人の事は言えないので、というのが星太の本音だ。



「篤史放っといてやりなよ。


 今朝、上谷さんもなんかブルーだったし、なんかあったに決まってんだろ。」



星太の隣に座っている、金髪のイケメンがつぶやいた。


女たらしの異名で有名(?)な、この波賀 飛風(はが あすか)は、


勉強できるスポーツできるつまりすべてにおいてイケメンであった。



一方星太はというと、イケメンに図星を突かれ、虚ろな表情をした顔を上げた。


「…で、なにがあったんだよ。」


飛風はため息まじりに尋ねる。


星太はその呆れのまじった飛風の顔を見て、力一杯涙をこらえながらぶつぶつ言い始めた。


「あ?なんだって??」


飛風は耳を星太の口元へ寄せる。


「……ん?『知らない…人と……キス…しちゃった……』…??」


「えー!!お前……っ!」


篤史が声を上げる。


「バカ、声がでかい。」


飛風は冷静に篤史の口を塞ぐ。


放課後になっていてクラスメートも散り散りになっていたため、


残っていた数少ない生徒たちは教室にこだました篤史の声に驚き、一斉にこっちを見ていた。


「…どういうことなのさ。」


一瞬の沈黙が消え、さきほどのように適度にうるさい声が教室に戻ってきたのを確認し、


飛風は星太に問いつめた。


星太は今朝のことを涙を必死にこらえながら話していった。

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