01:「あのさ…なんなの?」
「あのさ…なんなの?」
物語は唐突に始まった。
「なにって……今日で付き合って一年記念だね…て…。」
「そんなの分かってるわよ!そうじゃなくて!」
「…そうじゃなくて?」
「…っ!その…!なんで一年も経つのに……そういう事…一切してこないワケ!?」
「……?そういう事?」
「…っっっっ!!!…その…キスとか!!その先とか!!」
「っっ!!」
「…この…意気地なし!!!」
ダッ
「……。」
…さて、この唐突すぎる展開をご理解できない読者樣方の為に
説明しよう。
主人公は高校二年生の入江 星太。
おそろしいほど純粋無垢で、まじめだ。
…まぁ、悪く言えば『超草食系男子』である。
かたやその『超草食系男子』の彼女。
上谷 優衣。
付き合って今日で一年を迎える二人だったが、
純粋すぎる星太は自分から何かを仕掛ける事を知らず。
それに頭に来たのか、優衣は星太に罵声を浴びせてさっさと去ってしまった…という流れだ。
どちらが悪いとは言えないこの痴話げんか。
まぁ、ある意味どちらも悪いが。
「……キス…。」
顔を真っ赤にしている星太。
その姿を、肉食系ショタコン女子が見たらよだれダラダラは確実である。
性行為はおろか、キスすらも未経験。
その単語一つで真っ赤になれる男子高校生はこの星太を置いて他に無いだろう。
「俺だって…別に…したくないワケじゃ…。」
一人取り残された空間で、星太はボソッとつぶやいた。