第6話 お肉増々緑野菜丼
荷物運びから帰ってくるとリット達がイスに座って何やら怪しい会話をしていた。
何をしていたのかと問うと俺の昔のことを話していたと言われた。
きっと母さんのことだ。
昔の話と言っておきながらその中でも面倒なことになりそうな話題を出していたに違いない。
だからどんな内容だったのか知りたすぎるがさすがにそれを聞くと自分がどう思われてたか知りたいやつみたいになりそうだから聞くのはやめておくことにしよう。
そんなことをしているとリットは「そろそろ帰るから!」と言ったあとに「オル、めっちゃ嫌だけどお幸せに!」と余計な一言を添えて帰っていった。
とにかく今日はいつも以上に疲れた気がする。
ここに来るまでに結構歩いたしそれにここに来てからは色々と厄介に絡まれっぱなしだ。
さっきの荷物運びの時だってそうだ。
「隣にいたべっぴんさん、お前の女か?」と言われた。
もうここまで来たら慣れたもんだ。
その質問に表向きでは無表情で対応することが出来るようになった。
いらん能力を手に入れてしまった。
もしかしたらここでは重宝するかもしれないが。
そんなことを考えてるうちにどうやらご飯が出来たらしい。
「みんな出来たわよ〜!!」
「わぁ! 美味しいです!」
「まだリシア、口にすらついてないわよ」
「運動のあとのご飯はうまいからな!!!」
「ダント、いつの間に戻ってきてたんだよ」
「オルの父さんすげぇな!!」
「君もなかなかだったぞ!!」
なんかこの二人相性が良いのかもしれないな。
「ここ狭いし俺、ソファーの方で食べるよ」
「持っていくから待っててね〜!!」
「わ、私も....」
「ん? リシアちゃんもそっちで食べるの? 持ってくから待っててね〜!!」
なんだか嫌な予感がするんだが。
この匂い....。
「オル、今日疲れた?」
「結構疲れたー。それよりリシアはあっちで食べなくてよかったのか?」
「せ、狭いし!」
「そっか」
このソファー、あんまり大きくないのにここに二人も座ったら向こうより狭いんじゃないか。
てか近っ。
俺、まだ風呂に入ってないけど汗臭くないか。
いろんなこと気になりすぎる....。
「はーい。これがリシアちゃんのね!!」
「わぁ!! こっちのも凄いですね!!」
「でしょ〜? それでこれがオルちゃんの〜!!」
....。
やっぱりだ。
「母さん、この緑と茶色に支配されたものは....?」
「何って、これはオルちゃんが昔から好きなお肉増々緑野菜丼でしょ〜?」
「好きって言った覚えはないぞ...!」
「言ってたじゃないの〜!」
「それは母さんが!!」
「オル〜。食べてく・れ・な・い・の?」
「あぁ、わかったよ。食べる食べるから!!」
母さんは都合の良い時だけちゃん付けをせずこうして愛情オーラを放ってくるのだ。
そして俺は毎回それに敗北し最後まで食べるはめに....。
「オル、お肉好きなんだ!」
「好きだけど普段はこんな量食わんぞ。これは一般人なら飽きを越して致死量だ....」
「それじゃあみんな食べていいわよ〜!!!」
仕方ない。
食べるか。
一口食べて毎回思う。
悔しいがめっちゃ美味しいのだ。
なぜこれが美味しく感じるのかは一生解明できないが。
「これ美味しいわね」
「このお肉、肉汁が凄い!」
「やっぱり運動後の肉は最高だな!!」
「アリア、酒はまだ余ってるか!」
「余ってるわよ〜!」
「持ってきてくれ!!」
あっちの方もなんやかんや楽しんでるみたいでよかった。
「アリアさんって言うんですか?!」
「あれ? まだ言ってなかったかしら? 別に名前で呼んでもいいわよ〜!!」
いきなりシリアが後ろを向いたから何事かと思ったが母さんの名前に反応したのか。
「オルのお母さん、姿も可愛いのに名前も可愛い!」
「そうか?」
「そーだよ! オルはわかってないなぁー!!」
姿が綺麗と思ったことはあるが名前は考えたことなかったな。
「それよりオル! これ美味しいよ! 食べてみて!!」
リシアは何をしようとしているんだ。
もしかして俺にあーんをしようと...。
それって間接キスになるんじゃないか。
「ああ! ご、ごめん!! つ、つい!!」
な、なんだ。
そうだよな。
リシアが俺に間接キスなんてな。
「リシアにも何かある気がしてきたわ」
「僕もそう思うよ」
@@@
みんながご飯を食べ終わると風呂に行くことになった。
風呂に行くというのはここの村には家に風呂がついているところがあまりなく近くの外店風呂に行っているのだ。
そして今俺達もそこに向い中へと入った。
「それじゃあ俺達はこっちだから」
「覗くんじゃないわよ」
「覗かねーよ」
マリネアの裸は置いとくにしてもリシアのは....。
いや今の発言だいぶキモいな。
「あれ、誰もいないみたいだけど」
「貸切状態か! 最高だな!!」
「たしかにな!」
珍しいこともあるみたいだ。
この時間に人がいないことなんてあるんだな。
「オルの筋肉すごいよなー。僕なんて騎士とは思えない体だよ」
「でも筋肉はあるじゃんか!」
「オルにそれを言われるのは気に食わないなぁー」
「オル! 俺も負けてないぞ!!」
「「すご」」
最近何やらよくダントは運動するのを見かけていたがこれほどまでに筋肉が成長していたとは...。
これは完敗だ。
「そんなことより早く入るぞー!!」
ここの湯に浸かっているとリラックスが出来る。
最高の湯だ。
その前に体を洗わないとな。
@@@
「ふはぁ〜。この湯最高だー」
「だろ? この湯が帝国にあったら良かったのになー」
「宿舎のはちょっと狭かったからこっちの方がいいな!!」
「オル、そう言えば復讐ってどうやってするんだよ」
「あー、それだがなー」
正直どうやってやり返すかは決まっていない。
やり返したいという気持ちは絶えないほどあるのだが...。
「まだ案はない!」
「案がなきゃ出来ないじゃないか」
「一応案みたいなのはあるんだけど...どれがいいんだろうな」
「例えば?」
「例えば...帝国と仲の良くない国を利用して戦争起こすとか、王の娘を誘拐してみたりー、帝国幹部を殺るとか.....帝国を滅ぼすとか?」
「後半の内容が凄いけどこの少人数で出来るもんなのか」
「エル、わかってないな。いっそ魔物と仲間になっちまえばいいんだよ」
「無謀だろ!」
「ダントの言う通りだよ。こっちが滅ぼされかねない」
確かにそうか。
魔物はだいぶ戦力になると思ったんだがな。
さすがに魔物を仲間にするなんて出来ないか。
ならどんな感じに叩き落とすべきだろうか。
まぁ、案はこの最高のお風呂タイムが終わってからみんなで考えることにしよう。
「リシア、スタイルなかなかいいわね」
「ひゃっ!! ちょっ、そんなことないよ! マリネアだってほら!」
「私は全然よ。悲しいことにこのまま歩いても男に見間違えられてもおかしくないくらいしかないからね」
そのまま歩こうとするなよ。
てかあいつら何の話を始めてんだ....。
「あら! リシアちゃん!! 凄いもの持ってるじゃない! 私と互角ね!!」
「ちょっ!! アリアさんっ! やめっ!!」
なんで母さんまで来てるんだよ...。
というよりこの風呂の壁薄すぎだろ。
「そう言えばさっきオルが覗くって言ってたわよ」
「え!!」
「言ってねぇーーよー!!」
お風呂の中に俺の声が響き渡ったのだった。
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次回もお楽しみに!