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第一話 ある日突然Lv.1の妖精が俺の前に現れて......

初めて書く連載小説です。文章や言葉遣いに多少の違和感はあるとは思いますが、寛容な目で読んでください。

 現代の日本は勝者と敗者が自ずと区別されている。


 これは資本主義的な社会において、双方の持ち合わせている能力の差によって生じる。

『神は二物を与えない』という言葉はウソだ。単なる敗者の嫉妬である。


 正しくは「神は二物も三物も与えることもあるし与えないこともある」だ。

 これはそんな俺が謎の美少女を拾い、介抱してあげた後に同居を……と行きたいところだがそんな夢のようなことはなく、周囲の日常に潜んでいる不思議な体験をする話である。


 俺の名前は糸和 和馬(いとより かずま)。ごくごく一般的な陰キャの高校2年生だ。俺のいる、ここ西園寺学園は偏差値が60ほどのそこそこ優秀な高校だ。

 当たり前なんだが俺は陰キャであるが故に友達が1人もいない。休み時間中に好きなアニメの話をしたり、登下校中に好きな女子の話で盛り上がったりもしないのだ。

 今日もまるで作業のような授業をいつも通り窓側の席から坦々と受けている。


「分かったかー? sinとcosはそれぞれ対辺と隣辺だから二乗同士の和は三平方の定理により斜辺の長さの二乗になるんだぞ」


 と先生が言っている。名前は忘れたがな。女性だからか知らないが男子生徒から一定の支持を得ている。少なからず顔の整っている生命体だなとは思う。

 そして俺はいつも通り窓の外を見て体に溜まった疲れきった空気を外界に出そうと、ため息をつこうとした次の瞬間、視界の端っこに周辺に比べて明らかにおかしい黄色の光が見えたのだ。そっと目をやるとそれは黄色に輝く渦だった。


 その渦は大きな音を立ててだんだん大きさを増していき、やがて片手ぐらいの大きさの卵のような形になった。どうやら俺以外はこの変な物体が見えてもいないし、聞こえてもいないらしい。


 ここでその卵を手に持ち、ゆっくりと観察することはできただろうがそれをすると先生や同級生に変な目で見られることは間違いない。これ以上好感度が下がるとガラスのように繊細な俺のハートは砕け散ることだろう。だから、ただ観察するだけにした。

 すると、黄色く光っているせいで見づらいが確かに少しヒビが入ってきた。そしてその卵は割れた


 中からは緑色のローブを羽織り、金髪、そして何より人間にはない透明の羽根に手のひらサイズの小さな体の女の子......というより妖精に近いだろうか。その妖精? が俺の目の前を浮遊している。

 やはりこの妖精も俺以外には見えていないようだ。するといきなり元気で、いかにも陽キャ女子のような、でもしっかり透き通っている声が近くから聞こえてきた。誰だろうか......この妖精だ!


「私は君の手伝いをする妖精だよ、よろしくー!!」


 思わず授業中だというのに飛び上がってしまった。案の定、先生からの注意が入った。周囲からは笑われている。ついでにこの元気な妖精にも高笑いで笑われている。同級生はこちらを変な目......では見ていない、よかった。


 いつの間にか俺の目の前には2枚のウィンドウが宙に浮いている。(さわ)れるのだろうか......触れる。触った感じはゲームのディスプレイのようだ。

 下のウィンドウのたくさんのアルファベットの書かれた四角形の集合体、きっとキーボードだ。そして上のウィンドウには『妖精のニックネームを入力してください』と書かれている。本当にゲームかのようだ。


 俺はRPGやその他、ゲームを生きる糧にするほどプレイしているからか、このいきなりの不思議なことにもすぐ順応できてしまう。これに関しては我ながらにすごいと思う。「名前はそうだな、とりあえず妖精ってフェアリーだし、フェイルにでもしておくか」そう思い、俺はウィンドウに”フェイル”という名前を入力した。


「フェイル? いい名前ね」


 とフェイルが言った。口が裂けても適当につけたとは言えない喜びようだ。すると、フェイルのステータスのようなのが彼女の頭上らへんに浮かんでいる。


 左上にはフェイルという名前とLv.1という文字、下には『ちから:8 かしこさ:3 MP:0』と、項目ごとに数字が右に割り振られている。基準が分からないためどれほど、このステータスが高いのか低いのか分からないが、かしこさが3であるのに比べ、ちからが8なので力のステータスはほんの少し高いのだろうか。そんなことを考えていると


「ねえねえなんかすることないのー?」


 と暇そうなフェイルが駄々をこねて言っている。この陽キャ声を延々と繰り返されると考えると、何か小さな仕事でもこの妖精に与えないといけないだろう。


 ちょうど授業では少し面倒くさい計算をしている最中だったようで、その計算をしてもらおうと思った。だが周りのことを考えると声を出して伝えるわけにはいかない。だから、紙に書いて伝えることにした。妖精が日本語を読めるか心配だったが人並みには読めるようでよかった。


 しかし問題はここからだ。フェイルは暗算でも始めるのかと思いきや机の横にかかっている俺のカバンの中にダイブしたと思うと、今度はカバンの中で俺のスマホを操作し、計算機アプリを開いた。


 そして答えが分かったのかとても満足そうな顔でカバンから出てき、答えを教えてくれた。拍子抜けだ。かしこさ3とはこういうことか。そう思うと、授業の発表者が正しい答えを言う。


 だが、フェイルの言った答えとは違った。よく見るとフェイルの答えは単位が大きく間違っている。きっと黒板に書いてある数字をそのまま計算したんだろう。本当にかしこさ3だなと思い、フェイルの方を見た。


 そこには片手を頭に当て、片目を瞑り、おまけに舌を出したおちゃめそうなポーズをとっているフェイルがいた。気がつくと4限目の授業は終わっていた。

 和馬がフェイルと出会ってから、山あり谷ありの学校生活を送っていき、こんな風に現実世界とファンタジーを掛け合わせてあると、自分の青春とついつい比べてしまいますよね。

 比べて一喜一憂してしまうのはあるあるです。私もこれを書いている時に羨ましいなとか思ってました。

 それがローファンタジーのいいところの一つなのかもしれませんね。

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