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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

『ましろトンネル』

作者: 座布団

「キーンコーンカーコンーン」


壁に掛けられている時計を見ると、ちょうど八時を回ったところだ 。ここは学校のある一部屋。普段日中は僕が授業を受けている場所 。しかし今は下校時間をとっくに過ぎている時刻である。


「みんな、今日はこんな時間に集まってくれてありがとう。 怖い話をするにはやっぱり夜の学校に限るよ。でね、今からする話ってのは禁忌とされていてね、聞いた後にはね、恐ろしい事が……」


「前置きは大丈夫だよ。僕含めて三人とも早くして欲しい顔をしているから、さっさと始めてく欲しい」


何せここは東京と違って夜の五時を回れば冬なんて光一つ見えない。あまりいつまでもこの薄気味悪いところにいたくなんかない


「まぁ、最後のお楽しみって感じでも悪くはないかな。うん。それじゃあ早速始めるようか


ある所にね、『ましろトンネル』ってのがあったらしいんだ。 そのトンネルは、はたから見ても何の変哲もないトンネルらしいんだけど、どうもそこを通り抜けた人達は口々に言うんだ。」


「何を言ってるの?」


「ちょっと、今話してるんだからしないでよ。私早く話しの続きがききたいんだから」


「ごめん....」


「続けていいかな?

それでね、口々に抜けた人達は、『トンネルの真ん中ら辺を通過したぐらいに白い和服のようなのを羽織った、髪の長い女性がいつの間にかいるんだって』


「なにそれこわい」


「うん。それでね、その女性と目が鏡越しにでも合ってしまったら、とある恐ろしい事が起こるんだって。

それは、『午後四時ちょうどに全身真っ白になって死ぬんだって』さ。

これだけじゃあ具体的に分からないから実際に被害にあったある学生の男の子の実体験を元に紹介するね」


その男の子はいつもテストで一位を取るくらいの優等生だった。しかし、今回の期末テストでは珍しくも赤点を取ってしまい補習を受けなければならなかった


その日、男の子は補習を夜遅くまで受けたせいで帰りが十時くらいになってしまった。 田舎住みだったため道に一つも街灯がなくない真っ暗闇を一人で帰っていた。


「ブッブー」と機械音がしたので背後へ振り向くと見知らぬおじさんが乗った車が止まっている。


車の中から手招きしてくるのでその男の子は「なんだろう」と思いながら近づく。


「ここらはもう暗いし、不気味で危ない。

おじさんが家まで送ってあげるよ」


笑顔でガラス越しに提案してくれる。が、やはり乗せてもらうのはおじさんに悪いと思ったので断る。


「いえ、乗せてもらうのは迷惑になりますし、このまま歩いて帰ります。ありがとうございました」


と、おじさんに断りを入れて歩みを戻そうとしたその時

「いいからいいから。若いのに遠慮することはないよ」笑顔を絶えさずに声をかけてくる。

しかも逃げられないように男の子の左腕を掴みながら。


男の子は「でも、」ともう一度断わり、歩こうとするが、おじさんの掴んだ手のカがまるでゴリラの握力かというくらい強く、振りほどく事ができなかったので しかたなく諦めて車に乗りこんだ


男の子は嫌だなぁ、と思いながらも乗せてもらった手前、文句を言うのも何かと迷惑かなと思って何も言わないことにした


トンネルに車は入った。人はおろかすれ違う車すらいなく、なんだかこのトンネル内だけ違う世界にいるのではないかと思うくらい気味であった。


「ねぇ、君はこのトンネルの悪い噂話を聞いた事はあるかい?」


男の子が窓に肘を当てトンネル内を眺めていると、突然おじさんから話しかけてきた


「もちろんあります。あの、いつのまにか女の人が座っていて目を合わせると死ぬってやつですよね?


あぁ、とおじさんはゆっくり首を縦に振りながら相槌を打つ。


なぜそんなことを聞くのだろうと、僕は思ったがおじさんがまた口を開いたので考えるのをやめて、聞くことにする。

「ねぇ、じゃあ君はその噂の続きは知っているかい?」

得体の知らない何かを持っているかのような眼光を俺に向けて放ってくる。


「いいえ、その後の噂は聞いたことありません」


「ふふ。そうかい、じゃあおじさんがせっかくだしその続きを話してあげるね」


先程から気味の悪い笑顔を男の子に向けていたおじさんだったが、更に口元を釣り上げて愉快そうに話す


「それはね……」


そこまで話すと、ハッハッハッ、といきなり笑いだしたと思ったら今度は泣きだす


男の子はおかしいなと思って車の中の正面真ん中に取り付けられてある鏡から、おじさんの様子を伺ったらなんと、目から赤黒い液を出しながら大笑いしていた。目線もどこを見ているのか定まらなく一体何がどうなっているの男の子にはよくわからなかった。


「だ、大丈夫ですかおじさん!?」


運転中は危険だから普通は大声を出してはいけないが、緊急事態なので大声を出しながらおじさんに問いかける。


「……?あぁ、大丈夫だよ

心配してくれてありがとう」


今先ほどまでの光景は何だったのかと思わせるような返答だった。


「それよりさっきの続きだけれどね、このトンネルに二人以上で入ると一人は気をおかしくして午後四時に亡くなるんだ」


「え?」


「そしてね、もう1人は噂されている女性に取り憑かれて午後四時に亡くなるんだって」


男の子は鋭い恐怖めいたものを心臓に感じた。

そして、まさかとは思いながらも一応は確認しておこうと隣の席に誰かいないか確認する


「いないか」


心の中で一息つく。だが、不思議と何かおじさんともう一つの視線を前から感じる。


恐怖を噛み締め、おじさんの席の隣を確認すると……


「うわぁぁぁ!ッッッッ」


そこには噂に聞いたことのある女性が座っていて、ヒヒヒ、と身もおぞけるような笑いを男の子に向けていた


そこで男の子の意識はシャットダウンした。驚きのあまりなのか女性のせいなのかは分からない。


「んー……、?」


日差しを感じてふわふわとした生地から身を離すと、そこは家の中だった。


「ど、どいうことなんだよ……」


昨日の事はしっかりと覚えているし、あのあと男の子自身どうなったのかは分からないが、なぜか家の中にいる。


「もうご飯よ!早く下に降りてきなさい〜」


母親の声がリビングから聞こえてくる。そうだ、お母さんなら知ってるんじゃないか?と思って男の子は着替えてリビングへと小走る


「何を言ってるの?

全く、昨日はいつもと同じ時間に帰ってきて夕ご飯食べたじゃない。寝ぼけてないで顔洗ってきなさい」


昨夜の事を問いただしてみたら、そんな事を言われた。

母親が嘘をついてるとも思えない。じゃあ、本当に夢でも見てただけなのかな……?」


なんて顔を洗いに洗面所へ向かう。

顔を洗ってタオルでしっかりと拭く。その時、見えてしまったのだ。昨日おじさんに力強く握られた手の跡が紫色になって残っている事を。


「うわ!?え、え?

やっぱり寝ぼけてるんじゃない!!」


男の子は腕のあざに夢中で鏡を見ていなかったが、背後には白い和服の女性が映っていた。


そして、その日の授業が終わって下校時間を知らせる鐘が鳴ったと思ったら、


「ガシャ」


席を立った直後に意識が飛び、男の子は最期を迎えた


その時の男の子の全身は白色に染まっていたと周りにいたクラスメイトは証言している。


「……とさ

どうだった?色々と不可解な謎が残るよね

僕もあんまり()()()いないんだけど、そんなことがあったんだってさ。


「そうなんだ。まぁ、少しは怖かったから来た甲斐があったかな。それじゃ、今日はありがとう。私この後勉強しなきゃいけないから先に帰るね〜さよなら」


一人の女生徒が先に帰っていった。今この教室には()()()()()()()()()()()()だけが残った


「君はどうだったかな?この話。面白かった?」


「中々面白い話だったよ

また聞かせてね」


「うん。じゃあ、今日は気を付けて。またね」


「そっちもね。今日はありがとう」


僕達二人も解散として家に帰ることにした。

そういえば、この話を聞くとなんとかなんとかって最初に言ってたけど結局なんだったのかな?明日にでも聞こうかな。


途中、バサバサバサ、と天気が崩れて雨が降ってきた。

僕は雨が降るなんて予想してもなく、当然傘なんて持ってきてないのでカバンを頭の上に傘がわりにして走る。


「ピピー!」


僕を呼ぶかの様な車のクラッシュ音がしたのでその方向に振り向くと、見知った近所のおじさんがいた


「どうしたんだ!傘も持たずにずぶ濡れじゃないか。早くお乗り」


はは、今日聞いた展開と同じような感じになったな、と心の中で笑いながら思う。

せっかくなので乗せてもらい、一緒に帰ることにした


「あぁ、少しいつもとは違う道を走るよ。おじさん最近ね、近道知ったんだよ」


自慢げに僕に話しかけるおじさん。でも、あれ?帰り道の方向は一直線しかないはずじゃ……


「ここだよここ。

『ましろトンネル』。『()()』君と同じ名前だね」


この後、俺は名前のように全身真っ白で亡くなり、おじさんは見えない何かに向かって


「消えろ消えろ!」


と狂った様に一日中叫んだと思ったら午後四時に命を引き取ったそうだ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「この話を聞く前にちゃんと忠告を聞いとけばこうならなかったかも知れないのに。

この話を聞いた人は()()()()()()()()()()()()()()()()()って事をね。

だから、ほら。


男の子が顔を横に向けると、そこには地面に横たわっているもう一人の生徒がいた。しかし、普通の人と一つ違うのは全身真っ白になっていることだ。


「僕はもう死んでいるから人本体で話すためにこの子を僕の体にしなきゃいけないから、それまでの準備が大変だったよ。

でも、一体最初にあの三人は()()()()()()()()()()()。僕はあの時まだ幽霊状態で浮いてたんだけどな〜

ま、気にせず話をこれからも広めていくのが僕のやるべき事だからそれに従うのみ!


これを読んだそこの貴方、夜のトンネルにはくれぐれも気を付けて下さいね。色々な意味で


長い中ここまで読んでくださった方、本当にありがとうございました。

特にこれ以上は何も明かすつもりもないので所々伏線回収されなかった所は考察してみて下さい!

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