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2話

「そ、そうか!それは良かったな!」

「あの、月さんってただ本見に行っただけですか・・・?」

「こ、今回は素直にすまんかった・・・」


今日も今日とてin月さん家である。てか、この人は暇なのだろうか・・・

「で、あいつの教え方はどうなんだ?」

「思っていたより良かったですよ。お姉ちゃんはちょっと天然だから不安でしたけど・・・」

「・・・まぁ、あいつなら本に忠実にやればいけるしな」

「え、何か言いました?」

「い、いやなんでもない。それより、もっと具体的に教えてくれないか?」

何かを誤魔化しているような気もするが、とりあえず気にしないことにした。


「ほら、ここ見て。この公式に当てはめると解けるよ」

「ほんとだ、ありがとう」

ここ数日、僕はお姉ちゃんの部屋で勉強を教えられている。主に、英語と数学をやることが多い。

「そういえば、お姉ちゃんの部屋って結構本が多いね」

休憩がてら、話のきっかけにしようと聞いてみた。

「うん、そうだよ。私の趣味はゲームと読書だからね。ふふっ、夜君と同じだね?」

「ぼ、僕は月さんと同じで漫画とラノベしか読まないよ・・・」

「私もそれなりに読むよ。本っていいよね、私に色んなことを教えてくれる。知っていくのが楽しいんだ。だから、特定のジャンルに対するこだわりはないの」


「・・・っていう感じで、やっぱりたくさん読んでるらしいですよ」

「・・・そっか」

「あ、あのさっきからどうしたんですか?様子がおかしいですよ?」

月さんは、僕がお姉ちゃんの読書に対しての話をするたびに顔が暗くなっているように見える。

「なんでもねえって・・・」

「あの、話していただけませんか?僕としても、もしお姉ちゃんに対して何かあるのなら知っておきたいです。それに、僕と月さんは協力関係じゃないですか。お互い、隠し事はしたくないですよ・・・」

僕の訴えが届いたのか、月さんは嘆息しながらも僕に話し始めた。

それは、にわかには信じがたい話だったが・・・


「夜、あいつが本を読む本当の理由を教えてやる」

「・・・?知識を得るのが楽しいからじゃないんですか?」

「少なくとも、”あいつはそう思っている”。だが、友人でもあり、第三者のアタシから見ると少し違う。」

うーん、正直よくわからない。月さんは何を言っているのだろう。

「アタシもお前も、あいつを世間から少しずれている天然だと言ったな?実は、厳密には少し違う」

「ど、どういうことですか?」


「夜君、今日は何やる?」

「き、今日は英語かな」

「うん、それじゃ今日はこのページからやろうか」

今日やる内容は、主に動詞の使い分けについてだ。しかし、僕は今それどころではない。

どうしても、昨日月さんに言われた「お姉ちゃんの真実」が気になって集中できそうにない。

だから、正直に言うと僕は既にこの内容を予習している。変なところで敏感なお姉ちゃんに悟られないようにするためだ。

「夜君今日は理解が早いね~ ひょっとして予習でもしてきた?」

・・・やっぱり、そういう所は敏感だ。


僕の気持ちについては、鈍感なのに。


しかし、”このこと”については本人に聞いてみるべきなのだろうか。でも、月さんはお姉ちゃん自身も分かってないと言っていたからやはりやめておくのがいいだろう。

「うーん、夜君どうした?私の話聞いてる?」

「え、あ、ごめん」

しまった、考え事に時間を費やしすぎたかな。

「何か悩み事?もし良かったら話してみてよ」

「い、いや大丈夫だって」

「いやいや、こういう時こそお姉ちゃんに頼ってよ!夜君は、私の可愛い弟なんだから♪」

「ほ、本当に大丈夫だから・・・」

「そうなの?もし本当に悩んでるならいつでも聞くからね」

「・・・ありがとう」

そのあとも、やっぱり集中することはできなかった。


「で、お前としてはどう思ったよ?」

「言うほど感じたりはしなかったですけど・・・」

「まぁ、今は勉強を教えるような決まりきったテンプレ作業だし感じにくいだろ。”読めば分かるんだから”」

「でももしそれが本当なら、お姉ちゃんはよく普通に生活してましたよね・・・」

「それをすることで、あたかも普通であるかのようにいたんだよ」


・・・あぁ、やっぱりわけがわからない! 月さんがでたらめを言っているとは思えないけど、変な話にしか聞こえない。そりゃあそうだろう、だって




本に書かれている正解を完璧にアウトプットすることしかできないって、それの何がよくないんだ?

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