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序章〜第一章

このお話は、連載作品です。話のつづきがさっぱり考えつかないので、完結できるかどうか、ぼくにもさだかじゃございません。

・・・のはずが完結しました。「終章」をクリックすればまとめて全部読めるので、ここから読む必要はございません。時間の無駄になるので注意してくださいね。


電脳恋愛




〜序章〜


きれいだなぁ・・・・。



火照るようにさわがしい空気や、いつまでもつづく蝉の合唱が

ぼくらの小さな世界に満ちていた、あの日のことだ。


左右に屹立(きつりつ)した校舎の隙間から見える、青く、壮大なそらを、おおきな白い雲が

きらきらと輝きながらゆっくりと散歩していた。

ぼくは君とよりそいながら、ふたり純白のアオの世界をみあげている。


ぼくが小さくつぶやくと、それにこたえるように、わたしはここにいるよと

教えるように、君は優しく、にぎった手のひらをつよくした。

風にカーテンがゆれる教室の窓は、どこまでも元気な太陽にてらされてまぶしく反射し、

ふたりはむじゃきにほほえみながら、目を細める。


全てに絶望しながらも

確かに希望と、未来を見上げていた15の夏に・・・


ぼくは、君とであった。


きっと、

ぼくらは出会ったんだ。














そうだろう・・・?

________________________________________

〜第一章〜はじまりの合図


<1>


ぼくは、恋をした。




たとえば・・・あのとき。

中学を卒業し、特になんの夢も持たずに地元の高校に入学した、その年の春のことだった。


高校の入学式。その日は桜が咲き誇るどころか、空はずっしりとした暗黒の雲におおわれ、

いやでも耳にこびりついてくる不快な雨音が、びっしりと新入生が整列した体育館に響いていた。

辺りは見知らぬ人間で埋め尽くされている。そんな中ぼくは、ひとりの女生徒の姿に、思考を奪われたのだ。


しかし・・・。

恋、などと表現すると、どこかに違和感を感じてしまう。そもそも、ぼくは

恋というものの定義がわからなかった。現にあの時のひとめぼれも、

子どもが飽きたおもちゃをぽいと投げ捨てるように、ひとつきもまたずに消え失せた。

昔からそうだったのだ。確かに一時は心を揺り動かされているのだ。けれど

それはどこから来ているものなのか、いまいちよくわからない、ひどくもろいものだった。

だから、きっとぼくは魂の髄からひとに惚れ込んだことなど、

生涯でただ一度もないに違いない。

結局、そんな冷めたような態度の心を知ってのことなのか、ぼくは一度もだれかから告白

というものをされたことがない。もちろん、自分から愛を打ち明けるなどといった

まるでまんがのような行動をとることも絶対にありえないのだ。




けれど、そんなぼくでも恋をした。

確かに、人を愛したのだ。


それは・・・。

きっと、他人から見たら、まるでばかげた、恋などと形容すべきではない感情なのだろう。

たわいのない、まるで遊びのような想い。

しかしそれは、正真正銘ぼくにとってはじめての、

だれかを心の底や、表面や、どこかしこから想う、

「恋」というものだったにちがいないんだ。


なぜだか、そう、信じてみたくなった。


ネットのなかのひとりの少女。薄暗く、どこまでも

つづくネットの黒い深海のなかで、彼女と出会うべくして出会った、あのときに。

ブログのなかのアイドルへの、切なる片思いのはじまりである。


<2>

一週間ほどまえの日のこと、ぼくは飢えていた。女性、というものに対してぐるぐると

腹をならしていた。

それも仕方のないことである。こんなぼくでもお年頃だ。本能的ななにかが自分の

中心でうごめいているのを感じた。それは、いらつきを伴っているようでもあるし、

ひどく、せつなさを感じるもののようでもあった。



その日、仮病で学校を休んでいたぼくは、お昼頃にやっと布団からはいだし、

食事をとろうともせずにノートパソコンの電源を入れた。

このノートパソコンは小説家の母が以前使っていたおさがりだ。中学生のときに

もらって以来、ひきこもりがちなぼくの相棒となっている。

シンプルなフラットフォルムにシルバーのカラーリングだ。そして100キロの衝撃にも

耐えられるという、なかなかにすごいやつなのである。


表面をすこし撫で、本体を開き、左下についている電源スイッチをスライドさせると、

スイッチ部分が緑色にひかり

まるで、スターウォーズのR2D2のような声をあげながら起動する。

部屋は、カーテンをしめきっているので昼間だというに薄暗く、機械の起動音だけが、

もの寂しげに、小さくがりがりと、ひとりの世界に響いた。ぼくは勉強机に座りながら

画面の光だけをじっと見つめてパソコンが起き上がるのを待つ。


学校も行かずにひとりでこんなことをしていると、ああ、ぼくにはたぶん何も無いのだなと

静かに、ゆっくりと、きづかされてしまう。


聞き飽きたメロディーが流れるとともにデスクトップの壁紙が表示され、

アイコンが次々と画面に出現し、きれいに整列する。

ぼくは迷うことなくさまざまなアイコンの中から目的の一つを見つけ出し、

ダブルクリックする。するとインターネットエクスプローラーが起動し、ホームページに

設定してあるGoogleのウィンドウが瞬時に開く。

そして・・・、


いつも、ここで戸惑ってしまうのだ。

よどみなく動いていた指先が一瞬とまり、迷う。


なにをしようか。なにをすべきなのだろう。しかし、そもそも、目的など無い。いつもの作業。

ひとり部屋でノートパソコンを起動する。それはひとりの淋しさを紛らわすためのもの

でもあるだろう。身体を動かす意義があるということを証明し、

不安をどこかに押しやろうとする行動であるのかもしれない。

しかし、結局のところ、「それだけ」なのである。

だから、こいつを呼び覚ますとき・・・、


ぼくはいつも、からっぽだ。


携帯電話の時報が、午後0時をしらせた・・・。

音が、むなしく空気をふるわせる。


ぼくはそして、きづいてしまったようだ。けしてどうしようもならないから、

いっそ、何も知らなくて良かった、なによりのことを。


いつもと、どこかよく似た毎日が、幾日、幾月、そして幾年も、

まるで優しく思えるかのように繰り返し、

遠い道のりを超えていつしか、ついにぼくにめぐってきてしまったんだ。

ぼくはめぐりあってしまった。


ぼくは、それとしっかりと見つめあった。ふるえながら、なおもあがくように

向き合い、必死でみあげた。恐怖し、涙するほど

たかく、たかくそびえた、それを見上げた。それでもぼくは・・・。




でも、やっぱりだめだった。


・・・わかれの時がきたんだ。

ぼくは、相棒を捨てた。



<3>

一週間前のあの日、ぼくはおさがりのノートパソコンをわきにかかえたまま、

家をとびだし、町を疾走した。うめき声を漏らしながら、はしった。


通行人の主婦などが不審者を見る目つきでぼくをねめつける。

けれどなおもはしった。いくつかの家角をまがり、住宅地を走り去る。


うめき声はしだいに叫び声にかわった。


人のにぎやかな商店街を、一直線に駆け抜ける。他人を押しのけつきとばし

それでもはしった。


想像を絶する、「孤独」という恐怖に打ち勝とうとするかのように、

だれかに、必死で助けを請うように、ぼくは、さけび、疾走した。


人通りの少ない裏道にはいる。両脇には街路樹が覆いかぶさるようにたち並び

陽の光をさえぎっていた。

カラスが数羽、ぼくを哀れみ、語りかけるようにひくくこえを響かせて・・・。


突然、前方に自転車があらわれる。猛スピードではしっていたぼくは、とっさにそれを

よけるために、盛大にころび、ごろごろと吹き飛ぶように回転しながら木に激突する。

自転車はぼくを怒鳴りつけると、とまりもせずに、走り去る・・・。


たおれたまま、顔をあげると、相棒は、そこらへんの地面にころげていた。

ひっくりかえったまま、ころげていた。

ふたが、まぬけそうにすこしぽかんと開いていた。


お前・・・100キロの衝撃でも耐えられるんだってな・・・。

だから、だいじょうぶなんだろう?

きっと、ぜんぜん平気で・・・

きっと・・・。


きっと・・・ひとりでも・・・。


なぜなのだろうか。

ぼくはなんだかよくわからないけれども、だれもいない薄闇のみちでひとり

地面にうつぶせになりながら、泣いていた。


相棒は、ぴくりとも動かなかった。


 <4>

ぼくが、まだ彼女と出会っていない一週間前のあのひ・・・。


ぼくはおなかが減って、ぐるぐると腹をならしていた。

おさがりの傷だらけのノートパソコンをわきにかかえたまま、よたよたと歩いていた。


本当は、捨てるつもりだった。裏山にいって、木のしたに穴を掘って、埋めてしまう気でいたのだ。

そうすれば、きっとなれると思ったんだ。

ぼくはどこにでもいるような、ごく普通の高校生になりたかった。戻りたかったんだ・・・。


けれどなんだか、

その気はきれいさっぱりぼくのなかから消えうせてしまった。


しかし、あれだけ走ったせいか、とてもおなかが減ったので、

とりあえず腹ごしらえをしようとおもった。帰り道にコンビニによりみちし、泥や傷のついたぼくらを

店員にじろじろ見られながらも、おにぎりを数個とペットボトルの炭酸飲料を買う。

誰もいない家に帰り、鍵をかけて自室にたてこもった。

パソコンを勉強机のうえにおき、夢中で食事をとる。


実際に言葉にはしないけれど、たぶんぼくはとてもありきたりで、まるで当たり前のように

わかりやすいことにきづきそれを得た。けれどもそれは、どこまでも切なくなるほど、必死に、

誰でもなくこのぼくを支えようとしてくれる。


ひとりでないために。


だからぼくは、いけるとおもった。

これからはいけるぞ!としっかりこころが叫んでくれた。


でもやっぱり、それはいまいちなぜだかわからない。


食事をおえた。息を大きくはきだす。


よし・・・まだ腹はぐるぐるとなっているな。



そしてこれから、ぼくは電脳の世界に深く深くもぐり、

ついに、運命の、出会いのときをむかえることになる。




ぼくは、ひきこもりになったんだ・・・。にやりと笑いながら、この世の神に、

宣言してみた。












赤を放っていた夕日が沈み、暗闇がおとずれた。彼がそれを知ることはない。

_______________________________________

〜第二章〜出会い道をはしる


 

ぼくが彼女と出会う3日ほどまえのことだ。


・・・・・・・つづく









このお話がぼくにとっての初投稿作品でございます。

これからもあたたかく見守ってやってください。


なるべくがんばってつづき考えます。

あと、第二章投稿したのでみてくださいね。というか終章みてくださいね。念のため。

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