IQマン
新連載です!お願いいたします!
世界は平等ではない。そんなことは、誰もが知っていることだ。才能のある人もいれば、ない人もいる。そこには、努力でどうにかなるものとどうにもならないものがある。努力をしても追い付けない存在。 人はそれを「天才」と呼ぶ。
...幼い頃から何かと面倒事が嫌いだった俺は常に適当に生きてきた。 例えば、運動会。あれは、一回一位をとってしまうと次の年からも期待をされてしまうのでいつも3位くらいをとる。勉強も適当に普通くらいをさ迷い何かに特出することもなく、ただ平和な日々を過ごしてきた。
そう。これからもずっと。そのつもりだった...
今日までは...!!
6時限目が終わり、みんながガヤガヤしていた時やつはやってきた。
「おい!あいつは!」
「えぇ!あいつね!」
みんなが口々に叫んでいる。
そう、やつはここ最近話題になっている日本中の色んな所に出没している変人だ。しかも、奴に勝つと莫大な金がもらえるとかなんとか、負けると死ぬなんて噂もあるけど。まぁ、そんなのは噂に過ぎないが、奴の存在は本当だったらしい。
「いかにも、私の名前はIQ マン。全国を旅して頭脳比べをする、頭脳戦マニアであります」
クラスでは俺が俺がと、やつと勝負したいやつが名乗りを上げている。
「では、あなた最初どうぞ」
「よっしゃーー!ここで勝って、一躍有名人だぜ!!」
最初に勝負をするのは山本武志。クラスのお調子者だ。
「それでは、ルールの説明を始めます」
...おいおい、審判までいるのかよ...
「ルールは簡単です。両者が一斉に「グー」「チョキ」「パー」のいずれかのカードを出します。「グー」は「チョキ」に勝ち、「チョキ」は「パー」に勝ち、「パー」は「グー」に勝ちます。
しかし、出したカードは伏せたままにしておき、三回勝負をします。そして、カードを出す前には、何を出すかを言わなければなりません。嘘をついても構いません。三枚だし終わった時に勝ってた枚数が多い方が勝者となります。それでは始めます。」
「よーし!じゃんけんなら行けそうだ!みんなー!俺が勝ったら何か奢れよー!」
「おーぅ!行け山本ーー!!」
「始めましょうか」
IQマンがニヤリと笑い勝負は始まった。
「何を出しますか?」
「俺はチョキだ!お前は?」
「なら私はグーを出しましょう」
よし、グーに対してパーを出すと見せかけて裏の裏をかいてここはグーだ!
「じゃんけんぽい!」
そんなこんなで三回が終わり両者のカードをめくる時がきた。
「ふっはっは!俺勝っちまったかもー!!ん、あ...」
初っぱな二枚で既に山本の負けが確定。するとIQマンが俺たちに言った。
「誰かこの最後の二枚を当てられる人はいますか?」
みんなが一斉に叫ぶ
「グーとチョキだろ!」
「ばーか!パーとチョキだよ!」
はぁ、本当にバカばっかりだ。先に出ている四枚はグーとチョキとパーとグー。全部で9枚カードがあり、三枚ずつグー、チョキ、パーが入っているとすると、残っている可能性があるのはグーが一枚とパーとチョキが二枚ずつ。シャッフルをしたときによくきっていたようだったが、元々がグー、チョキ、パーの順番で三枚ずつ重なっていたので、偏りがあった、グーが二枚の所で切れていた、つまり配り始めた時の、カードの順番は、上からグー、グー、チョキ、チョキ、チョキ、パー、パー、パー、グー。
上から六枚を順に配ってたので、山本の持ち札はグー、チョキ、チョキ。IQマンの持ち札はグー、チョキ、パー。つまり残りの札は...
「チョキとパーだ。そして、山本がチョキで勝ちだ。」
「おいおい!適当に言ったって当たんないんだぜ?www」
ペラ...
山本「チョキ」IQマン「パー」
「えっ...」
...しまった、面倒な、ことになったかも。
「おい!俊太!どうしてわかったんだよ!」
「斉藤すげー!!」
「ほう、なかなかできる人がいるようですね、私とやりませんか?」
くそ、面倒なことになったぜ。
「やらねぇよ。俺は興味ないんだ」
「まぁまぁそう言わずに、少しでいいですから」
「そうだよ斉藤!やれよ!」
くそっ、面倒くせぇ、仕方ない、ここは適当に負けとくか。
「わかった、やるよ」
IQマンがにたりと笑う。
「わかりました。それではあなたが負けたときにはこのクラスの皆さんの命を私がもらいます。あなたが勝ったら望みを叶えましょう」
...っ!!
気がつくと教室は、既に教室ではなく、奴に支配された異世界へと変わっていた。
「ようこそ、勝負の国へ!!!」
放心状態になった俺たちの耳に奴の甲高い声だけが妙に響いていた。
読んで頂きありがとうございます。これからもよろしくお願いします。