友達 菜摘の場合
駆け足で、一気に書き上げました。
私には、友達がいない。人付き合いは、自分でもいい方だと思うのに、何故か友達と云える人がいない。先日1年の時クラスメートだった鷺岡君が自殺して亡くなり、昨日、彼のお葬式に行った。そこでも、私はぼっちだった。野球部の試合でエラーして、そのエラーが敗因でチームに迷惑をかけたことで悩んでいたらしい。何も死ぬことないのに。きっと、同じクラスになれてたら、彼を死なせたりしなかった気がする。そんなことを思いながら、今日も友達のいない教室に入る。私の席のすぐ前には、不自然に空いた空席が2つある。その空席を見て、とある都市伝説の噂を思い出した。朝のホームルームまでは、まだ時間があったので、スマホで検索してみた。
❝『だーれだ?』と後ろから目隠しされて、身近に知ってる人の名前を云えば刺殺され、答えられなかったり、いい加減な名前を云えば絞殺される。しかも、それで殺された人間は、初めから居なかった人の様に、生きてる人の記憶から消える。❞という。この2つの空席は、実はこの都市伝説で殺され、記憶から消えた人で、友達だったかもしれない。そんな空想に耽りながら、制服のポケットに入っていたメモ書きを取り出した。普段こんなところにものを入れないのに、登校中ふと気になってみたら入っていたメモ書きだ。それは、何故か暗号文みたいになっていたので、学校に着いてから解こうと思っていたんだ。
ちょっとだけ、難しかったけど、ホームルームが始まるまでに何とか解けた。
❝はるいろにしきのうらら❞ アナグラム?
確かお米の銘柄にあった様な? それが私の幻の友達の名前?
そして、運命の昼休み。
クラスメートが20人はいる教室の中で、後ろから目隠しされた。
「だーれだ?」 心当たりのない女子の声に、答えられずにいると、首を絞められたのだ。恐怖の中で必死で叫んだ。
「きらら!」 その瞬間、首に感じていた圧迫がなくなった。
「ありがとう。憶えていてくれて。」 その声に振り向いた。でも、そこは何事も無かった様な、いつもの昼休みの教室の風景だった。
---あれから2年の時が過ぎ、私は大学生になり、
「ねえ、菜摘!」
「あ、菜摘、こんなところにいた。探したんだよ。」
「よ、みんなの人気者、なっちゃん。」 あの頃とは打って変わって、たくさんの友達に囲まれて、とても幸せなキャンパスライフを送っている。葵も、珠江も、沙也加も、千鶴も、久実も、輝も、佳織も、真子も、理沙も、みんな私の大切な友達だ。
おしまい
最後までお付き合い頂きまして、ありがとうございました。<m(__)m>