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鬼影  作者: 森風 しゅん
7/16

7.侵入者の訪い。

昨日に引き続き投稿だ! 今年も淀川の花火見逃したぜ!!

 モニター画面で人影を確認した椿と赤夜は、すぐさまそれらの向かう先を予測して直行した。そして、廊下の先に数人の男女の姿を見つけ、同時にため息をつく。


「あんた達、一体何をしてるの?」


 腕を組み、椿は目の前の男女を睥睨する。

 男女は突如現れた椿の姿に驚いたのか、小鳥のように五月蝿く騒ぎ始めた。

 その雑音に眉をひそめて、椿は一言言い捨てた。


「――うるさい、黙って」


 鋭い一喝は、男女のざわめきを一瞬にして沈めるだけの威力を持っていた。

 それに少し満足して、椿は軽く首を傾げながら問いを繰り返す。


「で? あんた達、ここで一体何をしてるのって聞いてるんだけど?」


 射抜くように連中を見つめると、若い男女は互いに何事か相談を始めたようだった。

 最初こそ、しばらく様子を見ていた椿であったが、いつまで経っても返されない応えに苛立ってきた。椿の導火線はあってないが如し、なのだ。

いっそ事情なんて聞いてやらずにこいつら全員叩きのめして学校から追い出してやろうかと言う不穏な考えが椿の頭をもたげ始める。

しかし、その考えが実行に移される前に男女の中から一人、前に出て来た者がいた。


「えーと。俺たち、今日流星群が見れるって言うんで、ここに来たんだ。ほら、屋上からだとすんげー綺麗に見えそうだし。ところで、椿姫はなんでここに?」


 声に聞き覚えがあると思ったら、こいつはつい昨日椿を噂していた男子生徒だ。暢気そうな男だとは思っていたが、想像していたより下らない侵入理由に椿は再びこれみよがしにため息をついた。


「あたしがここにいる理由は、あんたに説明する必要はないわ。それよりあんた達、さっさとここから出て行きなさい。邪魔だから」


 そう言うと、椿はしっしっと犬でも追い払うかのように手を振った。足元の影で、呆れた、と言わんばかりの赤夜の気配を感じたが無視する。

 目の前の男は目を丸くしているだけだったが、その後ろにいる友人であろう男女は、椿の棘のありすぎる言葉に反発したのか、またも騒がしくわめき始めた。「なにあいつ! 何様のつもりなワケ!?」、「お前の方が出ていけっつーんだよ!!」などなど、漏れ聞こえてくる声は椿を罵倒するものばかりだが、そんなものは言われ慣れているから、椿は全く気にしない。


 つんとそっぽを向いていた椿は、ふと、何者かの視線を感じて顔を上げた。


 目の前でうるさくわめいている男女の中でも、長身のために頭一つほど飛び出た人間。暗闇のためによくわからないが、そのシルエットからして男だろう。その男は、間違いなくこちらを一直線に見つめていた。


 何か文句でもあんのかコラ、とチンピラまがいのことを考えながら、椿はそのシルエットを睨みつけた。そうしているうちに、椿はあることに気づく。


 その視線は、椿を射ているのではない。椿の背後に向かっている。

 一体何を見ているというのか――それを確認しようと振り返ろうとした瞬間、その場の空気が鉛のように重くなった。


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