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トンネルの向こうは異世界!?  作者: 神代零
3章 腐敗した王国
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第三十一話 目的

 


 城から出た後に…………




「ねぇ、この国はどうするの?」

「ん、どうするって?」


 アリアから質問があった。ジュンには神器を集めるという目的があるのをアリアは知っている。だから、あっさりと手を引いたことに疑問を感じたのだ。




「神器を集めるなら、国があった方がいいと聞いたけど、乗っ取らないの?」


 ジュンから聞いた話は目的だけではなく、手段も聞いていた。その手段とは、国を持つことだ。

 ジュンがどれだけ強くても、一人では限界がある。だから、国を乗っ取って神器を集める策を思い付いたのだ。




「確かに国を乗っ取るのも考えたが、この国は使えない。王城の後ろがスラム街で隙だらけだぞ。俺はここを拠点にしようとは思えん」

「なるほどー」

「だから、傀儡だけに留めるさ」


 ジュンはこの国、メルデア国を傀儡にすると言った。だが、それはメルデア国をテレサが頑張って立て直し終わり、ジュンも拠点を手に入れた後のことだ。この国の騎士は弱いとわかったので、拠点が出来た後に金銭関係で支援して貰う考えだ。




「戦うのは、自分達がいる拠点でこの国には武器、食糧、金銭を用意して貰うように交渉する。まぁ、向こうは断れないだろうな」

「あぁ、断れないから傀儡の言葉がピッタリなんだね」

「支援して貰う国は一杯あった方が、戦況を有利に進められるからな」


 一つの国を乗っ取っただけでは、神器が沢山あるルークディア帝国やアステミス王国に挑むなんて、自殺行為である。

 自分で国を作ると言う案もあるが、金銭は人脈の問題で、二つの国に挑むぐらいの戦力を作るのはほぼ不可能だろう。だから、乗っ取ることを第一に考えている。乗っ取るのもそう簡単ではないが…………




(戦力と言っても、別に人間ではないと駄目というわけじゃないが……)


 獣人やエルフなどの人種もいるのは知っているが、少数で村を作っている程度で、戦力を期待するには数が足りない。

 アリアからは一級魔獣には言葉を交わせる者もいると聞いたが、危険が伴う。ジュンは別に、話せるなら魔獣を部下や仲間にすることに忌避はないが、アリアが二級魔獣でも恐ろしいのに、一級魔獣に会うなんて!と恐ろしいからと嫌がったから、この案は消えた。




「まぁ、この国の未来は明日の昼に決まるんだろうな」

「敵対しなければいいんだけど……」


 ジュンは落ち着いて考えられるまでの時間をあげたが、テレサが馬鹿な選択をする可能性もある。例えば、ダリュゲル国王は愚王だったが、父親でもある。自分で依頼をしたといえ、その責任を全てジュンに転嫁させて、仇を取る方法もある。そうなれば、この国は消えるが…………




「まぁ、あの騎士を生かしてやったから、敵対する可能性は薄いだろうな」

「騎士は直接に相対した恐怖もあるからね……」


 もし、テレサが馬鹿な選択をしてもさっき生かしておいた騎士二人が止めるだろう。

 それらの全て含め、明日の昼にこの国の未来が決まるといっても良い。服従か滅亡のどちらかになってしまうが…………、ジュンに関わった時点で終わってしまっている。




「次は何処に行くか決めておかないとな」

「うーん、ここの近くにある王国なら、ワルディス王国かな?」

「どんな国か知っているか?」

「確か、神器を二つ保持している国だと聞いたことがあるよ。解放軍が調べたことで、正確な情報かわからないけどね」

「神器を二つもね……」


 神器を保持する国なら、この国よりはマシな兵や騎士がいるかな?とジュンは思った。自分の戦力にするなら、優秀な人がいて欲しい。兵隊を上手く指揮出来る者や、神器を扱える人がいれば、神器も集めやすくなるだろうし。




「よし、次の目標はワルディス王国に決まりだな!」

「うん。目的を達せられるといいね!!」






 ーーーーーーーーーーーーーーーー








 ジュンとアリアが事を終わらせて、宿へ向かっている頃、メルデア王国の外である森では…………





「城から光が伸びたと思って来たが、それだけだな……」

「はい、さっき偵察を出しました。結果がわかるのは少し後になりますが……」

「城から伸びた光を見れば、攻め込まれている可能性が高いな」

「せっかく、私達がここまで準備して来たのに…………」


 ここまで準備してきたとは、ダリュゲル国王に堕天杖を渡したことだ。ここにいる者は、メルデア王国を奪おうと来ていたアステミス王国の手の者だ。二人の男女が指揮者で、後ろには百人程度の兵士達である。




「もし、攻め込まれているなら、この百人だけではキツイな」

「いえ、無理でしょうね。こっちは神器使いが一人もいませんし、向こうはあの光を立てた者がいます」

「だよな……。間違いなく、神器使いがいるわな」


 二人は神器使いがやったことだとすぐに見破り、もし神器使いだけが攻めていたとしても、挑まないと決めている。神器使いがいるなら、最低でも魔導武具使いが十人か兵士千人ぐらいの戦力が欲しい。神器使いなりかけなら、もっと少なくてもいいが、王城に攻め込むような神器使いがなりかけだと思えない。

 この場合は熟練者だと考えて、ここはどんな報告があっても、諦めて撤退すると二人は話し合って決めた。誰も自分の命が惜しいのだから。




「はぁ、今回は潜入してあの王国に入るだけだったのに、予定が狂ったな…」


 夜中にスラム街から潜入すれば、兵士が百人いても、騒ぎは小さく済むはずだったが、先に奪われたなら行く意味がなくなる。

 偵察していた兵士が帰ってきて、神器使いは見なかったが、ダリュゲル国王が死んだことに城が大慌てであることを聞いた。




「帰るか」

「そうですね。この件を報告するのは気が重いですが……」

「兵を無駄に消費するわけにはいかないからな」


 打ち合わせた通りに、撤退することになり、メルデア王国から脅威が去ったのだった…………






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