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トンネルの向こうは異世界!?  作者: 神代零
1章 最初の友
3/33

第三話 ジェイド・アスワルド

本日三話目!

 


 最終問題というより、進むために必要なことをやるだけだったので、その最後問題という物に答えるのは簡単だが、行動を移すことにはとても勇気が必要なことだった。




『自分の力である物を破壊して、進め。破壊することで道が開かれよう…………』




 自分の力、純にしたら拳銃であるベレッタを破壊しろということだ。

 自分の自衛方法を一つ消すのと変わらないので、純は躊躇してしまう。進むことが出来れば、力を得られると書いてなかったし、この先で何があるかわからないのに、自分の力である拳銃を破壊する必要があると言われてもすぐに決断出来ないのも仕方がないだろう。




(しかし、拳銃でも自分を守れるか怪しいものだったしな……)


 拳銃で先程に会ったハリネズミの化け物を殺せるかと聞かれたら肯定は出来ない。見た目ではわからないが、本能では貫けないと訴えていた。




 ーーーーなら、ここでは未熟な力しか持たない拳銃を捨てて、新たな力を得られることに賭けた方がいいのではないか?









「…………っ、か、賭けてやるよ!!」


 純は拳銃を分解して、破壊できる部分を壊して、バラバラに地へ落とした。




「これでいいだろ!?」


 ヤケになっている純だったが、最終問題をクリア出来たからなのか、一本の道が光り出していた。

 これは、進めと言っているように見えたので、脚を動かして光る道を歩いて行くーーーー

























「あ、ここは…………」


 光る道を辿って、歩いて10分ぐらいは経ったのだろうか?


 純の目には大きな樹木があり、周りには彩る光が沢山浮いていた。幻想的な景色に見惚れていた時、何処からか声が聞こえた。




『……おめでとう。ここまで来た者よ…………』

「む?」


 樹木の真ん中に人骨が埋め込まれているのが見えた。そこから声が聞こえたのは間違いないのだが、どうやって?と近付いてみるとーーーー




「うっ!?」


 樹木の周りに浮いていた光が強くなって、人骨へ集まっていく。人骨から人の身体になっていくのがわかったが、まだ光が強すぎてその姿がよく見えなかった。

 暫くすると、光が弱くなっていき、一人の男の姿が現れた。




『私は神の手を持つ男。ジェイド・アスワルド。ジェイドと呼んでくれるかな?』

「ジェイド……」

『うん、人からそう呼ばれるのは久しぶりで嬉しくなるね』


 ジェイドと言う、神の手を持つ男は10代後半ぐらいの歳に見えて、純と変わらない若さに目を細めてしまう。




『この身体が気になるかい?同じぐらいの歳の方が話しやすいと思って、合わせたんだが、変だったかな?』


 ジェイドは自分の身体を見て、変だったかな?と確認していた。樹木に絡まっていた身体は、解放されているが、光は樹木と身体と繋がっていて、純には医療のコードみたいだと感じられた。

 あの幻想的な樹木が、目の前で起こっている奇跡を見せているのでは?と予測するが、今はそんなことより大切なことがある。それはーーーー




「お前、自分を神の手を持つ男と言ったよな?」

『うん、言ったね』

「なら、あの夢はお前が見せたんだな?」

『夢…………あ、もしかしてあの洞窟から現れたのかな?他の世界から来た存在…………』

「待て、お前が俺をこっちに呼び寄せたんだな!?」

『…………まさか、アレが成功していたとは思わなかったな。すまない、失敗したのを放っていたのだが、それが君を呼んでしまったようだね』


 あっさりと認めて謝ったジェイド。純はあっさりと謝ったことに毒気を抜かれたように、怒気が萎んてしまう。




「…………はぁ、呼び寄せたのはもういい。もう後悔しても遅いからな」

『君は心が強いんだね。良かったら、君の名前を聞かせてもらえないかな?』

「俺の名前か?八神純…………いや、名前が先になるなら、ジュン・ヤガミになるだろうな」

『ジュン、良い名前だね』


 ジェイドはニッコリと純に笑いかけ、話を続ける。




『改めて、おめでとう。ここまで辿り着いたジュンは、力を求めているで間違いないね?』

「ああ。最後の問題のせいで、自衛方法が減ったから何とかしてもらいたいんだがな」

『壊したという物はこれかな?』


 ジェイドの手に光が集まると、先程に壊した拳銃の残骸が現れた。




『これは、銃と言う武器。人間を殺すのに便利だけど、硬い皮膚を持つ魔物には効果が薄い武器だね』

「やっぱり、あのハリネズミみたいな化け物には効きにくいのか?」

『ハリネズミ?』


 こっちでは、銃はあってもハリネズミという動物はいないみたいで、純はもっと詳しく説明したら、ジェイドも成る程と言って理解した。




『あの魔物はドグマと言って、この『深淵の森』では硬い皮膚を持っていて、背中の針を飛ばしてくる魔物だよ。ジュンは挑まなくて、正解だったよ』

「そ、そうか」


 やはり、銃では相手にならないようで、自分の本能に従って良かった。




『では、改めておめでとうと言おう。先程の試練では、『胆力』、『判断力』、『勇気』を試させて貰ったよ』


 一つ目の立て札は、選択にない隠された正解を見つけ、行動する『胆力』。


 二つ目の立て札は、文章から読み取り、正解を捻り出す『判断力』。


 三つ目の立て札は、自分の力を捨てて、新たな道を作り出す『勇気』。


 それらの試練をクリアした者に、新たな力を授けるとジェイドは決めていた。クリアした人が善や悪であろうが、クリアしたなら文句は言わない。

 ジェイドの願いは平和。大陸の調和だったが、自分のやり方で戦争の種を蒔いてしまった。




 ジェイドは行方を眩ました後も、後悔、反省を長年してきたがもう今は、ジェイドの時代ではない。

 もう死んでいるジェイドには変える力はなくて、託すしか出来ない。


 ジェイドの前に現れたジュンは話をするには、良い奴だと思えるが、残骸になった銃を見ると、ジュンが何十人も殺してきたのがわかる。

 何十人も殺しておいて、普通にいられる精神は既に狂っており、悪だと言えるがジェイドにはどうでもいいことだった。


 託そうとしているのは、平和や大陸の調和の思いではなく…………




『『神器』という言葉を聞いたことはないかな?』

「確か、夢で『白銀神器』と『黒銀神器』があると聞いたことがあるような……」

『うん、それで間違っていないよ。皆に教えたことがないけど、神器を作るには特別な材料と私の神の手が必要なんだよね』


 また光が集まると、残骸になった拳銃を持っている手の反対に、銀色の水が入った瓶が現れた。




『これはこの世界では、希少な材料なの。〈粘銀水〉と言って、神器の材料になるけど、作るのは恐らく、私にしか出来ないね』

「成る程。神の手とは何かわからないが、お前だけの特別な能力チカラみたいなものか?」

『そうだね。それよりも、神器はいくつあるか知っているかな?』

「確か……」


『白銀神器』が50個、『黒銀神器』が50個だから、神器は100個もあることになる。




『うん。世界では、そう伝わっているけど、実は『黒銀神器』の方は空きが一つだけあるの』

「は?」

『正確に言えば、完成品の神器は99個だね』

「なんで、一つだけ作らなかった?」

『保険のため、ね』


 ジェイドは様々な神器を作ってきたが、どれもジェイドのことを保持者だと認められず、自分用の神器は作れなかった。

 何故、作れないのか、選ばれないのか?それを調べるために、100個の神器を作れる材料から一つ分の〈粘銀水〉を抜き出していたのだ。


 だから、後から作られた『黒銀神器』は49個だけ。それが真相であり、今まで残していた〈粘銀水〉は今に使われようとしていた。




『これから、『黒銀神器』の空いたNo.4を生み出してみせよう。この銃を触媒にしてーーーー』




 〈粘銀水〉と残骸になった拳銃が神の手によって、眩しい光が包まれて生まれ変わろうとしていた。






『完成だ。『黒銀神器』のNo.4…………』






夜咫烏ヤタガラス』の誕生だーーーー







まだあります!

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