第二十七話 ステータスの更新!?
この回でステータスが更新されます!笑
顔を蒼白にしていたテレサ王女様がようやく口が開き、その言葉は恩人に対するものではなかった。
「…………貴方達は前に悪人のボスをやったりしていました?」
「なんで、その結論に達したか聞いてみたいな」
「むぅ、悪人より正義のつもりだったんだけど……」
「それが正義の行いですの!?」
そこには無慈悲に殺された死体があり、容赦が無かったことからテレサ王女様はもしかして、とんでも無い人に頼んでしまったのでは?と思い、ジュン達が何者か様々な妄想が広がってしまったわけだ。
だが、実力は間違いないのでそのまま頼むことに決めている。
「……いえ、すいませんでした。こういうのを見るのは初めてだったので……」
「それで、よく自分の父親を暗殺とか言えたな?」
「そうしないど、確実にこの国は終わるからよ!」
もし、他の国から攻めてこられたら、王城の前は大丈夫でも、王城の裏にある防衛が出来ていないスラム街から、攻められたら間違いなく落ちるのだ。それも、ダリュゲル国王もわかっていることなのに、何も対策を打たない。
「何も対策を打たないだと?」
「はい……、私が何回も進言しても聞いてくれませんわ……」
「確かにおかしいね。誰も国は守りを固めたいと思うのに、後ろに隙を作るのは……」
ジュンはテレサから聞いた情報を纏めて、考えてみると一つの可能性が出た。
「まさか、ワザと攻め込まれる状況を作った?」
「……え、まさか!?」
「一つ聞くが、神器を渡した男って奴はここにいる国の者じゃないな?」
「え、えぇと……私は国の名前を聞いていないけど、確かにここの住人じゃなかったわ」
なら、他の国が性格を変えてしまう神器を渡したという事になるが…………
「成る程、この件は早めに終わらせた方がいいな。他の国から攻め込まれる(・・・・・・)前にな」
「え、それはどういうこと!?」
ジュンは近々に戦争が起きるようなことを言っていた。
「ダリュゲル国王だったな。そいつは他の国と繋がっていて、ワザとこの国を明け渡して、そいつと元から仲間だった奴らは出世するといった感じか」
「え、王様が国を売るの!?」
「ああ、そうさせるように性格を変える神器を渡したということだ……………………俺は神器だと思えんがな」
またとしても、最後に小さく呟いたが、二人には聞こえてはいなかった。
ジュンの説明により、その可能性が出て、テレサ王女様の顔はさらに青くなっていた。
「っ、なら!早く止めないと!!」
「まぁ、落ち着け。今すぐに攻めてくると言うのはない」
「確かに、大きな動きがあったら何かの兆候があるんだけど、今は無いね」
「ああ、暗殺を決行するのは今夜だ。今はまだ陽が高いから少しでもバレるのを減らすためだ。…………城の中を死体だらけにしたくはないだろ?」
「ひっ、わ、わかったわ……」
テレサはジュンが言いたいことを悟ったのだ。もし、目撃者がいれば容赦なく消すと。だから、少しでも目撃者を減らすために夜に決行するのだ。アリアは目撃されただけで消すことに躊躇があるけど、目を伏せて何も言わない。
ジュンはアリアの様子に気付いていたが、何も言わないで頭を撫でただけだった。やるのは自分だけでいいと。
「さて、それまでに用事を終わらせるか」
「え、用事?」
急に話を変え、用事と言われてテレサは戸惑うしか出来なかった。用事をするために、ある場所へ向かうジュン。アリアはジュンのローブを掴んで付いて行き、テレサも慌ててジュンの後を追った。テレサはまた刺客を向けられる可能性を考え、ジュン達と一緒に行動することに決めたのだーーーー
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「え、ギルドに?」
ジュン達はスラム街を抜け、しばらく歩くと着いた先にはギルドがあった。
「お前は王女様だろ、大丈夫なのか?」
小さな声で話しているため、周りの人には聞こえていない。
「大丈夫、フードを被っているし、服装も普通のを着ているからバレないわよ」
何処から見ても王女様である判断材料は顔だけになり、顔だけを見ても、あまり外に出ない王女様のことをすぐにわかる人はいないと判断しているのだ。
なら、いいと言ってギルドの中へ入った。ジュンは市役所と言う所に似ているなと思いながら、空いている受付へ向かった。今は余り混んでいなくて、並んでいても二人か三人ぐらいだった。
「今は狩りの時間だからねー」
「あぁ、成る程。アリアはもうあるから、俺のだけでいいよな?」
「うん」
ギルドと言っても、この世界では冒険者がいても、ゲームや漫画に小説みたいに冒険者のランク付けなどはない。ここは狩った魔物の核を持っていけば、金に換えてくれたり持ってきた核の数が登録される。
魔物のランクは前に説明された通りに、強い順で言うと一級魔物、二級魔物、三級魔物になる。全ての魔物には核があり、大きさや色合いも違う。ギルドにある魔道具が核から情報を読み取って、何を倒したのかで魔物のランクがわかる手筈になっている。その数が登録されて、強い魔物を倒していけばどれだけ強いのかわかるのだ。
「成る程、身分の証明になるだけではなく、自分の強さを表す証拠というわけか」
ジュンの出番はもう来ており、今は自分の情報を書いていた。住みは何処にもない村の名前になっている。アリアと同じ帝国と嘘を書いても良かったが、何故、帝国で登録しないんだ?という話になったら面倒なので、何処にもない村の名前にした。
書き終わってからお金も払い、情報を読み取るスキャナみたいな魔道具に手を乗せるだけで、身分証明書になるカードが出た。そのカードにはこう書かれていた。
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ジュン・ヤガミ
討伐数
一級魔物→0
二級魔物→0
三級魔物→0
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見える場所は簡潔に出ており、右下にある場所をタッチすれば、さっき書いていた情報が出るようになっていた。
「これだけで身分証明書になるなんて、流石のファンタジックな世界だな」
「それだけじゃないよ。自分のステータスを見てみて?」
「ん、ステータスを?」
いきなりステータスを見てみてと言われて、なんだ?と思って、頭の中でステータスと念じてみたら…………
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ジュン・ヤガミ
筋力:1800
物耐:800
魔力:1500
俊敏:2100
魔耐:1500
適正:『雷』
称号:『夜咫烏の主』、『暗躍する者』、『打倒する者』
特殊能力:『直感』
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ステータスに数字欄が出ていた。それを見たジュンは一言を呟いた。その言葉とはーーーー
「……………………マジで、俺はゲームの中にでも飛ばされたのか?」
ジェイドにステータスの話を聞いた時の反応と言葉が全く同じだった…………