第二十六話 刺客
流石に毎日投稿は出来ませんでした。
ストックは切れたので、書けたらドンドンと載せていくので、宜しくお願いします。
テレサ王女様から、現国王に自分の父親でもあるダリュゲル国王の暗殺を依頼された。普通なら、ジュンはリスクを考えれば受けることはない。だが…………
「はぁ、もう俺らまで標的かよ」
「え?」
ジュンはアリアの腰に手を回して、アリアは「え、えっ?」と顔を赤らめたが、ジュンは既に動いてテレサに突っ込むように腹にラリアットをかます形になっていた。
「ぐぇっ、な、何を…………っ!?」
銃声の音が鳴り、先程までいた場所に幾つかの銃痕が出来ていた。ジュンは銃で狙われていることに『直感』でわかったので、二人を抱えてその場から離れたのだ。
「あいつらだな」
「え……あっ!」
上を見上げてみると、顔を隠すマスクを着た者が三人いて、銃を構えていた。体格から男だとわかるが、それ以外に外見からわかることはない。
だが、テレサ王女様を狙っていたことから、ダリュゲル国王の手だと予想できる。つまり…………
「お前の考えは見通しだったみたいだな」
「そんな……」
もし、ジュン達に出会わなかったら、テレサ王女様は魔物に会う前に目の前にいる刺客によって殺されていただろう。
ジュンはテレサ王女様を助ける義理は無いが、ダリュゲル国王の性格を変えた神器のことが気になったのだ。
「仕方がねぇな。お前の依頼を受けてやるよ」
「え?」
「え、じゃねぇよ。受けてやるんだから、報酬を提示しろ。依頼なら報酬は当然のことだろう?」
流石に無料で働くのは甘いと思い、こっちに利があるように提示しろと訴えているのだ。
「……わ、わかったわよ。父が溜め込んでいる宝庫室にある宝のどれかを渡すわ」
「ほぅ、宝庫室にある宝をどれが欲しいか選んでもいいということか?」
「えぇ、でも!貴方とアリアの二つ分だけよ!暗殺に成功したら建て直すには金が掛かるから、そこは理解して頂戴」
「ふむ……、それで構わん」
話している間も銃で撃ってきたが、ジュンは射線を予測して、弾が通らない場所に避けていたので、一発も当たっていない。
銃では当たらないと理解したのか、剣やナイフを抜いて、近付いて斬ることにしたようだ。三人が屋根から降りて、素人ではない動きでジュン達に向かう。
「殺意を持って、こっちに敵対するなら覚悟をしとけ」
ジュンは両手に抱えていたアリアとテレサを降ろして、サバイバルナイフを抜く。先程の盗人程度なら見逃すが、目の前にいる敵のように殺気を出されたら生かして帰すつもりはジュンにはない。
「む?」
「ここは私がやる。だから、王女をお願い」
「…………わかっているよな?殺気を持つ敵には…………」
「うん、容赦はしないよ」
「よし。わかっているなら、任せる」
アリアに任せることにして、抜いたサバイバルナイフを腰に戻す。
「本気なの!?子供に任せるなんて……」
「黙れ、見ていればわかる」
ジュンはそう言うだけで、すぐにアリアと敵三人へ向いた。テレサは低い声で発された言葉に怯み、オロオロとジュンとアリアを交互に見るしか出来なかった。
「……ふっ」
「何がおかしいの?」
「そんな刀で相手をするのは笑止」
またとしても、切れ味が悪そうな刀を見て、さらに相手が子供であることに、相手にならないと判断していた。
「だったら、試してみればいいの」
「っ!?」
アリアが先に動き、一番前にいた男の懐へ入った。そのまま刀を横薙ぎして、男は想像以上のスピードで驚愕したが、すばやく手に持っていた銃を盾にし終えていた。刃が潰れていて、切れ味がない刀なら銃で充分に防げると判断したようだ。銃で防ぎ、反対の手に持っているナイフで斬り返すつもりで、刃を煌めく。
だが、アリアの持つ『白桜』はもう扱えない神器ではない。
「なーー!?な、なにが…………」
結果、銃は真っ二つになって身体が上下半分に分かれていた。白桜の刃には、前にトーデルを真っ二つにしたように、桃色の光が薄い壁が二枚を挟まれていた。それによって、切れ味が上がっていた。
アッサリと一人がやられ、戸惑うが二人は挟み撃ちをするように左右から長剣で斬り伏せようとする。
「遅いの」
「ぐ、ぐあぁぁぁ!?」
アリアは神器の力で身体能力が上がっていて、二人よりも素早く動いて男の腹に刺していた。それを捻り出すように抜いたため、刺された男は激痛に剣を落として戦闘不能になった。だが、アリアは容赦なくーーーーーーーーそのまま首を落とした。
後ろで吐きそうな顔をするテレサだったが、アリアは次の敵を目に移していた。
最後に残った男は勝てないと悟り、すぐに逃げることに決めた。ここはスラム街で道は迷宮のように迷いやすい地理になっている。
その地理を利用して、逃げようとしたが…………
「がっ!?」
「挑んできて、逃げるのは無しだぞ?」
逃亡しようと、背中を見せた瞬間にジュンがサバイバルナイフを投擲していた。そのナイフは脚の太腿を貫いていて、脚一本が使えなくなっていた。
「逃がさない。逃すと後から敵が増えるとジュンから教えてもらったの。だから、敵は必ず逃してはならない……!」
「うあ、ぁぁぁーーーー」
白桜は一線で敵の首は綺麗な断面を残して、そこから鮮血が吹き出していくーーーー
「終わったよ」
「良くやったぞ。敵を逃しそうになったが、次からは周りがどう動くか予測して、動くことだ」
「うにゅ、はぁい!」
頭を撫でてやり、頬に付いた一滴の血を拭いてやる。アリアはされるがままに、褒められたことに喜んでいた。まるでいい事をして、褒められたような状況に見えるが、やったことは三人を殺したことでだ。
それを見ていたテレサは異様な状況に顔を蒼白にしていた。