第二十一話 神器使い
はい、どうぞ!
トーデルとの戦いから一週間が経った。ここはジュン達が戦った『深淵の森』ではなく、『覇』を掲げる帝国のルークディア帝国である。
その帝国の全貌はまるで要塞のようで、その要塞を高い塀が囲んでおり、入り口以外からの進入を許さない。
高さが50メートルもある囲い塀の中にあるのは、他の街と比べて活気があり、輝かしい街が広がっていた。
その街の中心に建っているのが、真っ白で一本だけの塔と鉄鋼製の王城があり、帝国の顔となっている。
その塔は神器が生まれた同時に、一緒に作られ、『白皇塔』と呼ばれている。
そこに住んでいる者がいて、ある部屋で何人かの男女が集まっていた。その中にまだ子供だと言える歳の子もいた。それらの人はーーーー
「では、会議を始めましょうか?」
偵察部隊を行かせた本人である、デルク大将が司会を務めている。丸のテーブルがあり、上座の三つは空席でデルク大将はその四番目に座っていた。
「上位の三名がいないが?」
「アレクはいつものことで、あと二人は遠征さ」
眠そうに欠伸をしている青年は上位の三名がいないことを指摘し、三名の同行を良く知る女性がその動向を発する。その女性は白髪でもう歳だとわかるが、しわは少なくて肌はまだ40代のように見える。
「いない者のことを話しても仕方がなかろう」
「うんにゃ!さっさとやろうよ!!」
「落ち着きなさい。女の子なのだから、椅子の上でジャンプをしてはしたないわよ」
威厳のある筋肉質の男性、頭の上に猫の耳を持ち、落ち着きのない少女、落ち着いた雰囲気を持って会議中でも本を離さない。20代と若く、メガネを掛けている女性。
それぞれが独特な個性を持つ者が集まっていた。
「おや、イリナもいないみたいだね」
「少し遅れるそうです」
お婆様が手を挙げて、答えてくれた。
「んー、仕方がないね。ここにいる六名だけでやろうか」
これから何をするのか、デルク大将の口から発表される。
「神器使いの一人がやられたことについて、話を進めておこうか。その神器使いは元帝国第九位神器使いとして地位に就いていましたが…………」
「成る程な。トーデルの野郎はいない間に地位を奪われたあげくに、死んだか」
「奪われたことを知らないまま、死ねただけでも幸せじゃないにゃ?」
ケラケラと笑う猫の少女。他の人もトーデルが死んだことに何も思わない。だが、懸念は一つだけあった。
「其奴が持っていた神器は?回収出来たか?」
「いえ、レーヴィ殿に行ってもらいましたが……」
「既に奪われた後だったわ」
レーヴィ殿と呼ばれたお婆様は希少な能力によって、三日の距離を数分でトーデル達が戦闘をしたと思われる場所に向かったが、既に『白絶』は奪われた後だったというわけだ。
ちなみに、ここにいる全員は神器使いであり、帝国にいる神器使いの中でも上位に立つ者である。この白皇塔に入れるのは、皇帝と選ばれた神器使いの十名だけである。
それぞれが帝国の中でも上位の地位に収まっている。まず、司会を務めているデルク大将から。
帝国第四位神器使い『デルク・マ・ボロディアス』 所属部門:戦闘部隊
次にレーヴィと言うお婆様。
帝国第五位神器使い『レーヴィ・マステリア』 所属部門:情報部門
次は欠伸をしていて、気怠げに座る青年。
帝国第六位神器使い『ハデス・アートルナ』 所属部門:戦闘部門
猫の耳をピンと立てて、椅子に片手で支えて空中で逆さまに胡座で座る少女。
帝国第七位神器使い『エレナ・ターデア』 所属部門:戦闘部門
会議中でも、本を捲るの止めないメガネを掛けた女性。
帝国第八位神器使い『シアン・リーデアル』 所属部門:情報部門
最後に眼を瞑って話を聞いている筋肉質の男性。
帝国第十位神器使い『ダルア・ムゼン』 所属部門:教授部門
上位の三人はおいといて、帝国第九位神器使いは遅刻しているイリナという少女であり、トーデルから地位を奪っている程に強い実力を持つ。しばらく、会議を進めていたらドアが開き、ようやく遅刻した少女が現れた。
「遅くなりました……」
「構わないよ。レーヴィ殿から聞いているから」
「うん」
少女は自分の席に着き、手に持っていた袋からリンゴを出して食べ始めていた。
「あの……会議中だけど」
「え、駄目?仕事を終わらせてからまだ何も食べてないの」
「…………はぁ、仕方がないな。食べてもいいけど、話はちゃんと聞いてくれよ?」
「うん」
許可が取れ、すぐにリンゴへかぶりついた。少女はイリナと呼ばれており、肌は少し焼けたような色で、髪は長髪に真っ白という珍しい組み合わせである。ついでに、少女は背中に黒い刀を背負っていて、少女もそうだが、まるでアリアの生き写しのような少女だった。
帝国第九位神器使い『イリナ・トレンニア』 所属部門:暗殺部門
名前に気付いたかもしれないが、イリナと言う少女はアリアと同じミドルネームを持っている。
「さてと、トーデルが死んで神器を奪われたのは残念だと思うけど、敵は解放軍と呼ぶ反乱軍だと判断する」
「反乱軍……」
「そう、イリナが気になる人もおそらく反乱軍だろうね」
気になる人とは、アリアのことを言っており、デルクはロンのことも良く知っていた。実際、ロンとアリアが解放軍へ入ろうとした日に回り込んだのが、デルク大将だったのだ。
ロンを殺すことに成功したが、アリアだけは逃してしまった。もしくは、トーデルがわざと見逃して、スパイとして解放軍の居場所を探るためにアリアを使った可能性もある。
「うん、いつか会いたいね」
背負っている黒い刀、黒銀神器である『黒桜』がイリナの発する気配にブルッと震えていた。いつか会えるのを楽しみに、口が三日月のように歪めて笑う。
「お姉様」
これで2章は終わりです!
次は3章になりますが、ジュンは何をするのか?楽しみにしておいてください。
ではでは〜




