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トンネルの向こうは異世界!?  作者: 神代零
2章 解放軍に……
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第十九話 夜咫烏vs白絶

はい、今回は少し長いです。

 


 ジュン以外はジュンの持つ銃が『神器』だとわかり、驚愕していた。この世界で100人しかいない神器使いが目の前にいるのだ。トーデルも神器使いであるが、誰も二人目がここでかち合うのは予想してなかっただろう。




「『黒銀神器』だと?まさか、お前は東の大陸から来た王国の者か!?」


 トーデルの言う通りに『黒銀神器』は東の大陸にあるアステミス王国が神の手を持つ男から譲り受けた神器であり、ジュンが王国の者だと判断するのはおかしくはない。

 王国の者だと聞いて、獣人であるジョバンニがビクッとしていた。アステミス王国は人間主義であり、他の種族を排斥しようと動いているのだから警戒しても仕方がないだろう。




「王国?アステミス王国のことを言っているなら、間違いだ。俺が王国の者だったら、ジョバンニは既にいなくなっていたんだろ?」

「ほ、本当に違うよな?」

「ビクビクしてんなよ、違うから安心しとけ」

「そ、そうか……」


 ジョバンニは冷や汗をかきながらホッとしていた。

 アリアが疑問を感じ、戦いの途中でも聞いてきた。




「なら、なんでジュンお兄様が『黒銀神器』を持っているの?」

「友から譲り受けただけだ」


 それだけ答え、詳しくは話さなかった。まさか神の手を持つ男から貰ったと言ったら、大騒ぎになるだろう。誰もここで会ったなんて、信じられないだろうし。




「話は終わりだ」

「チッ!」


 まず、20%程の力でトーデルを狙う。重なった糸の壁によって防がれたが、それでも問題はなかった。

 初めの狙いは、トーデルの後ろにいる偵察部隊なのだから。




「まず、お前らを消してやるよ」

「貴様、帝国の兵士を舐めるな!!」


 まだ距離がある間に魔法で迎撃する偵察部隊だったが、それらは一発の銃声と同時に掻き消されてしまう。しかも、それに留まらず、数人の兵士が着弾した爆発に巻き込まれて四肢破損してしまう。




「魔法が当たらないなら、接近戦だぁぁぁ!!」


 隊長の指示により、皆が剣を持ってジュンに斬りかかろうと動く。




「確かに洗練された動きだが、身体能力が違い過ぎたな」


 接近戦でやろうが、ジュンは片手で剣を受け流して蹴りで骨を折ったり、額に銃口を当てて吹き飛ばすことで動ける兵士を減らしていく。ジュンの身体能力が強化しているので、蹴りで首を狙えばあっさりと折れて、敵の攻撃もよく見えていて勝負にはならなかった。

 トーデルは乱戦になっている戦場で兵士を巻き込む可能性があり、手を出さなかったが、ジュンの戦い振りを見てそんな甘いことを言ってはいられないと判断した。




「お前は危険だ。だから、遠慮なく攻撃させて貰う!」

「トーデル様!?」


 トーデルの隣で警戒していた偵察部隊の隊長が悲鳴に近い叫びをあげていた。何故なら、トーデルが仲間ごと攻撃をしたからだ。

 魔力の糸が不規則的に暴れて、兵士を切り裂いて行く。これなら中にいたジュンもただで済まないと思ったが…………




「ふん、いよいよ救えないとこまで堕ちたか」

「チッ!無傷だとはな!?」


 ジュンは敵を盾にして、さらに自分のローブを何重にも重ねて防いでいた。すぐに敵を盾にするように何人かを縛り上げてジュンの前に出した胆力は普通では出来ない程に高かった。

 魔力の糸に触れたローブは所々がボロボロになっていたが、もう修復を始めており少しずつ綺麗になっていく。

 ローブを盾にしたといえ、ここまで防御力が高いローブをボロボロにする程に、白絶の高い威力が伺えた。


 まだ生きている兵士は何人かいるが、白絶の容赦がない攻撃によって動ける兵士はほぼいなくなっていた。あとはトーデルと魔道武具を持つ隊長だけ。




「銃は一つしかないなら、こうする!!」


 トーデルは既に準備を終わらせており、ジュンの周りは魔力の糸だらけだった。それが一斉に掛かってきたら、普通の銃なら一つだけでは防ぎきれない。ローブもあれだけの攻撃には耐えられないだろうと判断して、この攻撃だ。




「確かに銃は一つだけだが…………、こうすればいいだけだ!!」


 この夜咫烏には連射機能も付いており、弾の嵐で糸を薙ぎはらう。トーデルはそれで終わらず、糸を地面の中に潜めてあって、連射が届かない域から脚を狙おうとする。




「おっと」

「空中なら避けられないだろう!!」


 トーデルは更に罠を掛けていたようで、三度目の攻撃は先程より多い魔力の糸が全位方向から襲いかかる。

 この量では、先程に連射で薙ぎ払っても全てを薙ぎはらうことは不可能だ。

 これで決まったとトーデルは思った。だが…………




「空中なら仕留められると思ったなら、甘いぞ」




 先程みたいに連射はせずに、一点だけの場所へ50%程の力で撃ち抜く。それで終わらず、ジュンはローブを伸ばして足元に広げた。そしてーーーー





 蹴った。






 ローブを自由自在に動かせて、人並み外れた脚力があったから、出来たことだ。皆から見て、ローブを蹴ったジュンはまさに空中でジャンプしたように見えただろう。




「なっ、そんなことも出来たのか!?」

「50%ーーーー」

「っ!”魔弦盾”!!」


 撃ち抜いた箇所から糸の檻から抜け出したジュンはそのまま、トーデルへ破壊の放流を撃ち出す。流石、神器使いだからなのか、すぐに反応して今のトーデルが作成できる最強の盾を編み込んだ。魔力の糸が何重にも絡み合って編み物をするように、0.5秒で最強の盾を作り出したのだ。


 その盾は見事にジュンの攻撃を防ぎ切った…………ように見えたが、破壊の放流は盾を破壊できずとも、衰えずに盾を押し込んで、トーデルを後ろの森まで吹き飛ばしていた。

 吹き飛ばされた衝撃で何十本かの木が折れて倒れていた。




「もう終わりか?」

「うあぁぁぁぁぁぁぁーー!『魔弾槍』で串刺しにしてくれるわ!!」


 まだ敵が残っていて、魔道武具である『魔弾槍』と呼ばれた槍は穂先とは反対側の柄から、魔力のエネルギーが吹き出されていて、推進力をあげてジュンへ突き出していた。

 弾のような速さを持つ突進に特化した槍、それが『魔弾槍』だったが、ジュンにはそれが見えていた。


 ジュンはローブを挟み、高速移動している『魔弾槍』を優しく受け流して、敵が持つ槍の柄を掴んで、銃口は敵の口の中に突っ込まれていた。




「ほがっ!?」

「叫びながら突っ込む馬鹿がいるか」


 偵察部隊の隊長はようやく勝てない敵に挑んでしまったことを理解して、命乞いをしようとしたが口は銃口を突っ込まれている。

 何も発することを許さずに、そのまま顔を吹き飛ばしたのだった。









「凄い……」

「あ、あぁ……」


 あっという間に帝国の兵士は全滅していて、神器使いのトーデルでさえ、相手になってないように見えた。ジョバンニは神器使い同士でも、それほどに差があるのかと感嘆しつつ、恐怖を覚えていた。他のメンバーもジョバンニと同じ思いだったが、アリアだけはジッとジュンの挙動を見逃さないように見つめていたのだった。

 そこにどんな思いがあるのか、他の人にはわからないことだろう…………





 もう戦いは終わったのか?と思ったが、トーデルが吹き飛ばされた先から青白い魔力の糸が迫ってきて、ジュンは奪った『魔弾槍』を解放軍がいる場所へ投げ捨てながら空中へ避けたのだった。




「に、逃がすかぁぁぁぁぁ」


 森の奥からトーデルが現れ、頭から血を流しながら叫んでいた。下かだけではなく、上も魔力の糸が上下を挟み込むように網の形をした物が迫ってくる。

 範囲も広く、フードを蹴ったとしても範囲外へ逃げきるには遅い。仕方がなく、撃ち抜いてから抜け出そうと、撃ったが、撃った先の網が形を変えて銃弾を避けたのだ。




「む?」

「ふははっ!逃がしてたまるか!!」


 まともに受けたら夜咫烏の方に軍配が上がるだろう。だから、受けずに銃弾を避けるように操作すればいいだけだと判断したのだ。

 これで、ジュンに逃げ場はない。この状況がヤバイとアリアにもわかったのか、助けに行こうとしても、もう遅い。




「やったことはないが、試すか」

「は?」


 ジュンはまだ諦めておらず、さっき思いついたというよりも、見たことを真似ろうとしているのだ。





 解放軍の所にある『魔弾槍』の推進力をだ。




「成功してくれよ?」


 ジュンは何もない所に銃を構えて、引き金を引いた。

 弾は出ないように、空砲で空気を吐き出しているような感覚で撃ち出した。




 その試みは成功して、推進力を生み出すことで攻撃の範囲外まで抜け出すことが出来た。勢いがありすぎて、肺から全ての空気が抜け出したような気分になったが、抜け出した後は動きを止めずに狙撃タイプに変えた。


 空中に浮いたまま、狙撃でトーデルを狙った。流石に、空中に浮いたでは正確に狙いをつけることが出来なかったので、狙おうとした身体の中心ではなく、右脚を撃ち抜いただけだった。威力も狙撃タイプに変えてからすぐに撃ったため、普通の銃と変わらない威力の10%だったが、今はそれで充分だった。




「ぐ、あ、あぁぁぁ!!や、やりやがったな!!」

「お前にもう勝ち目はないぞ?」

「ま、まだだぁぁぁ!最大技、”弦龍”で消してやるぅぅぅぅぅ!!」


 トーデルは残った魔力を全て使い、何重……いや、何十重にもなる糸が重なって、絡みつき、龍のような形を作っていく。言葉通りに、この”弦龍”はトーデルの最大技であり、もう後のことを考えずに、これで決めるつもりだった。




「どうだ!!」

「やれやれ、攻撃する時は技名を言わないと駄目な決まりがあるのかね?まぁいい、それに付き合ってやるのも冥土の土産になるか」


 今の『夜咫烏』に『白絶』のように形を変えて攻撃をするという方法はまだない。というよりも、撃つだけでも充分だったのもあるからだ。




「そうだな、こいつにはこの技で破るのに、お似合いだろうな。…………撃ち破れ、”破魔弾”!!」






 神器使い同士の戦いにて、最後の攻撃が神器使いとしての強さが決まる。どちらが強いか。それだけを決めるためだけに、銃から撃ち出された赤い弾と青白い龍が激突するーーーー







次回が決着となります。

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