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トンネルの向こうは異世界!?  作者: 神代零
2章 解放軍に……
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第十六話 白絶

 


 解放軍で副隊長の肩書きを持つトーデルは前に帝国から抜けて解放軍に入った…………はずだったが、本当は帝国を裏切っておらず、帝国第九位神器使いと言う地位を保持していた。

 トーデルが持つ神器は、No.42の『白絶』といい、白い手袋に指先は金属製で出来た爪が見える。そこからーーーー




「切り裂け、”絶断糸”」


 トーデルが手を振ると、青白い糸が金属製の指先から現れて、近くに立っていた解放軍の数人がバラバラに切り裂かれていた。近くで倒れていたゲール隊長は倒れていたため、巻き込まれることはなかったが、被害は大きい。




「トーデル!やめやがれ!!」

「ははっ、敵にそんな要求が通る訳がないでしょう。お前達も偵察部隊だとしても、反乱軍にやられることはないでしょう?」

「はい、数もこっちが多いので誰も逃さずに葬って見せましょう」


 魔力を持った槍が赤く光る。偵察部隊の隊長は、魔道武具を使い解放軍への攻撃をする。他の偵察部隊のメンバーも動き出して行く所に…………




 バチッ!




 魔力の糸が銃弾を弾いた音が鳴った。狙われていたのは、トーデルではなく魔道武具を持った隊長だった。




「向こうにシャオウがいるのは知っていますので、奇襲は無駄ですよ」


 森の中で隠れているシャオウは舌打ちをしていた。神器を持つトーデルが倒れるのが一番だとわかるが、トーデルはこっちの位置を知っているから少しだけ場所をズラして、魔道武具を持つ隊長を狙ったのだ。だが、それは防がれてしまう。


 神器は保持者を強化させるのは知っているが、弾の撃った場所がわからない状態だったら反応しようがないのに、トーデルはあっさりと防いでいた。つまり、トーデルにはこっちを補足する何かがあると判断した。

 なら、防がれる狙撃を続ける意味はなくーーーー




「俺は近くで撃つが、お前は白桜を持って逃げろ」


 シャオウはアリアの返事を聞かずに、ゲール隊長を助けるべくに森から現れてハンドガンで弾を撃ち出す。






 パンパン!!と二丁の銃が火を噴く。だが、神器を持つトーデルには銃の攻撃は驚異ではない。




「わざわざ出てくるなんて、馬鹿ではありませんか?逃げれば、少しは命が延びていたかもしれないのに」

「ふざけるな、俺は解放軍に命を賭けた。逃げるわけがない!!」

「そうですか、さっさと死になさい」


 トーデルは手を振るだけで、魔力の糸はシャオウの両手を切り裂いた。




「シャオウ!!」

「すいません……」


 シャオウはその言葉を最後に、首を飛ばされた。その首がこっちへ向かっていたアリアの足元へ転がっていく。






「し、シャオウ……!な、なんで、トーデルが!!」


 アリアはトーデルが仲間を殺していることに信じられなかった。トーデルはロンの仲間で一緒に解放軍で頑張ろうと決意した仲間だった。いつもロンお兄様の後を着いていたアリアもそのことをよく知っていた。


 だが、そのトーデルが解放軍の仲間を殺している…………




「やっぱり来ましたね。貴女の性格だったら、危険でも来るのはわかっていました」

「なんで、なんでよ!!ロンお兄様と一緒に解放軍で頑張ると決意していたじゃないの!?」

「ふ、ふふふ、ふはははははーーーーーーーー!!」


 トーデルは周りが戦いの途中でも、腹を抱えて笑う隙を見せていた。もし、その隙を突こうとしても、『白絶』によってバラバラにされただけだろう。




「ーー本当に貴女は馬鹿ですね。この私が帝国での地位を捨てるとでも?」

「ーー帝国は『覇』を掲げ、強い者が偉くなって生き残り、弱い者は苦しんで死ぬ。そんな無茶な政治が認められるわけがない!!」

「認められるのですよ。力を持った者は生き残る術を持ち、力を持たない者は何も出来ないから、死ぬ。それだけでしょう?」

「力がある者が力がない者を助けていけば、いいだけなのに……。ロンお兄様は、力がない民たちのヒーローだったよ。出来るのは証明されているのに、何故、そうしないの!?」


 ロンはいつでも力のない民達を助けていた。強者が弱者を虐げる姿を見つければ、いつでも助けに行った。

 帝国での強さは権力、お金、実力で決まってしまい、その強さを持たない者は帝国では弱者のカテゴリに入る。

 ロンはそれが許せないから、帝国で神器使いとしての地位を持っていても、解放軍へ行くことに決意したのだ。昔からの親友であるトーデルを誘い、アリアも一緒で解放軍がいる場所へ向かった。

 そこまでは良かったが、向かった場所には解放軍はいなくて、裏切り者を捕まえるために編集された部隊がいたのだ。

 二人はアリアを逃がして、後から追いつくということになった。


 アリアは神器使いのロンお兄様がいるし、トーデルが神器使いだと聞いていなかったが、強いとロンから聞いていた。だから、心配はしてなかった。必ず生き残って追いついてくれると…………









 だが、戻ってきたのは、『白桜』を持ったトーデルだけだった。




 アリアはロンお兄様は!?とトーデルに問い詰めたが、向こうに神器使いが二人もいて、ロンはやられたと。神器だけは取られずに逃げ切れたが、『白桜』は既に色を無くしていた。アリアは白桜を抱きついて泣き崩れた。


 その時から、アリアは初めて帝国に殺意が湧いた。ロンお兄様を殺された憎しみが解放軍へ入る理由になった…………




 今、二人の意見は交わらない。アリアは今までトーデルのお世話になっていたこともあり、まだ今の状況は信じられないでいた。だが、次の言葉がアリアの心が決まる。






「やはり、貴女はロンに似ていますね。その考えが嫌いです。だから、後ろからやらせて貰いました」







 トーデルから出た言葉が、アリアからの言葉が止まった。トーデルは後ろから(・・・・)と言っていた。




「ロンの守りは硬いので、後ろからざっくりと斬らせて貰いましたよ。ふふっ…………」

「お、お前がッ!ロンお兄様を!!」


 先程まで残った理性が吹き飛んだ。後ろからということは、ロンがトーデルを守っていた時、仲間の振りをしていたトーデルが後ろから斬ったという意味である。


 トーデルは右手を振り上げて、アリアを狙う。アリアは声を上げ、『白桜』でトーデルを殺そうと突っ込むが…………




「お前ら!アリアを守れ!!」


 重傷だが、まだ生きていたゲール隊長が数を減らしていた解放軍の仲間へ命令を出す。




「ああああぁぁぁ!!」

「あっ!?」


 アリアの一番近くにいた男が突き飛ばして、代わりにトーデルの攻撃を受けていた。その男は頭を半分に斬られていたが、顔は笑顔だった。アリアが無事だったからだろう。




「やれやれ、弱者を守ろうとして死ぬなんて、わかりませんね」

「お前にはわからねぇだろうな!!弱者だろうが、未来に繋げることに意味があんだよ!!」


 戦っていた解放軍の全員が、アリアの側へ行き、守っていた。生き残っているのはアリア、ゲール隊長、ジョバンニ、あと二人のメンバー。




「未来に繋げるね、全員が死んだら意味がないのでは?」

「ぐぁっ!?」


 ゲール隊長はまだトーデルの足元にいて、刺された場所を踏まれていた。アリアは怒りで頭が沸騰しそうな程にだった。




「俺はいい!お前らはアリアを連れて逃げろ!!」


 ゲール隊長の命令、アリア以外のメンバーはそれに頷いて、アリアを連れて逃げようと動いた。




「逃がすか!部隊全員で……」

「いえ、その必要はありません」


 部隊全員で追いかけようと命令を出そうとした時に、トーデルに止められた。

 既にトーデルの両手が動いており、金属製の指先から魔力の糸が解放軍の周りを張り詰めていく。




「クソ!こんなことも出来るのかよ!!」

「ヤバい、逃げ道が……」


 魔力の糸に囲まれてしまい、逃げ道がなくなった。




「もう終わりにしてあげます。”乱斬糸”!」


 囲んだ糸が全位方向から解放軍へ向かっていき、逃げ道がない避けられない技である。

 アリアはここで死んでしまうの?と考えた先に、周りにいる解放軍の仲間が瞳に写った。




 自分を守ろうとしてくれた仲間が死ぬ?



 それは、自分が死ぬよりも嫌だった。



 いつでも良くしてくれた仲間を守りたい。






 その思いが、『白桜』の持っ手から伸びる丸いアクセサリーが桃色に光ったーーーー





この回は主人公が全く出ませんでしたね。

多分、次回は出るかと思います!

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