第十二話 食料調達へ
はい、どうぞ!
コカトリスを倒してから、翌日になった。
ちなみに、コカトリスはアリアと一緒に美味しく頂いた。ジョバンニは解放軍の元で食べて、アリアは出発する前に料理番の人にいらないと断っていたようで、ジュンと一緒に食べたのだ。ジュンは別に食事ぐらいは分けても問題はなかった。
コカトリスの肉は舌が蕩けるような柔らかさで、量が多くても口はどんどんと進んだ。
だが、一番驚いたことがあった。それは、アリアがジュンよりも沢山食べていて、三食分はあった量があっという間になくなってしまったのだ。
また朝から取りに行かなければならなくなり、一言は文句を言おうと思ったが、アリアはジュンが作ったコカトリス料理を美味しそうに食べるから、仕方がないと諦めたのだった。
日が上がり、食料を調達しようと外へ出ていたら、周りにいた人の声が聞こえてきた。
「アレがコカトリスを……」
「私も聞いたわ。無傷で倒されたと」
「なんてな奴だ……」
昨日、ジョバンニの報告で解放軍の皆へ知れ渡ったようだ。ジュンはどうでもいいように無視をしていたが、向こうの一人が話しかけてきた。
「はーい、昨日のコカトリスはどうだったんだい?美味しかったか?」
「……お前が作った訳じゃないだろうが。なんで感想を聞くんだよ?」
「えー、つれない!いいじゃん、私は食べたことがないんだから、感想ぐらいは聞かせてよー!!」
赤毛の短髪で、調子のいい少女がジュンの前に現れて、コカトリスの感想を聞いてきた。彼女はアリアより歳が五つも上だが、ジュンから見たらアリアと変わらない身長で、同じ歳にしか見えなかった。ちなみに、アリアは13歳でした。
「感想なら、アリアに聞けばいいだろう?俺より沢山食べていたからな」
「あははっ、アリアは沢山食べるからねー。あ、だから今から食料調達に?だったら、私もついて行くわねー!!」
「はぁ、昨日のを見て、気安く話しかけられるな……」
「ん?私は昨日、何があったか聞いているけど、そこにはいなかったわよ?」
「そうだったか?」
ジュンは誰がいたかはそこまで覚えてはいない。
「あ、自己紹介はまだだったわね!私はチェリーと言うね。昨日は偵察組で拠点から離れていたの。これからも宜しく!!」
「俺はジュン。先に言っておくが、解放軍の仲間になってないからな」
「それも聞いているよー、隊長が無茶な選択を出したから悪いのはこっちなの。その無茶な選択を無茶なやり方で切り抜けたのは驚いたけどね」
「お前はわかっているじゃないか。アレが隊長で大丈夫なのか?」
隊長の資質が感じられなかったから、何故、隊長になっているのかわからない。だが、それはジュンには関係はないので、さっさと食料を取りに行こうとする。
「ジュンお兄様!!」
「あ、また来るのか?」
「私がお世話をするから!!」
「むしろ、俺がお世話をしているような気がするが、気のせいか?」
やる気満々のアリアを見て、呆れた表情のジュン。アリアにジョバンニはどうした?と聞いたら、代わりにチェリーが答えていた。
「ジョバンニは監視のために来るんだよね?だったら、代わりに私がやるわよ」
そう答えて、近くにいた人を呼び寄せて、隊長への伝言を残していた。
伝言を残したチェリーは一緒に食料を調達することに。
「まぁいい。誰が来ようが、やることは変わらないしな」
「豪気な性格をしているわね」
「というわけで、お前に荷物持ちをやって貰うぞ」
「はぁっ?私が荷物持ちしか出来ない子だと思われているの!?」
心外だとぶりぶりと怒るチェリーだが、ジュンはそういうつもりではなく、別の理由があった。
「違う、アリアを見ればわかる。食料がどれだけ必要か……」
「……………………あぁ、なんかゴメンね」
チェリーはジュンが言いたいことを理解して、家族として謝ったのだった。本来なら、昨日のコカトリスだけでも一日分は持たせられたが、アリアもこれから一緒に食べるつもりなら、昨日よりも沢山の食料を集めなければならなくなる。
基本的はジュンだけが戦うから、手に入れた食料を運ぶのは着いてくる二人に任せることになる。
「コカトリスもいいが、他に食べれる魔物がいたら、教えてくれ」
「了解したわ」
「ご飯ー♪」
アリアは美味しいコカトリスの肉を食べれたことで、ご機嫌だった。解放軍の作るご飯は充分おいしいが、やはり材料の差でジュンに軍杯が上がるのだ。
また美味しいご飯を食べれるかもしれないから、軽くスキップをしながらジュンのローブを掴んでいた。
だが、その笑顔は長く続かなかったーーーー
「い、いやぁ!イヤァァァァぁ!!」
今のアリアは先程の笑顔ではなく、泣き顔になっていた。嫌がる素振りは振りではなく、本気で嫌がっていた。
隣にいるチェリーはその様子を見て、苦笑していた。
何故、そんなことになっているのかは…………
これから、料理の材料になるのが…………
カエルなのだからだ。
それもただのカエルではなく、一メートルぐらいの大きさがあり、長い舌を使って攻撃している魔物である。
アリアは普通のカエルも苦手で、触れないぐらいにだ。その苦手なカエルが朝ご飯になろうとしているのだから、アリアが嫌がっても仕方がないだろう。
「なんで、嫌がる?カエルは美味いぞ!!」
「イヤァァァァぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「ふふっ、このコンビは面白いかもね」
結果、アリアはカエルを絶対に食べないと言い切り、仕方がなく別の魔物を探すことにしたのだった。
次回には戦闘成分が少しあると思います。では、お楽しみにしておいてね!