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トンネルの向こうは異世界!?  作者: 神代零
2章 解放軍に……
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第十話 野郎の犬耳よりも少女の頭を

はい、どうぞ!


 


 ジュンは客として、解放軍で寝床を獲得することが出来た。アリアに案内して貰い、隠されていた建物の中にあるいくつか同じような部屋があって、誰も使ってない部屋に着いた。その部屋には机、椅子、ベッドだけだったが、それで充分だった。




「ふむ、最低限の設備があるようだな」

「ジュンお兄様……、さっき、なんであんなことを……?」

「そりゃあ、俺を武力で抑え込もうとしたからな。後、お礼はこの部屋を数日、借りるだけでいい」

「……!ご飯とかは……」

「いらない。自分で準備をする。知らない奴らに作ってもらった料理は信用出来ないからな」


 店で売っているなら、なんとか食べれるが、今みたいに部屋の貸し借りだけで一緒にいるだけの関係は信用出来ない。さらに、関係が最悪なだけに、毒を入られてしまう可能性も高い。




「そんな、みんなで一緒に食べた方が美味しいのに……」

「ゴメンな」


 部屋を確認し終わったら、すぐ食料調達へ向かうことに。建物内を記憶して、自分の部屋へ戻れるようにしてから、建物から出て行く。

 こっちを見ている人が何人かいたが、無視。




(夜に聞いた、鳥の魔物を探してみるか?)


 トーデルに聞いた話だが、皮膚が柔らかくて美味しい鳥が生息している魔物がいると。姿の特徴は聞いてあるので、生息している場所へ向かうために森の中へ入ろうとしたが…………




「ジュンお兄様!!」

「ま、待って下さい!!」

「は?」


 後ろから慌てて走ってきたのは、白桜を持ったアリアと犬耳を持った青年の姿だった。




「僕は貴方の監視というか、一緒に行動するようにと言われました!ジョバンニと言います。宜しくお願いします!!」

「私はジュンお兄様のお世話を任されたから、一緒に行く!!」

「監視って……、普通は言わないものだろ?それに、アリアも無理に着いてこなくても、一人で大丈夫たぞ?」


 断りを入れるが、アリアはふるふると首を横へ振って、ジュンのローブを掴んだ。絶対について行くと、顔に書かれていた。




「ジュンでしたっけ?ロンさんに似ていますね……」

「……はぁ、まあいい。邪魔になるなら、置いていくぞ?」


 森の中へ入っていき、目的の鳥を探していく。もし卵まで見つけることが出来ればラッキーだが、そこまでは期待しない。




「ねぇ、ジュンは何故解放軍に入ると嘘を付かなかったの?嘘を付いて、数日後に抜け出せれば良かったんじゃないの?その方が楽に暮らせたでしょ?」

「まぁ、その方法もあるのは知っていた」


 生息している場所に着くまでは暇なので、その質問くらいは答えてやる。




「俺は不義理なことが嫌いだ。それに、その方法は解放軍の下に入るのと変わらないし、弱い奴の下に付くのは気に入らない。それが理由だ」

「弱い奴の下に付くのは気に入らないか……、それはわかるかな」


 獣人であるジョバンニは、強い者が上に立つという生活をしてきたため、ジュンの考えに共感出来る。




「ここだけの話だけど、僕はゲール隊長が隊長だと認めてない。僕は帝国が憎いから入ったわけじゃなくて、憧れの人が解放軍に入ったから、一緒に入ったわけだ」

「ジョバンニ……」

「わかってるよ、ここだけの話だから。ジュンもゲール隊長には言わないでくれよ」

「解放軍には興味ないから、スキンヘッドに伝える理由がない」

「あははっ!スキンヘッドね、面白いあだ名を付けたな」


 ジョバンニはゲール隊長の頭を思い出して、ククッと笑っていた。アリアも口に手を当てて、笑うのを我慢しているのが見えた。




「で、お前は憧れの人と一緒に入ったが、別々に配属されたってことか?」

「そうだよ!!何故、俺がスキンヘッドの下で働かなければならないのだ!!」


 遠吠えをするように、口調が悪くなってくるジョバンニ。




「ジョバンニ、口調が変わってるよ」

「おっと、頭に血がのぼると口調が変わっちゃうよな……。今、憧れの人であるサザン様はここから北に配置されています。サザン様は元帝国の騎士でしたが、誰にも優しくて、獣人でも差別しなかったし、さらに強い実力を持っていますよ!!」

「ふーん」


 ジュンは知らない人のことを聞いても、会わない限りは興味を持たない。まだサザン様についての話を続けるジョバンニを無視して、横を歩くアリアの頭を撫でていた




「んむゅ?」

「ん、ああ、すまん。撫でやすい位置にあったから……」

「いい。また撫でて…………」


 撫でてもいいと言われても、理由なしに撫でるのは如何かと思って、頭から手を離したら、少し悲しそうな顔になった。

 それを見たジュンは仕方がないと思い、理由を作ることにした。




「これから食料になる鳥を捕まえるんだが、アリアが捕まえたら撫でてやるよ」

「……!!が、頑張る!!」

「おらっ、ジョバンニも話を止めにして、目的の鳥を探せ」

「うわっ、蹴るなよ!?」


 まだ話していたジョバンニのケツを蹴って、こちらへ注目させた。鳥の特徴を教えるためにだ。


 これから探す鳥の特徴とは…………




 赤いトサカが付いており、体長は二メートル。身体は灰色の毛皮をしている。




 ここまで聞いて、アリアは体長が二メートルもあることに口をポカーンと開け、ジョバンニは犬耳がピクピクと反応をして………




 攻撃は口から石化成分を吐いて、飛べないが強い筋力の脚を持つ。




 そこからアリアはジュンが何を狙っているのがわかったのか、顔を青ざめ、ジョバンニは顔が形容できない表情になった。




 身体は柔らかいから、ただのナイフでも効く。ただ、喉にある石化の喉袋を攻撃すると周りに石化成分が散らばるから気をつけろと、説明をしたジュンだったが…………








「「コカトリスを!?」」









 ジュンが狩りに行こうとしたのは、石化成分を吐く化け物で、二級魔物のコカトリスだったのだ…………







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