第2話「掟を破ったとしても」
翡翠です。
第2話になります。
少し暗い感じなっちゃったかな。
二人をどうか見守ってあげてください。
では、どうぞ!
掟を破ったとしても
ああ。私掟を破っちゃったの。どうしてもあの人は助けたかった。あの人・・・そう。優希くん。彼は私が死んでユーレイになる前に1度出会ったことがある人。
私は中学1年生の時にいじめられてた。毎日学校に行くのが嫌で最終的には学校も行かなくなって、私なんていらない存在なんだって・・だからあの日私は死のうと思ってあの橋を渡ろうとしてたの。でも、そしたら前からきた優希くんとぶつかっちゃって・・・
「ごめん!大丈夫だった?ほら、手かして。」
そう言って私にぶかった男の子が手を引いて起こしてくれた。
「大丈夫だった?ちょっと急いでたんだ。あれ?君泣いてるの?ごめん痛かったかな・・・ああ。そんな顔してちゃ君の可愛い顔が台無しだよ。はい。ハンカチ・・。僕ので悪いけど。」
男の子は私の涙を自分のハンカチで拭いてくれた。
「あ、ありがとう。でも・・いいの。私、もう・・・・」
「なんだよー。この世の終わりみたいな顔だな。もっと人生楽しめよ!じゃ、僕急いでるからさ。あ、そうだもう泣くなよ?僕、君が泣いてるのなんだか、嫌なんだよ。あと、ハンカチはあげる。じゃあね。」
「あ!」
行っちゃった・・・なんか私のこと可愛いって・・・他にも励ましてくれたし。あの人・・名前なんていうんだろう?ああ。また会えるかな?私・・・生きててもいいのかな。あの人は私のこと嫌わないのかも・・・それならあの人に会うために・・・
それから優希くんには会えずに14歳の時に交通事故で死んじゃうんだよね。でも、私は優希くんのおかげで生きる希望をもらえたんだ。だから、そんな命の恩人を死なせたくなかった。
だから、思わずトラックに轢かれそうになった優希くんを助けっちゃったの。
ユーレイ界の掟って結構厳しいんだ・・。今回はこんなこと初めてだったし私の足が取られちゃっただけで終わったけど次こんなことになったら私は転生できない彷徨うユーレイになっちゃうかもしれない・・。ああ、優希くん。ほんとはもっと一緒にいたかったよ。私の命の恩人で私の初恋で私の大切な人。でも、これ以上迷惑はかけられない。私と一緒にいるとユーレイ界が黙っているわけがないし。だから、さようなら。私の大好きな人。
ハル・・・。君とは初めて会った気がしないんだ。ただ命を救われただけでこんなに気になるものなのか?もしかしたら、僕たちは出会う運命だったんじゃないか?でも、君はユーレイだ。ユーレイの君とは自由に会うこともできない。そうすればいいんだ?君にであってしまったんだ。もう、忘れられないよ。だから僕は・・・。
「でさー。・・・ゆうきー!聞いてるか?なんかさ、最近お前おかしくないか?ぼーっとしてること多いし人の話聞いてないしさ、なんか悩み事かよ?てか、お前受かったんだろ?いいよなー私立はさー。先に決まるし、俺のとこなんて金ないから公立だぜ?ああー。早く勉強地獄から抜け出してー」
なんて隣で亮は今日も元気だ・・僕のことを心配してくれているけど僕はそれどころじゃない・・。
実は最近、ユーレイについて色々調べてるんだ。転生についてを特に・・・。あとは、ユーレイの呼び出し方とか・・。そりゃあ、こんなことしてたら亮だって心配するよな。
「あ、悪い。ぼーっとしてた。まぁ、行きたい高校だったからさ。お前も頑張れよ。で、なんだったっけ?」
「だからさ、なんで、お前そんな本読んでんだよ?」
亮が僕の持ってる転生の方法大全集を指して言った。
「ちょっと、転生ってどうやるのかなって・・・」
「はあ?大丈夫か?お前、やっぱどっかで頭打ったんじゃね?」
「大丈夫だよ。心配してくれてさんきゅー。ま、とりあえず気にしなくていいから。」
そう言って僕は教室をでていつもの場所に向かった。最近のお昼ご飯は屋上で食べるようにしている。もしかしたらハルに会えるかもしれないから・・。あとは誰にも邪魔されないで本を読めるからだ。
なぜかというと、うちの学校の屋上にはユーレイがでるという噂がある。だから、普通の生徒は誰も近寄らないんだ。もしかしたらそのユーレイはハルかもしれないし、何か手がかりになるかもしれない。僕はここ2週間ほどこうして一人本を読みながらここで昼休みを過ごす。が、いい情報は得られず、ハルも会いには来てくれなかった。
ごめんなさい。優希くん。私は毎日あなたが屋上でお弁当を食べてるの知っているの。私に会いに来てくれてるのだって知ってる。もちろん、色々調べていることも。だけど、私には何もできない・・。そんなことをしたらあなたにどんな仕打ちがあるか。
どうか許して、私があなたの前に姿を現してしまったこと私はあなたを助けたこと後悔はしていないわ。だって、あなたが生きていてくれることがとても嬉しいの。でも、辛そうなあなたをみるのは悲しい。どうか、早く私のことを忘れて?何か、何かいい方法はないのかな・・。
そうだ、せめて夢のなかなら許されるかな?もし、何かあったときはごめんなさい。でも、私も優希君に会いたいの。だから、今だけは夢の中だけでも・・・
ああ、なんだか心地の良い夢を見ていたような気がする。とても暖かくて懐かしくて優しい夢。このまま目が覚めなければいいのに。ずっとこのままで・・
覚めないでくれ。覚めないで・・・・
「君は・・・」
目が覚めるとなぜか泣いていたんだ。なんとなく、ハルの夢を見ていた気がする。けど、そんな夢だったかは思い出せない。ただ、この涙はあたたくて優し感じがするのがわかるんだ。
僕は涙を拭いて出かける支度をした。
今日は学校は休みなんだけど大切な用事がある。
僕の親戚には霊媒師のおじさん、正確にはまだ20代後半だからお兄さんかな?がいるんだけど、今日はそのお兄さんが海外から帰国するっていう連絡が入ったから僕は久しぶりに会いに行く約束をした。たぶん会うのは6年ぶりくらいだと思う。名前は京介さんといって霊媒師の勉強をするために海外をめぐっているおじさんなんだ。だから、僕は余りあったことがなかったし、親戚の中でも変わり者扱いされてたから余計に会う機会がなかった。けど、僕はハルに会いたいんだ。色々な情報を探してはいるがなかなかみつからない。このままじゃいつまでたってもハルに会えないと思った僕は京介さんのことを思い出し、すぐに連絡をとったんだ。そしたらちょうど帰国するっていうから、早速会えないか頼んでみた。
迎えに行くのは近くの駅まで。京介さんは空港から自分の実家がある駅まで来てくれる予定なんだ。
僕は駅の改札前でちょっと緊張しながら待っていたんだけど。
「よぉ!久しぶりじゃないか!大きくなったなー!」
大きな声で改札の向こうから声をかけてきたのは京介さんだ。
「ちょっと待ってろ!今行くから。」
それなりに大きなキャリーケースを持った京介さんは改札を出て僕のほうへ来てくれる。
「お久しぶりです。いきなり会いたいなんていって、すいませんでした。」
「いやいや、俺も久しぶりに甥っ子に会えたんだ。嬉しいさ。で、何か話でもあるのか?」
早速京介さんは僕に聞いてくる。
「あ、はい。でもここでは話しづらいのでどこか行きませんか?」
「わかった。あ、そうそう敬語使わなくていいぞ。なんか気持ち悪いしな。それじゃ、実家でも戻るか。今日は誰もいないらしいしな。」
僕は京介さんに連れられ父さんの実家でもある家に招いてもらった。
なんだか、ちょっと古い家の匂いがして僕はこの家が案外好きだったりする。
京介さんの部屋には怪しい置物だったり書籍だったりといかにもな物がおいてある。それをまじまじ見ていると。
「なんだゆうき。そういうの興味あるのか?」
「うん。最近興味でてきたんだ。」
嘘ではない、最近ハルと知り合ってハルと会うために色々なことをしらべているのだから。
「おおー。そうかー。なんか嬉しいなー。で、相談ごとがあるんだろ?なんだ?」
僕はハルのことは話さずに知りたいことの方法を聞いた。
「えっとさ、僕、ユーレイにあってみたいんだよ。で、どうやって呼び出せるのかなって、他にも転生の仕方とか知りたくて。」
「ユーレイかー。なんだ?会いたいユーレイでもいるのか?」
「うん。」
「俺はさ霊媒師っていう仕事をしてるから、霊も見えることはあるし、危ない仕事もしたりする。が、特定のユーレイを呼び出すっていうのは結構難しいんだ。悪霊とかを祓うのとはわけが違う。呼び出すっていうのはな、それなりの力と想いが必要なんだよ。あとな、転生っていうのは俺も詳しくはわからないんだが、ユーレイ本人が修行して頑張るしかないんだ。ユーレイにもランクがあって、最高ランクになれると新たに生まれ変わることが許されるらしい。だから、これについては俺にはどうすることもできないな。」
京介さんは僕の質問にちゃんと答えてくれた。僕はどんなに大変なことでも、ハルに会うためならやりたいんだ。想いなら大丈夫だと思う。あとは力・・。
転生は僕にはどうしようもないのかもしれない。でも、会うことはもしかしたらできるかも・・・。
「なんだ?ユーレイに友達でもできたのか?」
「友達じゃないかな・・。好きな人・・なんだ。たぶん、初恋。」
顔が赤くなるのがわかる。
「はー。そりゃ難しいな。死んでるやつに恋をするなんざ、報われないぞ?俺はユーレイ祓う仕事してるが依頼人に取り付いてる霊は元恋人だったりするからな・・。ユーレイは結局悪霊にもなるしな、色々と世界の断りを崩すことにもなる。」
「それでも、僕は会いたいんだ!」
「気持ちはわかるけどな。覚悟がないとお前・・・大変なことになるぞ?」
「覚悟ができてる。想いは誰にも負けないよ。」
「もし、俺が言ったことを全て守れなかった場合。お前は死ぬぞ、転生できなくなって二度とその好きな奴にも会えないかもしれない。それでもいいか?」
「僕はハルに会うためならなんだってするって決めたんだ。だから、どんな条件でも大丈夫です。」
京介さんはソファに腰掛けて深い息をつく。
「はぁ。わかった。じゃあ、準備しておくから次の満月の日に俺の指定下とこに来い。内容はその時に言うから。」
「わかったよ。無理言ってごめん。」
「いいよ。そういう青春みたいなのは嫌いじゃねぇからな。そのかわり、絶対成功させろよ。」
僕は京介さんに向かってしっかりと
「うん!」
待っててね。ハル。必ず成功させるから。
そしたら、君が転生する方法だって一緒に考えよう。
ああ。満月の日が待ちどうしい。早く。ハルに会いたい。触れたい。
読んでいただきありがとうございました。
ではでは、次回でお会いしましょう。
翡翠