プロローグ:『もしこの世界で私が死んだら』
[システム音声] —バッテリー充電完了。 —サーマルスーツ、100%チャージ完了。
****: 「フユノ、君のスーツは満タンだ」
フユノ: 「ヒノ、あなたは?」
ヒノ: 「こっちは88%だ。夕方には満タンになると思うよ」
フユノ: 「ねえ、いつかこんな生活が終わる日は来るのかな? また昔みたいに、ただスーツを充電するためだけに基地から基地へと旅をしなくてもいい、そんな普通の生活に戻れる日が……」
ヒノ: 「そうなればいいけどな……。でも、地球はこの新たな氷河期の中を彷徨い続ける運命にあるんだ」
フルーツジュースを飲みながら、フユノという名の少女とヒノという名の少年は、かつての世界の思い出を作っていた。 「僕たちはこれからもずっと今のままでいられるのだろうか、それとも離れ離れになってしまうのだろうか」
フユノとヒノは同じ基地で生まれ、幼少期を共に過ごした。 外の世界とは裏腹に、二人の子供時代は平和で幸せなものだった。しかし、彼らの基地はエネルギーを完全に使い果たしてしまい、再充填する手段も失われてしまった。そのため、住人たちは散り散りになるしかなかったのだ。
フユノを双子の妹のように大切に思っていたヒノは、彼女を連れて外の世界へ出る決意をした。 外は極めて過酷な環境へと変貌していた。気温はマイナス100度、時にはマイナス500度(※)にも達するため、サーマルスーツの使用は不可欠だった。さらに、「イエティ」のような新種の猛獣も現れていた。
地球がこのような姿になったのは、最初は人間の行いが原因だった。 世界の終わりが訪れる前、人類は超知能ロボットなどの多くの技術を発展させたが、同時に2134年には月を一瞬で破壊できる「ソーラーボム(太陽爆弾)」のような兵器も作り出した。
かつての人類は戦争を繰り返し、終末の世界には廃墟だけが残された。生き残った者はエネルギーの残る基地に住むか、フユノとヒノのように基地から基地へと旅をするしかなかった。
だが、世界の終わりの真の原因は、地球の核の「孵化」だった。 長年、科学者たちはそれを太陽光から地球を守り、地球のエンジンの役割を果たすマグマの塊だと思っていた。それがまさか、巨大な生物を宿した「卵」だとは誰も想像していなかったのだ。
人間の活動による影響、そして時間の経過と共に、卵は孵化する時を迎えた。 2450年、ついに卵は孵化した。
当時の科学者は、その生物によって地球が2502年に滅びると予測した。 終末の始まりは、海への大量のCO2(二酸化炭素)の放出、それに続く気候の寒冷化だった。気温はマイナス20度まで下がり、地軸がずれ、太陽に対する自転が遅くなった。
それが引き金となり、第六次氷河期が訪れたのだ。
人々は最悪の事態に備え、温暖な都市の地下を掘り進めた。 しかし、生まれたばかりのその生物が地中を熱していたため、地下に住むことは不可能だった。 人類は地上で生きるしか道はなかった。
その時、ある科学者が一つのアイデアを思いついた。ソーラーボムのエネルギーと、ロボットの残骸を利用して「サーマルスーツ」を作ることだ。 だが、旧世界の権力者たち、特に唯一ソーラーボムを所有していたアメリカはこれに反対した。
世界中で暴動が起き、政府は民衆の要求を受け入れざるを得なかった。 アメリカでも内戦が勃発したが、最終的にソーラーボムのエネルギーは回収された。
こうしてスーツは製造されたが、問題があった。太陽エネルギーは無限ではなく、再生するには50年もの歳月が必要だったのだ。それでは手遅れになる。
そこで科学者たちは、このエネルギーを利用して安定した生活を維持できる、1万人収容可能な基地を建設することを提案した。 基地のエネルギーが尽きると、探検家がサーマルスーツを着て他の基地へ赴き、太陽エネルギーを取引しなければならない。
これがうまくいけば生存できたかもしれない。他の基地がエネルギー提供を受け入れてくれれば。 だが多くの場合、彼らは拒否し、相手の基地を見殺しにした。それが連鎖反応を生み、エネルギー提供を拒否し合い、基地が滅び、また次の基地が滅びる……という悪循環に陥った。
結局、2502年を待たずして人類の大半は死に絶えた。 しかし、より少ないエネルギーで稼働する小さな基地で生き延びている人間もいた。 そんな状況下の2484年12月、フユノとヒノは生まれたのだ。
やがて小さな基地もエネルギーが尽き、住人たちはスーツを持ち出すことができるようになった。 人々が別行動をとったのは、少人数の方がまだエネルギーの残っている基地を見つけ、そこに定住できる可能性が高いという唯一の理由からだった。
一方で、フユノとヒノのように遊牧民の道を選ぶ者もいた。 だが、彼らがこの生活を選んだ本当の理由は、ヒノがどうしてもフユノに見せたい「ある美しい場所」があったからだ。
2499年、彼らの基地はついに機能を停止し、住民は全員そこを去った。
二人の友が旅を始めてから、もう1年が経つ。 旅を終え、その場所に辿り着くまでに残された時間は、あと2年しかない。




