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神なきアラクレ  作者: 波多江の男
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あつまれ1年の森

 俺は先輩と戦った。能力ありのナンデモありの勝負。今までろくに戦ったことのない俺が能力者あふれるこの学園で一年以上過ごしてきた先輩に勝てるとは思わなかった。もちろん胸を借りるつもりだったし、戦い方というものがわかれば十分だと思っていた。ここまでの語りで大体わかるだろうがきっぱりと言おう。圧勝だ。完膚なきまでの圧勝。先輩が能力を発動することもできず今は天井に突き刺さっている。あの人なんであんなに自信満々だったのだろうか。俺には知る由もなかった。


 「あ、先輩大丈夫っすか?引き抜くの手伝いましょうか?」


 「………………………」


 へんじがない。ただの しかばね のようだ。

 とりあえず引き抜いてみた。


 「久しぶりですね先輩。本日はお日柄も良く」


 「うん舐められてるね。一応先輩だぜ僕。」


 「後輩に天井に突き刺されて後始末まで任せきっきりなのに残る威厳を俺は知りません」


 「ふん随分言うようになったじゃないか後輩君」


 「今まで言わなさ過ぎただけですよ」


 「まぁ勝者へのご褒美としてそのぐらいは許してあげよう。僕が弱いのは当たり前として君、思ったより強いな」


 「まぁ確かに戦う中で感じてしまいましたよ、自分からあふれ出る圧倒的な才能を」


 「君も相当調子に乗るタイプだね」


 しょうがない。調子に乗れるのは勝者の特権だ。今のうちに調子に乗って置かないと後で後悔してしまう。


「あっ。もうこんな時間か。ごめ〜んこれから夜勤のバイトが入ってるんだ。」


 もうそんな時間か。くそっ!もう少し調子乗っておけばよかった。


 「じゃあ今日はこのぐらいでまた機会があれば会おう。」


 「はいまた今度。今度はポイントかけてやりましょうねセ〜ンパ〜イ。」


 「やだよ。君僕からポイントぶんどる気だろ。ただでさえ少ないんだ勘弁してくれ。」


 先輩がバイトへ向かうと思ったが踵を返し一言


 「後、新入生交流会頑張ってね」


 「「新入生交流会??」」


 いや、なんであんたも聞き返すねん



--------


 翌日、相変わらずボッチだったので公園で読書をしていた。今日の天気は雲一つない快晴だ。ポカポカして暖かく、公園で遊ぶ人達の声がほどよい雑音となって読書に集中できる。


 「ふむふむ……素晴らしいな」


 しまった文学少年であるがゆえに本の感想が思わず声に出てしまった。いや失敗失敗。だが許してほしいこの本は今日発売の最新刊なのだ。ネタバレを気にせずゆっくりと読めるこの環境でつい興奮してしまう、そんな状況は誰にだってあるだろう。文学少年であるがゆえに。


 俺がゆっくりと読書を楽しんでいたその時ふと視線を上げると反対側のベンチに屈強な男がいた。屈強な男など探せばそこら辺にいるだろうが俺が目を引かれた理由は別にある。というか手元の本にある。奴の手には俺と同じ本が、そう同じ「Monday Silver」の文字があった。今まで文学少年を装って言うのを避けてきたが奴の手には俺と同じグラビア雑誌があった。


 「おいお前、こんな白昼堂々公園でグラビア雑誌を読むとかイカれてんのか?」


 男は読書を邪魔されて苛ついていたが俺の手元をみた瞬間この世の全てを理解した。


 「ふん、確かにイカれてんのかもな、この世界は。」


 「あぁそして俺達はそんな世界で生きている。全身全霊でな。」


 俺達はベンチから立ち上がって熱い握手をする。きっと今この瞬間の俺達がこの世で一番熱かったのは言うまでもなかった。


 「はいちょっとそこの君たち。良くないよ公園という公共の場でそんないかがわしいもの持ってちゃ。同じ紅魔堂の生徒として恥ずかしいことこの上ない」


 ?????白昼堂々そんなだらしないもんをぶら下げながら歩き回ってる阿呆がいるのか。なんて嘆かわしい。


 「はい君たち名前は?メモって風紀委員長に報告させてもらうから」

 

 女子が俺達に話しかける。何故だ俺達は何もしていな………そうか本を読まない人にとってグラビア雑誌(これ)はいかがわしいものなのか


 「相馬隼人……ただのしがない文学少年さ……」


 「北東創志………世界に囚われた旅人ってところだな」


 そうか我がソウルメイトの名は北東創志っていうのか胸に留めておこう。とか考えていたら風紀委員らしい女子が俺達に驚愕の目を向けていた。


 「北東ってあの北東?一年狩りとかいう変なこと宣言してほとんどの一年倒してる北東?」


 「確かに見つけた一年に片っ端からケンカ売ってるが、そんな噂があったのか」


 ほへぇ〜そんな凄いやつだったのか。あれでも俺ケンカ売られてない。悲しい


 「しかも相馬隼人っていきなり上級生にケンカ売ってワンパンで倒したとか言う奴じゃん」


 噂も一人歩きどころか旅しちゃってるよね。大体合ってるけど肝心の相手に触れてないよね。あの人(先輩)なら誰でも倒せるよね。でも……


 「確かに見つけた先輩に片っ端からケンカ売ってるが、そんな噂があったのか」


 俺達は目を合わせ二人で呼吸を合わせる。


 「「へえ!!俺達ってそんな凄い奴だったのか〜!!」」


 「キモ」


 ((悲しい))


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