『0と360』 バレンタイン特別短編!
0度と360度。
角度において、二つの違いは何か?
そう問われた時、大抵の人は「等しい」と答えるだろう。
それは正しい解答だ。
しかし、二つが異なる事象だったとしたら?
まず簡単な話として0度と180度は正反対を意味している。
つまり、0度が「プラス」ならば180度は「マイナス」となる。
0度が「好き」ならば180度は「嫌い」であると考えることができる。
そう考えた時、0度における「好き」と、360度における「好き」とでは、表面上は等しい「好き」という終着点であったとしても、込められる意味は異なっていると言えるだろう。
0度における好きとはいわゆる一目惚れだと仮定する。
となれば、360度における「好き」とは、0度で「好き」になって以降、360度分の経験を経たことによる「好き」へと成長している。
360度回るまでの1度1度には、相手との間に楽しく、嬉しく、悲しく、寂しい経験が存在し、「好き」が強くなっていくと同時に、時には嫌いになることだってあっただろう。
しかし、360度分の経験を経て「好き」となったこの終着点には、360度分の愛情の奥深さが秘められていると言える。
私が伝えたいこと。
それは、0度と360度のように等しい結果に行き着く未来が存在しても、その過程には天と地ほどの経験差が生じ、その経験が、360度以降の人生において成功を収めるための「糧」となるということ。
360度の「不成功」を「成功」にしたいのであれば、720度の人生を経験しても900度の「成功」へと行き着ける可能性を積み重ねているのである。
偶然かに思える人生の歯車は、角度を用いたロジックとして考えることで確率を高められる「運命」であると見ることができるだろう。
けれど、自身の歩む人生の角度は、他人との出会い別れの繰り返しで経験を培い、ある時は思いもよらぬ角度へと傾いたり、止まってしまう場合も存在する。
しかし、立ち止まっているだけでは角度は永遠に0度のまま。マイナスになってしまうこともあり得る。
他人が自分の角度に干渉することはできても、角度の変わる方向へと最終的に視線を向けているのは、結局は自分自身の意思。
夢を叶えたい。願いを叶えたい。想いを叶えたいのならば、自分自身で歩み始めなければならない。
待っているだけでは何も動きはしないのだから。
だからこそ、私は皆さんに問いたい。
チョコレートを貰えるだけの努力はしましたか?
「成功」へ向けて異なる角度へ視線を向けることができていましたか?
そして明日にもらうチョコレートには、人それぞれに異なる想いが込められているはずです。
例え義理だとしても、「渡す」角度へ至るまでにどんな角度を経験して来たのか。
そこを考えるだけで、今日の楽しみ方は変わってくるはずです。
チョコレートを貰えなかった人も、落ち込むことはありません。一年かけて一周回る来年のバレンタインデーまでに360度分の経験を積めばいいのですから。
そして『0と360』の物語は、皆さんへ贈るバレンタインでもあり、私が自分へと届けるメッセージでもあるのです。
完結。