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お隣さんは反乱戦略最前線  作者: ユタセコ
2/2

インポスト犯罪

trururururu‥


おかしいな。

悠人の奴、電話に出ないな。


耳につけたワイヤレスイヤホンから意識を外して、

部屋を見渡す。


実は悠人は今はバイトを長期に休み、

長野へ旅行をすると行ったっきり、

連絡を2週間程取っていなかった。


軽井沢へは行けたのだろうか。

グリーンパスで軽井沢駅までは行けるが、

その先はまた別である


一時的な旅行パスを取得し、

駅から長野県へ入り、

長野県から軽井沢へ入管、

更に軽井沢からアウトレットモールや、ホテルへ。

ホテル内だって、階層別、部屋別に全てスマート錠管理だ。


この右手のスマートウォッチが無ければ、

世迷い人になるご時世だ。

何か事件に巻き込まれたか?


僕は軽薄にも悠人の身を案ずるより、

空き巣の被害が念頭に立った


スマートウォッチは1週間毎に指紋と瞳の虹彩による個人認証が必須設定されているが、逆に言えばその一週間は成りすましが可能だ。


誰かがその人に成りすます

IN POST(インポスト)犯罪が近年の主流である。


追加認証を必要としない住居への侵入は社会問題と化している


どうしても他区画に移動したい奴は、

時に狂気を帯びて犯罪を起こす


見えない壁による区画化が進んだ現在ならではの、この社会問題は解決策が見えないまま協議中という放置が続いている。


さてと、

あいつならば、まず冷蔵庫のアイスを食べるはずだ。


冷蔵庫を唾を飲み込みながら開け、

それは確信に変わった。


入ったのは悠人じゃない。



次に、早る気持ちを抑え、

重要な物から順に確認していく。

‥そういえば、重要な物ねえな


パーソナルコンピューターは最早ノート型から形を派生し、ゴーグル型、アクセリー型など身から離さずに持っていられ、各種身分証も電子化、貯金だってweb管理の時代

重要な物は家には置いてない。


政治家や資産家であれば、

手書きのメモなどの電子化しない情報が秘密裏に取引され、目が眩むほどの金額が動くというが。


ちなみに、

ネットワークの爆発的普及で、完全な個人の思想や思考に秘匿は原始的な手書きの重要性が見直された。

それ以外の趣向や経済状況は、ネット通販でトラッキングされているだろうし、ある意味物的損失はほぼ無い。


そもそも、この政策により、

言葉は悪いが貧困層と中間層、富裕層の三層は完全に遮断されたと行っていい。

グリーンパスを持っているか。

それ以上のパスを保持できるのか。

それに限る。


中間層の下にランクするこの街で

家具家電を盗む奴は、中間層にはいない。

更にいえば、軽井沢とこの街をドアtoドアした悠人と接触出来る人間が興味を引くものは無い。

興味本位で入りたい奴はいるだろうけどもね


では、何故?


開けっ放しの窓から出て、

バルコニーの手摺にもたれかかる


答えは簡単。

この部屋のグリーンパス情報の複製売買だ


これは迷う

不正利用が認められると、

スマート錠がロックされ、

行政へ権限情報の更新をしなければならない。


とても面倒くさい

でも、どうせ行かなきゃ行けないなら、

ロックされてからでいいか


とても短絡的に考えた僕は放置を決めた

そしてベランダにハシゴをくくりつけ、

窓のサムターンをそっと外す。


本当に窓から出入りする日が来るとは‥


まあ、幸いハシゴは狭小地のため

他のやつに見つかることもないだろう

実は悠人が本当に来てたかもしれんし


僕は能天気にそう決めつけた

成りすましをin POST

成りすます人はIN poster

インポスター

響きで‥却下

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