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3日目

初投稿です。ほぼ体験談です。3万3000件 多分私だけではなく多くの人が経験している事かな

弟が小さな声でぽつりとこぼした......「おなかへった」


母が家に帰らなくなってから2週間が経とうとしている。米も味噌も砂糖も無くなった。最後に口にしたのはなんだったろうか、ポテトチップス?具の無い味噌汁?記憶は曖昧(あいまい)で空腹も3日を過ぎるとそれほど苦痛では無くなっていた。


--ここからは母が帰らなくなってから3日目の話--


最初の3日は楽に過ごせた。母から預かった千円を持って、いつものようにスーバーで厚揚げと豚肉を買い、それを醤油と砂糖で炒める、米は4合を炊く。1日分の食料だ。


3日目から雲行きが怪しくなり始めた。母が帰らない事は結構頻繁にあったが2日以上帰らない事は過去無かった。小4のガキに計画性なんてぇものは勿論なく千円は既に使い切った後。


「おなかへった! おなかへった! おなかへったぁぁぁぁ!」


「うるさいな~ ちょっとまってろ!」


私はため息をつきながら冷蔵庫の扉を開いた、当然の事ながら、めぼしいものは無い。この状況で作れるものを思案した、塩オンリーおにぎりを作ったら弟がキレて泣いた事は記憶に新しい。ここは一つ変化を加えて焼き飯で勝負! といっても【具無しライス醤油炒め】、弟のお気に召すか少々不安ではある。


冷や飯を熱したフライパンで炒め始める。冷や飯に火が通ったあたりで醤油を投入すると一気に香ばしい煙が台所に充満した。炒めた冷や飯はほんのりと小麦色になり良い感じに仕上がった。

【具無しライス醤油炒め】を皿にとりわけ弟を呼んだ


「はい出来たよ~」


「何これ?」


「焼き飯」


「具入って無いやん」


「具入って無い方が美味しいねんで」


「ほんまにぃ?」


「ええから食べ」


渋々ではあるが弟は普通に食べてくれた。もちろん『美味しい』などという感想はなく食べ終えるとテレビをつけてケラケラと笑っていた。自画自賛だが【具無しライス醤油炒め】は美味かった。とりあえずレシピに加えよう。そして明日帰ってくるだろう母に自慢しよう。そんなことを思いながら布団に入った。






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