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魔導大戦  作者: ゆっくりユキト
第1章 帝都学園編
2/3

第2話 楽しめよ

翌日ー 

「ーつまりは人間と亜人の先祖は同じって事だ。まぁ帝国には亜人は下等種族とか言う亜人嫌いの人間至上主義者もいるんだが。でも私の生徒である皆んなはそんな人間ちならないでくれよ。じゃあ今回の授業はここまでだ」

チャイムが鳴り4時限目の授業がようやく終わり面倒な座学から解放される。

(ああ、めちゃくちゃ眠かった。そもそもなんで兵士になる為の学校で歴史なんて勉強しなきゃいけないんだよ)

詩織先生による歴史の授業を眠気と戦いながらどうにか乗り切り、心の中で愚痴を言いつつ昼食の為に学食に向かう。


食堂に足を運び焼きそばパンとコーラを持って空いている席に腰を下ろす。

周りは沢山の人の喋り声でかなりうるさいがいつもの事だ。軍事教育施設なんて物騒な学校だが今だけは普通の高校と変わらないな。

「おっすレイ!前いいか?」

「答える前に座るのな」

「ダメだったか?」

「いや別に良いけど」

焼きそばパンを頬張ってい俺の前の席に真司が座ってくる。

影浦真司(かげうらしんじ)。身長180センチ近い高身長で筋肉質な身体をしており、俺がクラスメイトで最も仲の良い友人だ。戦闘能力も高く学年でもトップクラスの実力を誇っている。

「お前今日の科学の小テストどうだった?」

「普通って感じだな」

「なら俺と同じくらいだな」

因みにここで言う"普通"とは30点後半くらいのギリギリ赤点にならないくらいだ。そもそも軍事教育施設で普通科目を教えるのがおかしい。

「なぁ、今日の訓練ってアレだろ?」

「まぁ・・・アレだろうな」

カツカレーを食べながら真司が聞いてくる。てかこれから訓練なのによくそんなの食えるな。

「お前今回もサボるのか?」

「サボるわけじゃねえよ。ただ気合入れないだけだ」

「・・・・・・ったくよお。お前が本気出してくれれば先生にも勝てそうなのになぁ」

「俺が本気出した所で大した戦力にならねえよ。そもそも全力出せない俺はお前が思ってる程強くないからな」

「でも先生だって全然本気じゃないんだし2人ならワンチャンあるだろ」

「どんなに言われても俺は適当にやらせてもらうよ」

真司とそんな会話をしながら昼食を済ませる。


「よし全員いるな!ルールはいつも通り特に無し。なんでもアリだから全員でかかってこい!」

昼食を終わらせて訓練の為にグラウンドに出るとほとんどのクラスメイトが集合しており、その数分後に大太刀を持った詩織先生もやってくる。

「じゃあ適度に距離とって全員でタイミング合わせて仕掛けてこい!」

先生は指でかかってこいと言うジェスチャーをしながらそう言う。

詩織先生の訓練は全員で先生と戦うという超シンプルなものだ。ルールとかは特に決まっておらず、武器も訓練用のものではなく実物を使用する。

他のクラスはこんな脳筋な訓練じゃなくその人に合った訓練をするものだが、うちはただただ先生と戦うっていう訓練がほとんどだ。先生は実戦形式のが自分に足りないものが見えてくる、先生と実際に戦う事で的確なアドバイスが出来ると言っていたがそれでももっとマシなやり方があると思う。

そんな事を考えていると早速戦闘が開始される。

魔術師やガンナーの生徒は数十メートル距離を取り各々先生なら向かって魔術や銃弾を放ち、白兵の生徒達は先生の間合いに入らないギリギリの所で武器を構えている。

囲むように四方八方から放たれる手加減無しの弾幕を先生はいともたやすく回避して見せる。

そんなとんでもない強さを誇る先生の間合いに白兵の生徒は1人を除いて誰も入る事が出来ない。

「いいねえ真司!体捌きが良くなってるし、斬撃も前よりも鋭くなってるぞ」

「はい!」

戦場に出れば小隊長程度の実力を持っている真司だけはゼロ距離で先生と斬り合っている。

魔術師とガンナーの生徒による一斉射撃を回避、防御しつつ、白兵の生徒にサポートされている真司と片手で渡り合っている。本気を出せない(・・・・)状況でさえこれなのだからとてつもない。

「どうした、お前らの力はこんなもんか!?」

「・・・・・・ぐっ!」

最初はお互いの力な拮抗していたが段々と先生が優勢へと変わっていく。真司もパワーもスピードも技術も数段上の先生に段々と押されてしまう。

その上時間が経つにつれガンナーならリロード、魔術師なら術式の再構築や魔力を再度流し込む為に数秒の隙が生まれて援護も最大火力が出せていない。白兵の生徒においてもサポートする為に先生の間合いに入った時に反撃を貰い気絶させられている生徒もちらほらといる。

(もう終わりだろうな。序盤で決められなかった時点で勝てる可能性はほとんど無い。このままジリ貧だろうな)

「まだまだぁ!」

俺の考えとは裏腹に気合のこもった真司の叫びと共に大量の魔力が真司のブレードに集まっていく。

雷纏の閃刃(スパーキングエッジ)!」

真司のブレードに電流が迸り電気火花が散る。恐らく雷属性の魔術でブレードに電気を纏わせて破壊力を上昇させたのだろう。

「はあああ!!」

ー雷牙ー

真司の放つ渾身の横一閃。雷牙は大きく1歩前に踏み出しす事で助走をつられると同時に身体を支えられる為かなりの威力が出るという技だ。

真司の放った雷牙に対して詩織先生がとった行動は防御ではなく迎撃。真司の本気の斬撃も完全に格上の剣士である詩織先生相手では勝ち目は無いだろう。

しかし雷を纏った刃は技術、身体能力、武器の性能の差を全て覆す。負ける筈だった真司の斬撃は先生の大太刀の刃を根本から叩き斬る。

「おお!よくやった私の刀を斬ったな。・・・・・・でも、それで満足してちゃまだまだだな」

先生はそう告げると刃の斬られた大太刀で真司のブレードを弾き飛ばす。

「・・・・・・おいおい、そんなのアリかよ」

なんと先生の大太刀は斬れた部分から炎での刃が作られている。そしてそれに驚いている真司にボディーブローを叩き込み強化魔術で肉体の強度が上昇しているにも関わらず1撃で気絶させる。

「ブレードを魔術で強化するって発想は良かったが、それなら相手も武器に何か仕掛けをするって事まで想定しておくべきだったな」

「・・・・・・かはっ」

真司が負けた事で拮抗していた状況は一気に崩れさる。魔術師やガンナーは火属性魔術で、白兵は炎の刀剣でばったばったと倒されていく。

俺も適度に戦って負けようと思っていたのだが、何故か先生に全く相手にされず最後の1人になってしまった。

(いつもはこんな事にはならず普通に倒されるのだが、何故こうなったのか?)

「なあレイ。ちょっと話さないか?」

「話しようって言いながらなんで斬撃放つんですか。肉体言語で話し合おうって事ですか?」

「何言ってんだ、戦闘しながらの相手との会話は基本中よ基本だろ?」

「いやそんな基本聞いた事ないんですけど」

しかし詩織先生の斬撃は普通の攻撃とはいえ、さっきまでの覇気は全く感じられない。

「レイ、お前は学校楽しいか?」

「何すか急に普通の教師みたいな事言って」

「おいおい、私が普通の教師じゃないみたいな言い方だな」

「普通の教師は生徒と面談する時に武器は持たねえよっ!」

俺が文句を言いながら放つ力を込めた斬撃を詩織先生はいとも簡単に防ぐ。

「でお前はは学校楽しいか?」

「まぁ戦場で殺し合いするよりは確実に楽しいですよ」

「ふーん、そうか。私には他の奴との間に壁作ってる様に見えるけどな。何やるにしても本気出さないし、みんなと一緒に盛り上がったりもしないし」

「それは、確かに・・・・・・」

炎の刃から繰り出される斬撃をブレードでどうにかいなす。

「俺は捨て子で落ちこぼれです。あいつらとは住んでる世界が違うんです」

「軍人になるってのに住んでる世界もクソもあるか、って言いたいところだが私も地方の出で同じ様な事思った経験あるからな」

斬撃自体の威力は上がっていない。それなのに何故か先生の斬撃がさっきよりも重く鋭く感じる。

「でもこのクラス奴にはお前が地方の人間だからどうこう言う奴はいないぞ。このクラスの奴らはお前の強さを分かってるし、お前が思ってる以上に信頼してると思うぞ」

そう話しながら先生は斬撃を掻い潜りながら俺の背後を取り、

「1生に1度の高校生活だぞ。もっと楽しめよ、レイ」

最後にそう告げて俺の首を撫でる様に手刀打ち込み気絶させる。



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