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正義の味方はダメですか?

初投稿です!書いてみたかったんです!皆様優しくしてくれると嬉しい……(殴)ぐはっ!(パタリ)

『ギルマ王国』


 歴代、女王が統治する国であり、この大陸にある3大王国の一つで、魔術の発達した王国として広く知られている。


 特にこの国の女王は常人とは比べものにならない程の魔力量を保有し、強力で多彩な魔術を巧みに操ると言われている。

 それ故に始祖は大魔導師とも大賢者とも噂されるが、公式に情報公開はされていない為、定かではない。

 そして歴代女王になった彼女らはその能力を用い、この王国を建国、発展させてきた。

 

 今年15歳となったばかりの次期女王陛下候補であるリアナも例に漏れず力があった。

 その能力は一族の中でも頭一つ以上抜き出ており、その色の濃い漆黒の髪も相まって、彼女は一族の者からこう言われている。


 『先祖返り』と。


 そんな彼女だが。


「私も街で遊びたい!楽しみたい!自由が欲しい!」


 そして彼女は忽然と姿を消した。

 机の上に1枚のメモを残して。


『修行してきます』


「またあのガキャアアァァァァ!」


 メモを握りつぶし肩を怒りで震わせ、宰相になったばかりの兄リンクは力一杯叫んだ。

 それは彼の政務室ばかりでなく周りの空気までも伝わって。

 王女夫妻の執務室まで届いていた。


「またリンクが怒ってますわ。あなた」


 彼女は三人掛けの大きなソファの真ん中に居た。

 上品なスーツを思わせるスタイリッシュな格好で優雅に紅茶を飲む。

 黒いストレートを肩に掛からない辺りで切り揃えた彼女の印象はキャリアウーマンを思わせ。

 知的に輝く切れ長の深緑の目は今、妖艶に夫へと向けられている。


「そのようだね女王陛下。で、今日リアナは何をすっぽかしたんだい?」


 テーブルを挟み、同じサイズのソファで向かい合うように座る男性もスラリとした、飾り気はないが上等な生地の衣装を身に纏い、女王陛下と呼んだ彼女と同じく紅茶を飲む。

 日に反射する銀色の髪とメガネフレームが彼に冷たい印象を与えていたが、声音は対して柔らかく穏やかだ。


「お茶会」


「確かにあの子が嫌いそうな業務だね……世間の噂を知るには良い機会なんだけどね」


 窓際での優雅な休憩タイム。

 貴族の面倒くさい腹の探り合いという業務から逃げる長女とそれに激怒する10歳も離れた苦労性の長兄。

 もはや日常茶飯事である。

 王妃夫妻どころか使用人の一人も驚く者はいなかった。


◯◯◯


 少し離れた王宮内の廊下ではメイドたちが噂をしていた。

 

「あれ?姫様はまた城下町へ遊びに行ったの?」


「そうみたいね。極度の人見知りなのに何故かアウトドア派なのよね……姫様」


「今回も騒ぎを起こさないと良いけど……」


 メイドも三人寄れば姦しい。


「まあ最近は街の人達も気を付けてるし、大丈夫だと思うよ?」


「確かにね~。姫様、なんだかんだで噂になってますからね~」


「そうそう何でも街では、こう呼ばれているそうよ?」


「あ、それってもしかしてーーー」


「「「爆弾お嬢!」」」


「こら!貴女達!しゃべってないで仕事しなさい!」


「「「はい!」」」


 通りがかりのメイド長の鶴の一声で散っていくメイド3名。

 その後ろ姿を見送ると、メイド長は息を小さくついて窓の外へ視線を移す。

 明るい太陽のもと、街は活気に溢れている。


「何もなければ良いのだけど……」


 呟いて彼女は廊下を後にした。


◯◯◯


 所変わって城下町。


 青年は混乱していた。


 やっと着いた王都。

 彼は疲れもそのままにギルドへと足を運ぼうとしていたその時だった。

 ちょっとしたトラブルに見舞われた。

 瞬間。 


 賑やかな大通りは更に賑やかな騒ぎになった……訳ではなく、逆に騒ぎは一瞬で消えた。

 街人は声を上げて建物内へ隠れてしまったのだ。

 辺りに残るのは不自然な静けさのみ。

 見られる人影は居てもかなり距離を取った先だ。

 恐らく野次馬たちだろう、かなりの人だかりになっている。


 騒ぎを聞きつけて来た警備隊も、近くに来たものの建物の影に隠れて何故か待機しているようだ。

 物々しい雰囲気になり、出遅れたカインは相対している破落戸と共に周りの素早い展開について行けず、二人で立ち尽くす。


 何がどうした?

 

 現状況に全くついていけない。

 確か先程まで、目の前の破落戸に線の細い女性が絡まれていた所だったはず……だが?


 対して、肩にぶつかったの慰謝料がどうのと騒いでいたがたいの良い破落戸も同様に呆然としている。

 絡まれた女性は既にこの場から逃げ去ったようだ。

 カインは偶然トラブルの現場に居合わせて、間に割って入っただけの通行人で、その騒ぎを落ち着かせようとした矢先にこれだ。


「そこの人の良い兄ちゃん!逃げろ!爆弾お嬢が来るぞ!」


 どこかの民家の中から声が掛かる。

 一体何から逃げないといけないのだろうか?

 焦っている雰囲気のそれはまるで魔物でも現れるかのような……けれどまさか街中でそれはないだろうと頭を振る。


 じゃあ爆弾お嬢ってなんだよ?


 首を捻っても分かるわけがないので、とりあえず現地の人の声に従う。

 状況を見た限りその忠告に従った方が良さそうだと判断したからだ。

 とりあえず抵当な建物の影にでも隠れようと、歩き出したその頭上を何かが通過する。


 思わずその何かを目で追うと。

 それはウサギの柄が付いたボールだった。

 そのまま追っているとボールは跳ねて破落戸の足元へ当たる。

 瞬間。


 パアン!と派手な音と光が爆ぜた。


「なっ!」


 破落戸は一瞬で光に飲まれた。

 だがそれは収まらず、更に膨れ上がる。


 何故こうなった?

 

 自分にも迫ってきた光に思わず目を閉じる。

 その一瞬前に。

 腰に手を当て仁王立ちする、人間の身長くらいのウサギのシルエットが見えた気がした。

 

 

 

 

ギャグじゃない……はず?

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