透明流星群
皆さんは流星群を見れましたか?
私は──
という事で、"セントエルモの火"の連載再開に向けて、リハビリに何か書く事にしました。
何か夢でうなされていたからだろうか。
心臓が何か訴えかける様な鼓動を感じて目が覚めた。スマートフォンのデジタル時計を見れば、それが午前四時過ぎの鼓動だと、意味が分からない理由で不思議と自分の中で納得していた。
「……あ」
ふと声が出た。出てしまったと言っても良い。すっかり忘れていた。
"ペルセウス座流星群"。
夏は……いや、どの季節も夜になれば、また晴れていて、そして地上に明るいネオン光が無く、夜空を見渡すのに最適な場所であれば、数え切れない星々を目にするから、どれがペルセウス座なのかも分からないだろう。
取り敢えず、ペルセウス座は、夏の日本で見える星座という事は確か……という事で良いのかもしれない。そしてその星座の間で流星群、幾つかの星が流れるという事だ。星が幾つか流れて、その辺りを目印に星と星を結べる星座があれば、それがペルセウス座だという事も分かるだろう。
実はその日──と云うも、"昨日"の日付なのだが、ペルセウス座流星群が見れる、極大の夜だったらしい。その情報を偶然、電子の海で捕まえて、流星群が見れる様に予定を空けていた。それなのにぐっすりと寝てしまい、夜明け前を迎えてしまった……。もう見れないだろうと思って諦めていたが、何と無くちょっと気になったので外へ出てみる事にしよう。
空を見上げてみれば、未だ暗くて、広い範囲で曇っていたが、方角的に東側にある雲と雲の隙間から若干、白い光──陽が昇り掛けているところが見えた。眼鏡に頼らずに裸眼で見ようとした時の様にぼやけていて、と云うより雲そのものが靄だった。これでは昨夜は流星群はおろか、星は見えなかったのではないだろうか? 第一印象としてその様に感じた。
しかし、その雲の裏側で星が一つでも流れていたとしたら、そう考えるだけでも幸せになれる気もした。それはもう見えなくて、もやもやしてる筈なのに、今の朝焼けに雲が混じって不思議と綺麗な、そんなモノでも見れて良かったという、そんな心境だった。……冒頭の様な云い方が良いかもしれない。不思議と自分の中で満足した。
星は。流星群は。
砂糖玉と例えられる月も。
手に届かない、だから綺麗だと。
帰って来た部屋でそう思いながら、写真家が収めた被写体を眺めた。緑色から白色と、葱の様な流星は特に印象的で、これを現実で見ようと思うのはとても難しそうだ。何光年先のとか、そんな次元の話になりそうな。隣に好きな誰かと星を眺めたいという夢の方なら、未だ生涯の内に可能性は。……五十歩百歩かもしれない。
それでも次は被写体じゃなくて、
本物を間近で見られたら──
その流星に何を願おうか。