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3 愛剣との出会い

ウィンドウに表示されたハルトのレベルはC48。


「うん、初期でこの数値はなかなか高いんじゃないかな」


レオンがつぶやいた。それに続いて女性も喋り出す。


「そんなこと言って、レオン、あんた確かこの前B20まで上がってたじゃない」


「B20…」


レオンとハルトの圧倒的な力の差に驚愕したが、冷静に考えればレオンは冒険者を初めて日が浅そうってわけじゃなさそうだ。それに比べてハルトは今、冒険者になったばっかり、それで下から3番目なのは前向きに捉えるべきだろう。


「じゃあこれでステータスの話は終わり、私だって暇じゃないんだ。新人1人にばっかりかまっていられないのさ。だからここからは短く言うよ。忘れたらレオンに聞きな」


そこからは女性のマシンガントーク、だが、短く、内容の濃い話を次々と繰り出してきた。後半はほとんど聞き取れなかった、だがハルトはなんとかギルドに入るとこができた。

ギルドに入り、金と寝床を確保したハルトは、ギルド別館の宿に泊まっていた。


「剣に魔法、それで通貨も違えばこの宿は1週間限りで追い出されるのか…」


ハルトは宿の話をしていた時の事を思い出していた 。

新人を泊めてやれる期限は1週間、それ以降は追い出される。だからそれまでに魔物を倒して身ぐるみを剥がないといけない、けどその前に各魔物から取れるものを覚えないと…。と、色々と言われても一変にはできない。今日のところはとりあえず寝ることにした。


ベッドの寝心地は良いとまでは言えないがタダで泊めてもらえてるだけありがたい。

今日はまず、武器や防具を買って、それで魔物から取れるものを覚えに図書館に行こうと思った。


ハルトはベッドから降りると窓のそばまで歩いていき、窓を開けた。ここギルド別館からは街の半分ほどだが見渡すことが出来る。そしてハルト伸びをしてから大きく深呼吸をした。こうしてみると初めてのベッドに見慣れない街並み、昨日のことが嘘なぐらい平和そうな声があちこちで聞こえている。


「本当に異世界に来ちまったんだよな」


つい昨日までは学校で楽しくしてたのに、昨晩命の危険にさらされるなんて、誰が想像するか。

窓辺で主思いにふけっても仕方ないのでさっさと着替えを済ませて出かける準備を始めた。


宿を出ると銀貨3枚をポケットに下げてる、昨日財布代わりにレオンから貰った小さな袋に入れた。

まずは武器屋に向かった。魔物と戦うにあたって武器が無いと話にならないからだ。


「レオンは弓を使ってたけど…俺には難しいかな」


武器屋まで無事にたどり着くことができた。初めて来た街で自分でも不思議に思えるが昨日レオンから袋と一緒に貰っていた地図が役に立った。


(レオンには何かと世話になってるな…)


大きく言えば命の恩人、細かくいえば命の恩人であり、良き友である。

武器屋は露店ではなく普通の店のように屋内に作られていた。武器屋の扉を押して入ると、中にはゴリゴリの男や、露出度の高い、本当にそれが防具なのかと思えるような防具をつけている、女騎士らしい人がいた。


店の内装は壁には剣やオノなどの武器が飾られており、ちらほら置いてあるガラスケースにも武器が入っていた。

ガラスケースの中の武器を見ていくと様々な種類があった。普通の人が想像するような剣があれば、方なもあり、面白い形だと両刃の剣に大量の返しがついており刺さったら抜けないだろう代物まであった。


その中でハルトが選んだのは安そうで、それでいてシンプルな武器だ。ごくごく普通な剣。

ハルトは定員であろう人に声をかけてこの剣をガラスケースから取り出してもらった。その剣を受け取ろうとした時に店員の口からは予想にもしない言葉が発せられた。


「この剣だとレベルはC40ぐらいの人がちょうどいいですね」


「え?」


ごぉん ハルトは剣のあまりの重さに床にぶつけてしまった。あいにくこの剣は刃こぼれ一つしていない。床も同様に傷一つついていなかった。


「だはははは、なんだい兄ちゃん、駆け出し冒険者ってか」


武器屋に入ってから最初に目に付いたゴリゴリの男が話しかけてきた。今の音で気がついたのだろう。


「え、えぇ、そんなところです」


「この世界にはな、レベルに合った武器ってのがあるんだよ。兄ちゃんが持ってるのはC40、重いだろ?それは兄ちゃんのレベルがそれより低いからってことだ。この重さはレベルが近くなればなるほど軽くなるんだ。だがな、これは冒険者だけなんだ。不思議だろ?一説によればこれも闇の神ザブラの仕業だとかよ」


「は、はぁどうも」


ゴリゴリの男は親切だが言いたいことを言うとハルトの言葉は聞かないような素振りで振り返りまた店員と話を始めた。


「あの、俺のレベルはC48なんでそれに合ったレベルの剣ってないですか?」


「ありますよ」


店員はニコッと笑い優しく対応してくれた。待っていてくれと一言言うと店員は店の奥へと消えていった。

レベルによってステータスが変動することは昨日の話で知っていたが武器が重くなることは予想外だった。


店員が店の奥から出てくるとその手にはさっきよりは小さいが形の似ている武器を持ってきた。

ハルトはもう一度恐る恐る持ってみる。だが今度は軽々とまでは行かないが持ち上げることができた。


「じゃあこれください」


「はい、この剣になりますと2シルバーになります」


シルバー?と思ったがすぐに銀貨のことだとわかった。だが、剣一本で2シルバーは流石に値が貼りすぎだと思った。

だが、剣一本で2シルバーが安いのか、高いのかわからない。なのでハルトはこの剣の購入を決意した。


次に向かったのは図書館だ。この街の中心部にある役所のすぐ隣にある。

図書館に入ると本が沢山ある部屋の独特な匂い、それに静けさがハルトを包み込んだ。静かなのは今ここにいる人のマナーがいいかと思ったがどうやら図書館にはあんまり人がいないらしい。


図書館のつくり、本の陳列も学校の図書館とほとんど同じで本を探すのは苦労しなかった。

左から3列目の上から4段目に目当ての本があった。


(魔物大図鑑か、そのまんまだな)


ハルトは魔物大図鑑を手に取ると近くのイスに腰を落とした。

まず調べたのはこの街、ガリアの近くにいる魔物のことだ。それと新人冒険者でも倒せそうな魔物だ。流石にゴブリンとは当分戦いたくない。


大きな図鑑だがこと細かく書かれておりとても親切だ。まず目星をつけたのは スライム それと スライム異種 というスライムも色違いだ。

書いてある通りだとスライムは喜怒哀楽で、可愛らしいとか、スライムの色は青、スライム異種は緑らしい。


大手RPGの初級モンスターと全く同じ感じで少し気が楽になった。

これがスライムじゃなくてゴブリンだったら勝てる気がしないからだ。


(当分の目標はゴブリンかな)


ハルトが図書館から出る頃にはもう太陽は真上まで昇っていた。 ぐぅ〜 と腹の虫が騒いだ。朝ごはんも食べずに買い物や調べ事をしていたハルトの体は栄養を欲していた。

昨日のレオンの言葉通りだとりんご1個が銅貨1枚、だが今のハルトの腹はりんご1個じゃ到底足りなかった。かといって、魔物を倒して戦利品を持ち帰るまではあんまり金を使いたくなかった。


剣を一本買うのに銀貨2枚も使ってしまったからだ。仮に剣が折れてしまったら、もうハルトの冒険者ライフはそこで終わりを迎えるだろう。

流石にそれは避けたかった。自分でもよくわからないが、やはり異世界に来たからには元の世界でできなかったことをしたい。自然とその気持ちがハルトに芽生えてきたのかもしれない。


図書館を出て何か店でもないかと歩いていると、なにやらテントが並んでいる通りが目に入った。

階段を下りてその通りに入ると、そこは左右に様々な露店が並んでいた。その中でもハルトの目に色濃く映ったのは行列ができている店だ。


気になって並んでみる。行列は隣の店の前を超えて更に二店ほど隣まで続いていた。

その行列を根気よく待つと徐々に何を売っているか見えてきた。ハルトの前の客が残り5人になった頃にはその全貌が明らかになった。


焼肉丼だ。それも極上と書いてあるではないか。値段はまだ見えないが、考えて見れば異世界に来てまだ何も口にしてなかったハルトは、その焼肉丼が食べたくてしょうがなかった。

そしてハルトの番になると待ちに待った焼肉丼と面を合わせる事ができた。


「お、兄ちゃん見ない顔だねぇ。サービスするよ。通常15ブロンズのところを13までまけるよ」


「な、ど、銅貨13枚…」


「どうした?買わねぇのか?」


「い、いや、えっと…買います」


ついさっきまで無駄遣いはしないようにと心がけていたが、その考えも空腹の前にあえなく散っていった。

ハルトは銀貨を1枚取り出すと店員に手渡し、そのお釣りと焼肉丼を貰いその場をそそくさと立ち去っていった。


もう贅沢はしない、そう心に決めて近くの階段に腰を落とすと、ハルトは焼肉丼の蓋を開けた。

立ち上る湯気に顔を近づけて匂いを嗅ぐ、香ばしく焼けた肉の匂いに甘辛そうな、濃厚なソースの匂いが鼻をくすぐった。


ハルトは付いていたスプーンを手に取り肉と米を3:7の割合ですくい上げると口を大きく開けてほおばった。

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