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カタログを持って異世界に行こう!  作者: 天野 洋
一章 アザレスの森編
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裏技ってないっすか?

 人間との初遭遇から5日が過ぎた。

 もうすでに元々居た森の奥の方に戻ってきており、ゴブリンだけではなくもっと強い魔物とも戦っている。

 新しく戦い始めたのはコボルトにオークだ。

 コボルトはゴブリンと同じくらいの人間の子供くらいの大きさだが、ゴブリンよりも動きが早く油断していると槍で一突きされる。

 それとオークは言ってみれば豚だ。

 豚の化け物でとりあえず大きさは人間くらいだが力が結構強い。

 それに体も頑丈でショートソードがかなり刺しにくかった。

 コボルトは早いだけで簡単に殺せるがオークはそうもいかなかった。

 動きは速くないのだが堅い。

 ひたすら堅い。

 なので何度も攻撃してやっと倒せるという戦闘を繰り返していた。

 勿論複数を相手に出来るなんてわけもなく1対1だ。

 そういうわけでオークを倒すのはあまり効率的ではない。

 それに正直オークはだるいから戦いたくないね。

 それでポイントの方はというと。

 コボルトは討伐&物納が20ポイント。

 オークは討伐&物納が35ポイント。

 討伐対象が増えたことから1日で稼げるポイント数は増えたものの、相も変わらずポイントはない。

 現在のポイントは1763ポイントだ。

 百ポイント代のころに比べれば大進歩と言えるが。

 コンのオススメの商品を買うにはかなり心もとないポイントしかない。

 

 しかし、人間は楽を追い求めるロマンの生き物である。

 だから楽できることがあるなら楽したいぜ!

 ほんと簡単にポイントが稼げる裏技とか。

 簡単にレベルを上げられる裏技とかないものかね。

 そもそも俺が元の世界に居た時に百万ポイントも稼いでいたというのなら、この世界でも効率よく虫を殺してポイントを得られる方法が有る気がする。

 うーん。

 何か効率的な方法。

 殺虫剤ばらまきとか?

 効率的な方法はないのか……。

 駄目だな。

 俺一人がいくら考えても何も思い浮かばない。

 こういう時は人に聞いてみるのが一番だな。

 コンに聞いてみよう。


「なあ、コン」


「なんですか、大斗?」


「何か簡単にポイントを稼ぐ方法とかないか?」


「はぁ、有るわけないでしょう。そんな方法は」


 コンが何を言っているんだお前はという顔でやれやれと顔を横に振っている。


 できればそれを前足を必死に上げつつやって欲しいんだが、言葉に出すと必ず噛まれるので妄想で済ましておく。




 …………




 ふぅ。

 ついでにRECだ。

 REC(脳内保管)。


「まあ、簡単にポイントが稼げる方法がないこともないですけど、ハイリスク、ハイリターンになりますが」


 ん?

 コンが今何か言ったか?

 REC(脳内保管)してたけど、ちゃんと録れているか心配だったから、脳内で再生してたわ。

 

 俺が卑猥な妄想をしてたことがバレたのか胡乱な眼でコンがこちらを睨んできている。


「大斗、ちゃんと話を聞いていましたか?」


「ああ、うん。妄想してました、済みません」


 言い訳をしてもすぐにばれるので本当のことを言う。

 コンがそんな事だろうと思ったよとため息を吐く。


「まあ、いつもの大斗の事ですから怒りはしませんが、自分から話を振っておきながら妄想するとは何事ですか、今日の晩御飯は抜きで良いですね?」


「ちょ、待つんだコン。話し合おうじゃないか。俺はいつものごとくコンの可愛さに溺れていただけなんだ!」


 ちなみにカタログでの商品の購入はコンを通して全て行われるので、コンが購入を拒否すると俺は何も買えなくなる。

 つまり、俺とコンのカーストはコンを頂点として底辺に俺がいるのだ。

 二人しかいないカーストだけど。

 コンと二人っきりていうのも悪くはないんだが、そろそろ人に会ってみたいんだよな。

 でも、最初の人間との初遭遇がアレだったからなあ。

 アレがまた起こると考えると迂闊に人間と接触することは正しいとは言えない。

 まあ、当分はコンと二人っきりだな。

 あれ?

 いや、待つんだ。

 これを二人だけのらすとぱらだいすぅと思えば。

 ふふっふふふ。

 なんとういう、もふもふ天国。

 俺とコンとのめくるめく異世界桃色生活!

 ふぅ

 また妄想してしまった。

 もうそうなことしちゃいけないんだがな。


「はあ、まったく大斗は困ったものです。それでもう一度言いますが簡単にポイントを稼ぐ方法は有ります。ハイリスク、ハイリターンになりますが」


 いけない、いけない。

 また妄想していたと言えばコンに噛まれるどころか、あの御御足おみあしでガリガリと顔を削られるだろう。

 コンがうちの猫みたくガリガリと爪を研ぐのは可愛いが、さすがの俺もそれを顔面でやられると堪えることは確実なのでちゃんと返答しておく。


「おお、マジか」


 ハイリターンは良いがハイリスクか。

 うまい話には裏が有るってやつだな。

 場合によってはその方法をやってみようじゃないか


「方法は大量虐殺ですね。都市に毒をばらまき虐殺した後死体を物納、魔法陣による増幅で物納の対象を都市全体に広げて全ての住人を物納、火事による魔物、人などを無差別に虐殺や、大量破壊兵器による虐殺」


 おいおい。

 これはヤバイっていうか。

 人としてどうなんだこれは。

 さすがにあり得ない方法に俺は声が出ない。


「他にもありますが大半がこの様なものです。しかも、この方法は大量のポイントを得ると同時にこの多次元世界で最強の存在である神と悪魔の反感を買います」


「神に悪魔か」


 そういえばこのカタログは神の武器でも買えるってのが、売りの一つでもあったんだったな。

 というか居るんだ、神とか悪魔。


「大量に殺した人の中に自らを信奉する巫女が居たり、自ら祝福を与えた存在が居た場合とかは確実に神や悪魔の怒りを買い、神の尖兵や悪魔の軍団が送られます。はっきりいってほとんどの者は生き残ることなどできるはずもなく、容赦なく、しかも惨たらしく殺されます」


 うわぁ~。

 悪魔は分かるけど神も容赦ないんだな。

 よく小説とかでも神とか悪魔と変わらないくらいえぐいことしてるから、あんな感じなのだろう。


「そういえばさ、そういうことをする気がなくてもそれが起こってしまった場合はどうするんだ? 山火事とか」


「そうですね、それでも大体容赦なく殺されますね。大斗も山火事とか起こさないよう、気を付けてくださいね」


 こえええええええ。

 やろうという意思がなくてもとか。

 マジで容赦ないんだな。

 つかそれなら巫女とか祝福を与えられたやつとか最強じゃないか?

 自分に自ら害する存在が居れば必ず殺されるんだから。

 とりあえずそれが気になるのでコンに聞いてみる。


「なあ、コン。それなら巫女とか祝福を与えられた奴とか最強じゃないか? 殺してしまったら必ず神とか悪魔に復讐されるんだから」


 俺がそう言うとコンがくすくすと笑う。

 RECだ。

 REC!


「その心配は有りません。神や悪魔は大量虐殺などの目に余る行動をしなければ、巫女や祝福を与えられた者を殺しても何も起こりません。それにこのカタログの所持者以外が大量虐殺をして、巫女や祝福を与えられた者を殺した場合にも何も起こりませんよ」


 ん、ん?

 なんか話がこんがらがってきたぞ。

 結局どういうことなんだ。

 俺が首を傾げているとコンが笑いながら。


「取り敢えず、大量虐殺をしなければ良いだけの事です。巫女とか祝福を与えられた者とかは気にしないでください」


 むむむ。

 巫女とか、祝福を与えられた者とか物凄い気になるんだけど。

 まあ、この森で暮らしている間はそもそも人会うことなどないので関係のないことだろう。

 コンがそう言うのならそれでいいや。


「さてそれじゃ晩御飯食べようぜ」


 俺がそう言ってコンの方に手を差しだすと。


「今日の晩御飯は先程言った通りなしです」


「そりゃないだろうううううう」


 密かにコンが忘れたであろうタイミングで話を出したのだが、コンは抜け目なくちゃんと覚えていたようだ。


「コン、大明神様お願いします。油揚げを奉納しますからどうか、どうかお慈悲を」


「そうですか。私に油揚げを奉納ですか」


 なぜかコンがこちらではなく明後日の方向を向いている。


「どうしてもというのなら、その願いを聞き入れましょう」


 というかコンの尻尾がバッタンバッタン床を叩いているんだけど。


「さあ、油揚げを買いますから早く許可を出しなさい。それとついでに大斗の弁当も買いますから好きな弁当を言いなさい」


 これはあれなのか?

 コン=キツネ=油揚げ大好き?

 の図式が成り立つと言うのか!

 これは素晴らしい賄賂を見つけた!

 これでコンを思いのままにできる!


 「「ふふふふふ」」



 俺とコンは互いに何かに思いを馳せつつ幸せな晩御飯を食べましたとさ。


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