表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カタログを持って異世界に行こう!  作者: 天野 洋
一章 アザレスの森編
7/68

人間との初接触

「なあ、コン」


「何ですか? 大斗」


「俺そろそろゴブリン以外のモンスター狩ろうと思うんだが」


 いい加減ゴブリンを殺すのは飽きて新たな獲物を探そうというのではなく

 レベルが上がってもっと強い敵で効率的にポイントを稼ごうと思ったのでもなく

 単純にゴブリンを狩り過ぎて近くにちょうどいい数のゴブリンが居なくなったためだ。

 昨日は1日探して倒せた数はたったの6体

 ちょっと前までは十数体倒せていたのに半減したのだ。

 明らかに俺が狩りまくったせいだろう。

 なのでもうちょっと強い敵を狩るかそれとも弱い魔物が居る街の方に移動をして弱い魔物を大量に狩るかどっちかにしてみようと思うのだ。

 俺の考えではこの世界の街というものを見てみたいので街に行ってみたいと考えている。

 まあ、一応コンの考えを聞いてみた後どちらにするか決めようと思っているのだが

 コンは少し考えた後


「そうですね、街に行った方が良いんじゃないでしょうか、ここの魔物はゴブリン以外はちょっと強いですから、まず街の方に行って弱い魔物を狩って経験をつけた後、こちらに戻って来た方が良いかもしれませんね」


 どうやらコンも俺と同意見のようだ。

 それなら街の方に移動してみようか


「なら今日は街の方に向かいながらゴブリンかそれよりも弱い魔物がいたら狩る方向で行こう」


 俺達はラザレスの森から狩りをしつつ街の方向へ歩いていくことに決めた。


「それでここから街までどれくらいかかるんだ?」


「そうですね、大体3日ぐらいで街に着くと思いますよ」


 思ったよりここは森の奥の方だったらしい

 そういえば異世界の定番である冒険者なんてものに全く会うことなかったしな。

 と言うよりただ単にこの森の奥の魔物が強すぎるせいかもしれないが

 とりあえず俺は異世界の街というものに思いを馳せながら森を進んでいく。



 そして街の方に歩き始めてから2日が過ぎた。

 何事もなく順調に進んでいると思っているが


「なあ、コン」


「なんですか大斗?」


「街の方に行くに連れて出会う魔物がどんどん弱くなってない?」


「それは最初から織り込み済みだったでしょう。色々な魔物と戦って経験を積むと」


「でもよ、あいつらゴブリンより弱くて戦った気がしないんだけど、しかもゴブリンより弱いせいでポイントがまったく貯まらないのだが」


 最近レベルも上がり地球に居た頃とは格段に優れた動きが出来るようになってそれを試したくて堪らないのだが出会う敵が弱過ぎて楽しくない。

 余裕が出てきたことを喜ぶべきなのだろうが

 男として強者と闘いという思いが収まりきらない

 でも、ぶっちゃけ自分よりもレベルが上の魔物に喧嘩売る勇気はないんですが

 安全マージンって大切だと思う

 まあ、コンの探知魔法のおかげでどこに魔物が居るかとか分かって、楽に不意打ち出来る環境が有ってこその余裕だとは思うけど

 実際コンの探知魔法がなかったら……

 うん、考えたくないな

 というかこの森で生きていけなかったと思う

 コンの有難さをしみじみと感じていると隣を歩いているコンが急にとまった。

 敵だろうか?

 一応腰にあるショートソードをいつでも抜けるように構えると


「ここから1時間ほど歩いた所に人間が4人ほど居るようです」


 敵じゃなくてこの世界に来て初の人間だった。

 ついにこの世界の人間との初遭遇か


「それじゃあ、その人たちに会って街まで案内して貰おう」


 俺とコンはこの世界の人間との初遭遇に期待を膨らましつつ歩いていった。

 そして1時間ほど歩いたところでやっと人影を発見した。

 4人が4人ともよく小説とかで出てきそう冒険者ですといった格好だ

 おそらくは冒険者ギルドの冒険者とかだろう

 テンプレ的に

 俺は人間との初遭遇に嬉しさのあまり走り出す。


「おおおおおい、すみません」


 俺が大声を上げて走って行くと4人はこちらに気付いたみたいだが警戒しているようで各々武器を構えている。

 あれだな、こんな森の中一人で居るなんておかしいからだろう

 俺は戦う意思はないとばかり両手を上げ話しかける。


「実は森で迷子になってしまって街までご一緒させてくれませんか?」


 確実に聞こえる位置で話しかけたのだが4人とも構えを解かずになにやら議論をしているようだった。

 あれか

 そういえば服装は元の世界の物をポイントで買っていたから見慣れない服装をしているため怪しい奴と思われているのだろう。

 森の中で俺とコンの二人きりで人目を気にすることがなかったための弊害か

 しまったなあと思いつつ俺は4人が話し終えるのを待つ。

 1分ほど待つと議論が終わったのかにこやかな笑顔で4人のうち一人が近づいてくる。

 俺もにこやかな笑顔で近づいて話しかける。


「あのう、すいません実はこの森に入ったのは良いけど迷子になってしまって」


「#$%&@@?*&%%#@」


 あれ?


「@@#&%$##**&&%#」


 これってもしかして

 言葉が通じてない?

 あー

 そういえば一番最初にコンに勧められた異世界共通言語(読み書きも可)1000ポインを買ってないわ

 これはミスったな

 今から買おうにも現在のポイントは643ポイント

足りませんね

 はい

 まあ、ポイントが足りないものはしょうがない

 このまま言葉が通じていないけどこのまま街まで連れて行って貰おう。


「*%$#@@&$%%#」


 ところで凄い気になることが有るんですけど

 俺の服装が怪しいのも分かる

 言葉が通じないのことも良いんだけどさ

 ある一点だけ物凄く気になるんだ

 この冒険者さん達皆笑顔で近づいてくるのはいいんですけど

 なんで皆さん武器を仕舞わず抜き身のままこちらに近寄って来るのでしょうか?

 俺が疑問を抱きつつも少し警戒していると

 一番近づいていた男が剣を振り上げてこちらに向かってきた。


「ちょ、ま、お前ありかよ! いきなり襲うとか有り得ねえだろおおおおおおおおおお!」


 俺は素早くショートソード抜き放ち剣を受けとめようとする。

 なんとか男の剣を受け止めることが出来たが


「くそっ、重い」


 膂力が違うのかどんどん押されていく。


「大斗大丈夫ですか!」


 コンもいきなりの攻撃に驚いているのか俺のすぐ傍に駆けてくる。

 コンがしゃべったのを見て俺と鍔迫り合いをしている男は笑みを深めて


「#%&$%*@@&%#%$!」


 何かを叫んでいる。

 くそ

 言葉が分からないからこいつらが何をしたいか分からない

 とりあえず問答無用で襲いかかってきたみたいだから敵なのだろう

 人数もこちらが1人と1匹に相手が4人では分が悪い

 ここは逃げるが吉だ


「コン逃げるぞ!」


「はい、分かりました」


 俺が叫ぶと同時にコンが肩に乗って来る。

 ちゃんとコンが肩に乗ったのを確認すると俺は後ろに飛んで男との距離を離すと


「ホーム!」


 拠点に離脱した。




「ふぅ、マジで死ぬかと思ったわ」


 俺達はなんとか『ホーム』で拠点に戻り、難を逃れた。

 ほんとうに危なかった

 あいつらが武器を抜き身のままにして近づいてくることに疑問を感じていなかったら確実に今頃は死んでいただろう。

 俺はとにかく命があったことに安堵しつつ

 なぜあいつらが襲ってきたのかの理由を考える。

 俺が怪しい奴だったことは俺も認めるが、ただ単に俺が怪しい奴だったのなら笑顔で近づいてきたりしないだろう。

 言葉が通じなかったのがいけなかったのかもしれないが

 もしかして他国の間者とかと間違われた?

 いや、そもそも言葉が通じない間者とかおかしい

 まったく襲われた理由が分からない

 俺が考え込んでいると


「まったく、なんなんですかあいつらは! いきなり、しかも不意打ちをして襲いかかって来るなんて!」


 コンはどうやら憤慨しているみたいだ

 そりゃまあね

 人間との初遭遇でいきなり襲われれば良い気はするわけない

 俺も内心かなりキレているが襲われた理由を考えている。

 なぜ襲われたのか、その理由が分からなければ再び他の人にも襲われる危険があるからだ。

 つまり、その理由が分からない限り迂闊に人間と接触することはできない

 のだが残念ながら俺とこの世界の人では価値観とか色んなものが違うから分からないであろうが

 まあ、分からないなりにも考えてみるけどね

 とありえずコンにも聞いてみよう


「なあ、コン。コンは俺達が襲われた理由が分かるか?」


「残念ながら分かりませんね。しかし、なぜか私の方を何度も見ていましたね。勿論大斗の事も見てますが」


「う~ん、俺が怪しかったから見ていただけなのかそれとも……」


 可能性としては小説とかでよくある

 この世界では黒髪黒目が珍しいとか不幸の象徴で異端だったというもの

 それとコンをあいつらが何度も見ていたことからコンが狙いだったのかもしれない

 まあ、その両方の可能性も無きにしも非ずだが


 とりあえず方針を固めよう

 人間との接触はファーストコンタクトがアレだったんで

 避けてまずはレベル上げと装備の充実を目指そう

 このまま奴らが去ったら森に戻って森の奥の方にレベル上げに戻る。

 そして十分強くなってあいつらを物納しよう

 そうしよう

 あいつら物納したらいくらぐらいになるのかな、ふふふふ

 俺は不気味に笑いながら奴らへの復讐を誓う。

 


ご意見、ご感想お願いします

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ