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カタログを持って異世界に行こう!  作者: 天野 洋
三章 ダンジョン放浪編
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無謀なる幻影 6

「という事があったんです、大斗が気絶して大変だったんですからね!」


 俺は目が覚めた後すぐにホームへと移動するよう言われてから、よく分からないまま移動しコンになぜか良く分からないが説教を受けていた

 どうやら俺が気絶したあとホームを使う事も出来ず、かと言ってカタログの購入もできないため野宿して大変だったらしい、エリアがアイテム袋に緊急時必要なものを入れているみたいなのでどうにかなったらしいが


「そ、そうなのか、それはすまなかった。幻惑耐性のスキルかアクセサリーを買ったらエリアみたいに緊急時必要になるものをアイテム袋に入れてそれぞれ個人で持つようにしよう」


「私もそうしようと思いますが私の分は自前のポイントですでにスキルを得ているので問題ないのですが……実はポイントが一人分しかないのです、二人分を買うにはポイントが…」


「そ、そうなのか……」


 前回のダンジョンで稼いだポイントはアクセサリーの購入で消えてしまっていた、そのためにここに来たのだがここでもまたポイントが足りないか

 なんかずっと残高を気にして足りない足りないと言っている気がして悲しい

 いつになったら余裕ができるのだろうか

 

 というか一人分しか買えないという事はアレを誰かが味わうということなのか

 思いだすだけでも気分が悪くなってくる

 エリアの方を見るといつものように泰然と立っていてこれからアレらと戦う事など問題ないという態度だ、見たことないがあれが歴戦の冒険者の風格の様なものかもしれない

 Sランク冒険者のエリアならばあの程度の事、特に気にする程の事ではないのかもしれない

 あの凄まじい臭いのダンジョンでも慣れているとばかりの余裕の態度だったし

 だがしかし!

 ケモナーとしてアレをエリアに味わわしてはならないことぐらいケモナーならば誰でもそう思うはずだ

 

 もしもエリアが獣人ではなく普通の男だったり、女エルフだったりしたら俺は絶対に譲らなかっただろう


 だがエリアは素晴らしき鱗を持つ私の仲間だ!

だから俺が生贄となるべきだ


 それがケモナーとしての使命であろう!


「コン、俺の分はいいからエリアに装備を」


「大斗……顔が真っ青ですけどほんと大丈夫ですか?」


 どうやら迫り来る未来に俺は動揺を隠しきれてないみたいだった

 アレをまた味わう事になるかも知れないと思うとな

 誰でも同じような感じになるに違いない

 だがしかし俺は負けられないのだ

 ケモナーとしてここは絶対に譲ってはいけない生命線なのだ


「それほど幻触は恐ろしいスキルなのですか?」


 これまで黙っていたエリアが興味深そうに聞いて来た

 本当なら言いたくはないのだが警戒を促すためにもエリアを説得するためにも絶対に言わなければならないだろう

 俺は正直にありのままを語る事にした


「やつらは幻触スキルを使って俺の乳首を舐めてきたんだ、1体目は右の乳首を、そして2体目は左の乳首をしかも意外とテクニシャンだった、最後に3体目は股間を舐めてきたんだ」


 正直に二人に告白するとなぜかは知らないが涙が溢れてきた

 どうも俺は心に深い傷を負ったのかもしれない

 だがしかし二人の事は絶対に守って見せるからな


 二人の方を見ると目のハイライトが消えて…


「エ、エリア幻惑耐性の良いアクセサリーを買ってあげるので先頭は譲りますよ、何の対策もしていない大斗を先に行かせる訳にも行きませんし、私は後ろからの敵襲に備えますから」


「いやいや、コンの方が自前のポイントを振れるのだから買ったアクセサリーよりも高いレベルの耐性を得られ、どのような幻惑にも耐えられるだろう、先頭は譲るから後方は任せてくれ」


「何を言っているんですかこのダンジョンについて知っているのは唯一エリアだけじゃないですか、先頭はどうぞ」


「ははは、サーチできるコンの方が私より遥かにこのダンジョンについて詳しいだろう」


「「はははははは」」


 な、なんか先頭の押しつけ合いが始まっているんですけどー!

 いやまあ、耐性を持っていたとしても確かにあの手の相手と相対するのは感情的にも物凄く嫌なのは分かるけど…

 耐性があるからなんか幻惑スキルを使ってきたなと分かる程度だろうし

 でもここは人気のないダンジョンらしいから前の半漁人の洞窟みたいに異常に強い個体が居る可能性もある訳で、そうするとより高位の耐性を取れるであろうコンが先頭に立つのは割と合理的な気が…


「ナニカヨウデスカ大斗?」


「イエナンデモナイデス」




不毛な争いは結局魔物が襲ってくるまで続きました

女性って大変なんですね

男性だと耐性さえあれば大丈夫だろうって思ってしまうんですけどね

耐性持っていないんで断固として先頭だけは断りますが!




 そう、断り…断り…断れなかったよ!こんちくしょう!


 話がどう転がったのかちょっと意味が分からないけど横一列、つまりは3人全員が先頭で進むという結論に達したらしい

 二人は妥協したのかもしれないが俺はめちゃめちゃ不合理な結論に巻き込まれているよね!

 俺も戦闘しないといけない布陣だから幻惑スキルを受ける可能性割とあると思うのですけど…


 と反論したがホームに戻って魔導銃AK-47を取って来て戦う様に言われたよ

 なんでも極限の状態で戦闘するとスキルが上がり易いらしい

 物凄く嫌な極限の状態だなと思ったが二人が凄く怖かったので反論できませんでした




「おらおら!死にさらせ!」


 俺は魔導銃AK-47をぶっ放し30メートル先にいるムカデ(幻触持ち)、ゴキブリ(幻触持ち)っぽい魔物たちをハチの巣にする

 さらにコンがかまいたちで切り刻み、エリアが水魔法で押しつぶす、それでも集中砲火をどうにか抜けようとゴキブリたちが器用にも天井を這いずり、宙を舞い幻触の範囲内へと少しずつ近づいてくるがその程度では俺たちには近づけない


「テンペスト!」


 コンがどう考えてもダンジョンの通路という閉鎖空間では使うべきではないレベルの魔法を使用し、呆気なくゴキブリたちを吹き飛ばしていく


 俺たちも割と吹き飛ばされそうになりながらもどうにか耐えつつ遠距離攻撃を加え魔物たちを掃討していく




「ふぅ、終わったかコン近くに敵はまだ居るか?」


「いえ、大体この辺の敵は片づけたみたいです」


「さすがにあれだけ集まってくるとは思わなかったな」


 俺たちはあの後あの舌の幻触持ちの魔物を遠距離から完封できることを確認した後、すぐにダンジョンの奥の方に向かって進んだのだが、最初は舌の魔物ばかりで大したことがなかったのだが、途中から昆虫型の魔物が増えだした

 そしてあのゴキブリみたいな魔物はどうやら他の魔物を呼ぶ性質があるらしく先ほどみたいに大量の魔物と遠距離戦を繰り広げる事となっていたのだ

 

「大斗!早く『物納!』してください!あのグロいのが前にあるだけで許せません!」


 コンが凄まじい眼力でこちらを睨みながらあの粗大ゴミというか生ごみというか謎の物体の山と成り果てている物を見ないように後ろを見つつ指差している

あの山はさっきまで戦っていた魔物でコンのかまいたちやらエリアの水魔法と俺のAK-47でほぼ原形を留めてないというか何だったかわからなくなり、さらに新たに現れた魔物に踏みつけられ、コンの『テンペスト!』のせいでミックスされ良い感じに混沌としている魔物の死体の山である


 確かにグロい

 グロいがまだ我慢できる程度だと断言できる

 虫の死体等は森が家の近くにあったのでよく目にするし家の中にも当たり前のように侵入してくるのでそれの対処できて当たり前の環境で育ったのだ

 これくらいに耐えられて当たり前だ

 女性とか虫が苦手な人にとっては厳しいのかもしれないが


 俺は冷静に気配察知とシックセンススキルを発動させつつ死体の山へと近づいていく

 気配察知にもシックセンスにも反応がないことから魔物は全部死んでいるのだろう

 近づくとおそらくカメムシの様な魔物の臭いがしてきたので前回のダンジョンの戦果である悪臭耐性のアクセサリーを首から下げると嘘みたいに臭いが気にならなくなった

 さすが高級なものを買っただけあるなとその性能に満足しながらも十分近づいてから物納を発動させる


 そうすると光の渦が現れ近場にあったナニカから順々に光の渦へと吸い込まれていくがそのナニカでできた山は大きくしかもばらばらであちこちに飛び散っているので全部吸い込むのには時間が掛るだろう


 暇だなと思いつつコン達の方を向くとさっき居た場所からさらに離れた所に移動していた

 それを見て苦笑いしつつも光の渦の方に向き直る

 たしかにこのグロいものが光の渦に飛びこんでいくとは分かっていても、こちらの方にけっこうなスピードで飛んでくるのはコンにはなかなか厳しいものがあったみたいだ


 現在のダンジョンの攻略具合は大体1割程度だ

 恐らくはコンが言っていたミラーハウスの場所からがこのダンジョンの本番だろう


 願わくはそれまでにそこそこ良いのでもいいから幻惑耐性のアクセサリーを買えますようにと説に願った




 物納したアレらの山はほとんどポイントになりませんでした…


 デスヨネー、前のダンジョンでゾンビもかなり安かったし、それよりひどい状態だったしそんな予感はしていました


 本当に間に合うのか凄く不安です


現在のカタログポイントは46963となっています。


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