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カタログを持って異世界に行こう!  作者: 天野 洋
三章 ダンジョン放浪編
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無謀なる幻影 5

「だ、大斗、大丈夫ですかっ!」


 急に動き出して倒れた大斗に私は慌てて駆け寄りどこかに異常が無いか確かめ、念のためステータスも確認するが特に状態異常はない

 私は何の問題もない事にほっと一息ついて安心したような顔で気を失っている大斗の頭を撫でる


 大した敵でもないはずなのに心配させて……もう、大斗はしょうもないことしかしないんですから


 でも、幻触が私の想像以上に危険だった可能性もないわけではない

 大斗は魔力が無いそのためこの世界の人よりも身体能力がより強化されている、ステータスだけを見ればスキルは低いが大斗は相性が余程悪くない限り1級ダンジョンのボスも単身で倒せるほどの近接戦闘能力を持っているのだ

 その大斗があれだけ無理な気の強化をし限界を超え相手を殺したのだ

 やはり私も十分な対策をした方が良いだろう

 

 私には大斗が使った分だけのポイントを得ることが出来る機能がある

 そしてそのポイントを使って私自身を強化していくことができる

 だから―


 そのポイントをふんだんに使い幻惑耐性のスキルをLv6まで上げる

 ここまで上げておけば特級ダンジョンのボスクラスか悪魔や神の祝福を受けたものでなければ大丈夫だろう


 もしも強力な幻惑系のスキルを持つ者があらわれても私が対処できるはず

 そんなことを思いながら大斗の顔を撫でつつ眺めていると


「コン、そろそろ満足した?」


 エリアが暖かい目で大斗を撫でている私を見つめていた


 え、エリアが居るのを忘れていた!


 私は自分の顔が真っ赤に染まるのを感じつつも、誤魔化しつつ『物納!』を発動させ敵の死体を片づけ始める


「だ、大斗はただ気絶しているだけで体には何も問題ないみたいです、無理な気の強化をしたのもありますが、恐らくは幻触スキルのせいだと思われます」


「やはり幻触スキルかそのスキルがそこまで警戒すべきものだとは思ったことが無かったが、大斗がああなっていることは事実だから対策を取らなければ危険だ」


「そうですね、私もそう思います。ですがポイントの関係上高級な耐性スキルのアクセサリーとなると高いので1つしか買えないのです、今となっては前のダンジョン臭悪なる深淵で3人分の高級な対策アクセサリーを買ったのがまずかったですね。あの時は絶対に必要だと思って買ったのですがもう少し計画性を持つべきでした。でも私にはすでにこのダンジョンに居る幻惑系のスキルは通じないのでどうにかなるとは思います」


「それは困ったな、しかし、ここのダンジョンの敵はそんなに高ランクの幻惑系スキルを持っているのか? 2級ダンジョンだからそこまでの脅威だとはないと思って勧めたのだが」


「確かにここのダンジョンの敵は大したことが無いと思うのですがなぜか幻惑系スキルが高いんです、さっきの敵も幻触スキルLv3が2匹とLv4が1匹でした。しかし、Lv3とLv4の違いってより鮮明に触られたと相手に錯覚させるのと持続時間がほんの少し伸びる程度なんですよ。もちろん幻触を掛けやすくなるとは思いますが」


「そ、そんな無駄なスキルをここの敵は持っているのか?」


「はい、ちょっと意味が分からないんです。他に意味があるのか怪しいスキルは声真似とか幻聴とか幻味とか、要注意なのは幻覚と幻臭です!」


「幻惑系スキルが勢揃いだな……幻味はこの世のものとは思えないまずさを味あわせてくるかもしれないから、注意が必要かもしれない。声真似とか幻聴は私も意味が分からない、このダンジョンちょっとおかしいね」


「なるほど! その点は注意が必要ですね、さすがエリアです! このダンジョンが頭おかしいのは私も賛成です、ダンジョンに頭はないですが」


「さてここはダンジョンの中だから気絶した大斗をこのままにしておくのはまずい、コンホームに移動させよう」


 そうですね

 ついついダンジョンの中に居るのを忘れて話し込んでしまいました

 大斗も気絶していますから早めに安全な場所に移動しないと


「そうですね、では大斗ホームに移動させてください」


「ん?」


「あれ?」


 そうです、大斗は気絶していたのでした

 ということは……


 ヤ・バ・イ


「なあ、コン間違いであって欲しいのだが」


「は、はい」


「もしかしてホームへの移動って大斗しかできないの?」


「そ、そうですね、特殊魔法である『ホーム』を持っているのが大斗なので」


「「…………」」


沈黙が痛い

 ホームは特殊魔法に分類されるのでまともな方法ではあの空間に行くことが出来ない、そもそもあのスキルは100万ポイントもするのだ。安全な空間に転移するその効果は値段相応なもので通常の転移などでは侵入も探知も不可能でありかなり高性能なのだ

 だから大斗が気絶している現在はどこかで野宿をする必要がある

 

 そして、大斗が気絶しているという事は当然として私がカタログで商品を買おうとしても大斗が許可を出さないので買えない

 つまり、晩御飯も寝袋なども出すことが出来ない


 そうエリアに伝えないといけないのだが……凄く言いづらい


「はぁ、それなら仕方ない。ひとまずダンジョンを出て野宿しよう、緊急用にアイテム袋の中に野営道具と食料が入っているからそれでどうにかなるだろう」


「ほんとすみません、それで、その、あの、大斗が気絶しているのでカタログが使えないので……ご、ご飯とかもかうことができないです、はい」


「やはりか……その辺は今後の課題になりそうだな、アイテム袋などを買っておいていざ必要になるかもしれない物を入れておくと大丈夫だろう」


「す、すみません」


「なあに、私も仲間になってから結局役に立ってなかったからな。これでようやく役に立てて嬉しい限りだよ」


 そう言うとエリアさんは私の頭を大斗がする風に軽く撫でた

 エリアさんは別に怒っている風でもなく呆れている風もなく、ただただ優しい笑みを浮かべていた


「あ、ありがとうございます!」


 初めて大斗意外に頭を撫でられたがそんなに気にならなかった


 そして、その日初めて食べた非常食は塩気が多かったがそんなに悪くないそんな気がした


現在のカタログポイントは12963となっています。

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