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カタログを持って異世界に行こう!  作者: 天野 洋
三章 ダンジョン放浪編
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無謀なる幻影 4

「そろそろ接敵します、先ほど戦ったアレが3体ほどいます。どうしますか?」


「俺が取り敢えず近接だけで倒してみるよ、危なそうだったなら援護を頼むよ」


「気を付けてくださいね」


「ああ、軽く倒してくるよ」


 俺はそう言うと蛍丸を抜きゆっくりと前方にいる敵に向けて歩き出す

 透明なガラス対策に鷹の目を発動させる事も忘れない

 所詮は2級ダンジョンの敵だレベルは30程度とそこそこの強さらしいが、先ほどの戦いでも分かるように遠距離でもすぐ死んだ、だから近接ならばさらに楽に倒せるだろう、ただ、例の幻触には気を付けないといけないシックスセンススキルもなぜか警戒した方が良いと訴えかけている


 やつらもこちらの事に気付いたようで叫び声をあげている

 叫び声を上げるたびに数個ずつほど透明なガラスが召喚されているのが見える

 転ばす事を前提なのかガラス召喚のスキルが低いせいなのかも知らないが現れるガラスは嫌らしい事に膝ぐらいの高さで、転ばしてやろうという意図を持って召喚されているようにしか見えない

 

 普通なら発見しにくいのだろうが鷹の目を事前に発動さえしていれば何の問題もない


 俺はガラスを避けつつゆっくりと敵に近づいていくとやつらは俺がガラスを避けている事に苛立つかのようにギャアギャアと叫んでいる

 ガラス召喚が通じないと分かったら次に来るのは舌を伸ばす攻撃もしくは他の遠距離攻撃だろう


 そろそろ幻触が来るか?


 そう思っているとついにソレが来た


 そう、何かが俺の右の乳首を舐めた


「ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」


 人は真に恐ろしいものを味わうと声もなく立ち尽くすというがそんなことはないようだった

 俺は視界にやってやったぜと言わんばかりのドヤ顔でこちらを笑いながら舌を出し入れしているソレにただただ怒りしか浮かばなかった


悪意に満ちた攻撃そうとしか言えない物を喰らった俺はすぐさま全身を気で覆い勢いよく駆け出そうとして、またソレが俺を襲った


そう、今度は何かが左の乳首を舐めてきた


「きゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」


 2度目は1度目よりもテクニシャンだった


 1度目と違い普通に舐めるのではなく円を描くように乳首を中心に舐めていったのだ


 俺はあまりの不快感に心折れ、気の制御もできるわけもなく覆われた気は解除され、立っていられなくもなり膝をついた


 1度だけではなく2度までもあのようなゲスな顔をした魔物に舐められただと……まだ、コンにもエリアにも舐められた事がないというのに、いやいっその事あの魔物に汚されたの汚れた私をあなたの舌でこの触感を上書きしてと土下座すべきだろうか

 あまりの不快感にまともに思考できず意味の分からない事を考え出す中ふと気づいてしまった


 敵は3体


 そう……まだ敵は1体居るのだ


 恐る恐る俺は魔物の方を向く

 生まれたての小鹿のように立ち上がれない俺を見下しゲス顔で笑う3匹の魔物が

 その魔物の真ん中にいる一匹がその顔が見たかったんだと絶望する俺を見て一層笑みを深くした瞬間それが来た


 そう、俺の股間を何かが舐めた


「————————」


















「大斗しっかしりしてください!」


「大丈夫ですか何があったのですか?」


 何か声が聞こえる

 誰かが手を握っている?


 あれ?

 何をしていたんだっけ?


 何か敵と戦っていて……うう、頭が


「コン!大斗はどうしたのですか、急に叫び出していましたが何らかの状態異常か精神攻撃を受けたのでは?」


「いえ、そんなことは……思い当たるスキルは幻触スキルしかないんです」

 

「しかし、この状態はおかしい。確かコンは大斗のステータスを見れましたよね?」


「ちょ、ちょっと待って下さい」


 あれ、良い臭いがする

 どこかで嗅いだ事のある様な臭いが……


 確かこれはコンがいつも毎週火曜日によく使っているシャンプーの香り


 それに何かが顔を撫でていてくすぐったい


 意識が混濁しかけている中どうにか目を開けてみるとコンの長い黒髪が俺の顔にかかっている


 それに心配そうになぜかコンが涙ぐみながらこちらを覗き込んでいる


「だ、大斗良かった目を覚ましたんですね! 心配したんですから!」


 涙ぐんでいる事に途中ではたと気付いたのかこちらから視線を外しつつも、握っている手の方は離そうとせずそのままぎゅっと握っていた


「大斗、良かった意識が戻ったようだな」


 エリアもほっとしたとばかりに安心したよ、小さく呟きながら俺とコンの事を微笑ましい目で見ていた


 二人に心配してごめんと言おうと体を起そうとしようとするが上手く体が起き上がらなかった

 それどころか体中が悲鳴を上げたように痛みが出てきた


「いたたたたたたた、な、何か全身が痛いんだけど」


 どこか負傷した風な痛みではない

 だというのになぜか全身が痛い

 どちらかというと筋肉痛の尋常ではない感じみたいな気がする


「ああ、それは恐らく過度な気の強化を使いやつらを倒したせいだろうな、私もそこまで使い慣れているという事は無いが気を使い始めた時はかなり体が痛かったよ。しかし、あそこまでの動きをできるとは思ってなかった、さすが大斗だな」


 俺が敵を倒した?

 そんなことをしたか?


 そもそも、ここはどこだったか?


 確か俺は2級ダンジョン無謀なる幻影に来て……幻触スキルを使ってくる相手が―


 俺はソレを思い出した瞬間体が意識よりも早く動いた

 

 コンの手を振り払い、後ろに立っていたエリアを突き飛ばし


 蛍丸を抜いて最大火力で烈火砲を撃とうとして撃てなかった


「あれ?」


 右手を見てみると抜いたはずの蛍丸は無く

 敵が居たはずの方を見ると首を飛ばされたトカゲどもの死体が散乱していた

 蛍丸はコンの近くに鞘に納められ置かれていた


「良かった」


 ―あいつらはもう殺したんだな


 俺はそう言うと急に全身に痛みが走り出し俺はまともに立つこともできず前のめりになり倒れた

 ああ、ほんとに―







 ―もうお家帰りたい


 俺は意識を失った


現在のカタログポイントは11663となっています。

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