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カタログを持って異世界に行こう!  作者: 天野 洋
三章 ダンジョン放浪編
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あれだけあったポイントが……

「さてエリアが来る前にさっさとこのダンジョンで手に入れたポイントを使いましょう、無駄な時間をえらく過ごしてしまったのであまり悩んでいる時間はありません」


 コンが無駄な時間を過ごしたと言わんばかりの口調で言う。

 そうコンが主張するが俺は長時間コンの狐火を喰らって焼かれていたので動くに動けない。

 普通罰としてちょっと火の玉をぶつけてくるくらいは分かるけど、長時間って……。


 我ながらよく耐えられたと思うわ……。


 まあ、レベルが上がったせいかあんま熱くなく熱がっている真似をしていただけなんだけどな!


 ※火属性耐性が付いたことに気づいていません。


 しかし、そのことをコンに気づかれえると火力を上げられるので気づかれないようにしていたというわけだ。


 でも、長時間焼かれるとなんか体が重く感じるんだよな。

 アレだ。

 風呂に入ると疲れが出る的なやつだと思う。

 後、あんま寝過ぎると体がだるくなる的なやつの方かもな?


「それで使うポイントについてですが現在のポイントは427487ポイントです、どこかのお馬鹿さんのせいで10万ポイントも少なくなってしまいましたが……」


 コンがこちらを駄目男を見るような眼で見ている気がするが努めて気が付かないふりをする。


「そうだな、少ないポイントを有効に使って強くならないといけないな! エリアについては例のアレを買って使うとして、その他に予備として10万ポイントを保持しておくとすると、残りの30万ポイントほど俺のスキル強化に使おう!」


「そうですね、私もそうしようと思っておきましたが……」


 途中でコンが言葉を切って、こちらを真剣な目で見つめてくる。

 どうやら真面目な話をするのだろう。

 俺も一応寝転がったままだがちゃんと顔を上げてコンの方を見つつ話を聞く。


「これが最後の忠告ですからちゃんと聞いてください。ほんとうに人間たちと接触しつつ暮らすのですか? 余分なポイントを大量に消費して、背負わなくていい負担や迷惑を被る未来しか見えないと思うのですが、ほんとうに人間たちと関わって生きていくつもりですか? 私たち二人だけでひっそりと暮らすというのは駄目なのですか?」


 コンらしいといえばコンらしい問い掛けだった。

 コンもエリアの事について前向きな発言をしていたはずだが、心の中ではやはりリスクが存在し納得がいっていないのだろう。

 確かに俺たちのような存在が人間たちに関わっていけばいずれは俺たちの異常性が気付かれてしまい、かなりの問題になることは決まりきっているだろう。


 この世界の初めての人間との遭遇で襲われたことや、魔物に追われていたのを助けたのに毒を仕込んで襲おうとしたみたいなことじゃ済まないようなことが起こるかもしれない。


 どんなに気を付けても。

 どんなに対策を講じても。

 気づくことのできない穴や偶然による遭遇などがあってしまう。


 しかし、それは例え全力でコンと俺が人間との接触を断って痕跡を残さないようにしても起こってしまうだろう。

 例えホームに留まり続けるとしてもどこかでポイントを集めてこないといけない。

 その時に必ず俺たちが居たという形跡が残るだろう。


 そもそも、今までの俺たちの足取りで……うん、考えないようにしよう。

 特にヤバいことはしてなかったはずだっ!


 それに俺にはずっとホームに留まり続けることに耐えられなくなるだろう、何でも揃うからこの家にずっと居てと言われて耐えられるだろうか?

 最初は良いだろう。

 だが必ず飽きが来る。

 俺にはそれが不可能だと思う。


 だからこそ俺は人と関わって生きようと思っている。

 人は一人では生きれないから……。




 俺はより強く自分の意思を持ち、今の心の内をコンに伝える事を決める。

 俺はコンを見つめ……。


「そ、そんなにちゃんと考えていたんですね!」


 目元に涙を溜めたコンになぜか褒められた?


「私は勘違いしてました!」


 コンはいきなり何を


「そこまで考えていたのなら私はもう口出しはしません!」


 言って


「私が精一杯支援しますから一緒に人間と関わりつつ暮らしていきましょう!」


 いるんだ……




「心読んでんじゃねえかあああああああああああああああああああああ!!!」








「さあ、改めてポイントの使い道を決めましょう」


 コンが俺から目を逸らしつつ話を再開する。


「そうだな、話が全然進まないからそうしよう」


 俺は読心術はもう使わないと宣言したはずのコンを睨みつつ話を続ける。


「ポイントはエリア対策と予備に12万ほど保持で残りの30万ポイントを使いましょう。」


「そうだな」


「使い道としては今後必須と思われる偽装スキルの取得です」


「偽装スキル?」


 偽装というとエリアが明らかにおかしいと言っていた俺の刀の蛍丸をどうにかするってことなのかな?

 それとも他の部分か。


「偽装スキルは主に自分の姿、身に付けている物、ステータスを偽装することができます」


 なるほどな。

 ステータスか。

 今後冒険者ギルドを利用するなら必須となるだろう。

 冒険者ギルドは普通にステータスを見られてしまうからな。

 イスカの街のギルドマスターが冒険者のカードの隠されたステータスを閲覧することができないとか言っていたが、魔道具で確かめはしたがどうも信じられないし。

 鑑定スキルとか相手のステータスを見る事が出来る奴がいる可能性もあるのでこれは絶対に必要だ。


「そうだな俺もそれは買う必要があると思う」


「それで偽装スキルですがLv5までで9万7千ポイントです」


「……高くないか?」


 偽装スキル高すぎだろ……てか、なんでLv5まで上げる必要があるんだ?

 Lv3くらいじゃ駄目なのか?


「偽装スキルをなんでそこまで上げないといけないかというと、冒険者ギルドが使用しているステータスを測る機械がどうも神による作品のレプリカみたいで……それを騙すのに高レベルの偽装スキルが必要になります」


「冒険者ギルド……自力でステータスを測る魔道具ぐらい作れよ!」


 なんか無駄なとこでどんどんポイントが使われていっている気がするんだけど。

 これは今回も一瞬でポイントが無くなりそうだな。


「それと偽装スキルは少し高い程度で読心術に比べれば安い方です」


「少し高い程度なのかよ……」


 こうなるとレベルが上がってくるととんでもないポイントが必要になりそうだな。

 それに優秀な武器よりもスキルは遥かに高い値段設定になっている。

 普通に考えればいくら強い武器があっても本体が弱かったら意味がないからなあ。

 仕方ないといえば仕方ないが……ポイントが。


「次に成長促進スキルをLv3まで上げようと思います。説明しなくても分かると思いますがスキルというものはなかなか上がりません、そして、ランクは上に行けば行くほど上げるのが大変になります。なので今のうちに成長促進スキルを取っておかないと大変なことになります」


 成長促進スキルか……。

 確か経験値が増えるスキルじゃなくてスキルが成長しやすくなるスキルだったな。

 前にLv1を買ったはずだが効果があるのかどうか分からない程度しかスキルレベルは上がらなかったからな……。

 正直言うと成長促進スキルにポイントを使うよりも普通にスキルを買うのにポイントを使った方が早く上げられると思うんだよな。

 ポイントの方は魔物とかを倒しておけば貯まるがスキルの方は使わなければ上がらない。

 どう考えてもポイントの方が早いし簡単に上がると思う。


 だが……怖いのがこのカタログの仕様だ。


 スキルの値段は書いてあるのだがLv1の値段しか書いていないのだ。

 纏めて買おうとする場合はその値段までの合計は出てくるのだが、基本Lv1までしか書いていない。

 レベルが2とかに上がっていると自動的に次のレベルの値段が表示されるのだが、先のレベルの値段は一切分からない不親切な仕様になっているのだ。


 もしもだ、もしも8とか9になるのに数百万とか数千万ポイントが必要だとすると……成長促進スキルを勧めるのも分かる。


 よし!

 とりあえず、コンに聞いてみるか。


「コン、どうして俺に成長促進スキルを勧めるんだ? 別に普通にスキルを買った方が早い気がするんだが」


 コンがしまったという顔をしている。

 聞かれるとまずいようなことだったのか?


「残念ながらそれについては説明できません。また高ランクのスキルのレベルを上げるポイントについても説明することができません」


 コンに聞きたいことがばっさりと切られてしまった。


 これはあれか?

 また神魔商会の制限というやつなのだろう

 これ以上コンに質問しても全部『答えられません』と言われてしまう。


 仕方ないので俺は自分で確かめることにする。

 スキル纏め買いで何度もそれぞれのランクを指定すればランクごとの必要ポイント数は分かるからだ。


 俺はカタログを出現させて適当に刀術のスキルの纏め買いを実行させる。


 「レベル10まで纏め買いっと」


『システムエラー ポイントが足りません』


 「……」


 さすがだ。

 ちゃんと対策されていた。


 おそらく自分の手持ちのポイントを超えると自動的に表示されなくなるのだろう。


 しかしだ、大量のポイントを持った状態でこれを試せば恐らくは大体いくら必要になるかは知ることができるだろう。


 俺は再び試してみる事にする。


「レベル9まで纏め買いっと」


『システムエラー ポイントが足りません』



「レベル8まで纏め買いっと」


『システムエラー ポイントが足りません』



「レベル7まで纏め買いっと」


『システムエラー ポイントが足りません』


「レベル6まで纏め買いっと」


『システムエラー ポイントが足りません』



『警告 警告 警告 不必要な回数入力が確認されました。これ以上の嫌がらせが確認された場合は悪意あるランダム機能で残りポイントを全て消費させていただきます』


「……マジかよ」


 なんか凄い警告が出たんだけど……これはヤバいと思う。


「大斗分かりましたか? 諦めた方が賢明ですよ、神魔商会を舐めてはいけません」


「そうするわ……」


 これ以上すると本気でポイントを消費されかねない。

 しかも『悪意あるランダム機能』ってのが怖すぎる。

 ネタスキルとかを買いまくるとかならまだ良いが、種族特性のスキルを購入されて拒絶反応なんか出た日には……ガチで死ぬわ。


 神魔商会マジ怖いわ……。


 カタログの事に関してはコンに一任した方が良いだろう。

 おそらく無駄にポイントを消費させられたりするかもしれないが、自分で選ぶよりは良いだろう。


「スキルはコンの言うとおりそれで良いわ」


 俺は疲れた声でコンに言う。


「分かりました上げるスキルは偽装スキルLv5まで成長促進Lv3まで上げて27万7千ポイントですね、残り二万三千ポイント分は刀術でも上げますか?」


「成長促進スキル高くないか? えっと……1から3に上げるのに18万ポイントとか」


「まあ、成長系のスキルですからね」


「はあ、やっぱすぐにポイント無くなったな、残りは刀術上げる方向でお願い、後でなんかアニメのデーブイデー買って家でごろごろしながら見るかぁ」


「分かりました刀術も1つ上げまして合計で29万2千ポイントになります」


「はいはい、購入で~」


 俺は購入が完了したことを確認するためにステータスを見る。




名前:犂宮(すきみや) 大斗(だいと)

年齢:18

レベル:54

<固有スキル> ケモナー化

<スキル>   異世界共通語 剣術Lv2 刀術Lv2 射撃Lv1  狙撃Lv1

偽装スキルLv5 シックスセンスLv3 成長促進Lv3 気配察知Lv2 身体強化Lv3  

鷹の目Lv3 思考加速Lv3 気闘術Lv1 気力強化Lv1 火属性耐性 Lv1 毒耐性Lv3 




「むぅ、一番高いスキルが偽装ってのが何とも哀愁漂うな、前は毒耐性とかだったし……気にしちゃ駄目だな、うん」


 俺はさらっとステータスを見た後すぐにステータスを見るのを止めカタログを広げる。

 そう、新しいアニメのデーブイデーを買うのだ!


「さあ、何のアニメを買おうか」


 俺とコンは早くもエリアが約束の場所に着いていることに気付かず、アニメをみながらごろごろとホームで一夜を過ごす……。


現在のカタログポイントは135487となっています。

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