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カタログを持って異世界に行こう!  作者: 天野 洋
三章 ダンジョン放浪編
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半魚人の洞窟 11

「うわぁ……これはやっちゃったな」


 俺が二人の戦闘を中断させようと撃った魔法は見事にコンに命中し、そのまま水中に落ちていってしまった。


 コンの奴絶対怒っているだろうなあ。

 まあ、後ろからフレンドリーファイア喰らえば誰だって怒るが。

 あの程度の魔法ならコンも大丈夫だと思うけど……ううう、どうやってコンに謝ろう。


 リザードマンの方も撃墜されたコンを心配しているのか水中を覗きこんでいる。


「さて、戦闘が終わったのはいいけど、どうやってコンを説得しよう」


 う~ん、説得できている状況を想像が出来ない。

 想像できるのは俺が狐火で燃やされている運命しかないような気がする。


 俺がうんうん唸っているとリザードマンが話しかけて来た。


「彼女が水中から上がって来ないのだが、彼女は泳げるのか?」


「…………」


 狐って泳げたっけ?

 

 キタキツネが泳ぐ動画とかは見たことあるけど……今コンは獣人の姿しているけど泳げるのか?

 戦闘とかは普通にこなしていたけど……そもそも、攻撃魔法をいきなり喰らって気絶している可能性もあるわけで。


「待ってろ! すぐ行くからな、コン!」


 俺は蛍丸と腰に下げた袋を道に投げ出すと一気に水面に向かって飛びこんだ。




「あ~、マジで気絶しているとはな」


 俺はすぐに飛びこんでなんとか水底に沈んでいたコンを救出することができた。

 とりあえず、心臓マッサージと人口呼吸で息を吹き返してくれて何よりだった。

 授業でちょろっと習っただけだったからな、うろ覚えでやっていたけどちゃんと成功したので良かったわ。

 

 え? 何コンに無理やりキスしているんだ、だって?

 仕方ないだろ!

 緊急事態だったし……それに溺水できすいの場合は人工呼吸も必要だろうしな。

 これはノーカンだ、ノーカン。


 まさかファーストキスの相手がコンになるとは……。


 記憶から消しておこう。

 それにコンには絶対伝えない方が良いな。

 うん、伝えたら殺されるな、確実に。


「彼女は大丈夫かい?」


 リザードマンが話しかけて来た。


「ありがとうございます。リザードマンさんが手伝ってくれたので早めにコンを引っ張り上げることが出来ました」


 俺はリザードマンにお礼を言う。

 コンの救出にこのリザードマンも手伝ってくれたのだ。

 俺一人じゃ、水中に慣れていないし、服も来ていて動きにくかったので迅速に救出できなかっただろう。


 それにコンが気絶している間に色々リザードマンと話してみると案外良い人で、どうも腕が良い冒険者と思った様で手合わせがしたくてあんなことを言ってしまったらしい。

 なんでもリザードマンは戦闘民族だから大体の者が強い人を見ると戦ってみたくなるらしい。

 さすがわ異世界だな、戦闘民族とかテンション上がるわ~。


 それと俺が聞いてみたかった冒険者の常識とかを色々教わった。

 でも、パーティーを組む上での注意に関して聞くとなぜか話をはぐらかさられたのだけど、気のせいだよね。


 リザードマンはここにボスを倒しに来たらしい。

 ここのダンジョンは放置ダンジョンと言われていて、定期的に実力のある人がボスを倒しに来るらしく、リザードマンはその選ばれた人ということだ。

 

 そういえばダンジョンは放置しておくとボスが魔物を引き連れてダンジョンの外に出てくるらしいからな、おそらくそれを起こさないためだろう。

 ここのダンジョンの魔物の数がやけに多かったのはその前兆みたいな感じだったからと思われる。


 リザードマンからは実力も十分あるので一緒にボスを討伐しないかと誘われている。

 俺は快く了承したがコンをどうやって説得するかが問題だろう。

 今まで割と本気で戦っていたのに一緒にボスを倒しに行こうなどと言い出したら、納得してくれないだろうしな。


 リザードマンと話を続けているとやっとコンが起き上った。

 コンは起き上ると周りを見回してなぜ自分が寝ていたのか不思議そうに首を傾げていた。


 とりあえず、俺はコンの前で土下座をした。


「ごめん、コン。二人の戦いを止めようとして、二人の間に攻撃魔法を撃ちこんだら間が悪いことにコンがその場所に移動していて……」


 コンは俺の言葉にぽかんとしていたがすぐに思いだしたのか、リザードマンを睨む、ついでに俺も睨まれている。

 コンがこのままリザードマンを攻撃してはまずいのですぐに説明をする。


「コ、コン。コンが水中に落ちたのを俺と一緒にこのリザードマンさんが助けてくれたんだ。話を聞いてみるとどうやら強い人と手合わせがしたかったからあんなことを言ったみたいなんだ。決してリザードマンさんに悪気があったわけでは……戦う気は満々だったみたいだけど」


「…………」


 俺が拙い言い訳をするがコンは相変わらず俺とリザードマンを睨んだままだ。


「ついでにリザードマンさんがこの後ボスを倒しに行くらしいから一緒に行こうと思うんだけど良いよね?」


「…………」


 ううう、激しく気まずい。

 許してくれるような雰囲気ではない。

 ど、どうするんだよ、これ……。


 俺がこの状況に絶望しどうしようかと悩んでいると今まで黙っていたリザードマンが――。


「君はどうやら少年の攻撃魔法か水面に落ちた衝撃で気を失っていたようだ。息もしていなくて少年が人口呼吸とかしんぞうまっさーじなることをして、息を吹き返したらしい」


「ちょ、リザードマンさん」


 リザードマンがちゃんとコンに言わない様に口止めをしていたのにも関わらず、その事実をコンに伝えてしまった。


「じ、人口呼吸…………」


 コンが顔を赤らめつつ指で唇をなぞっている。


 いやいや、コンさんもなんで顔を赤らめてそんなことしているんですか、非常にエロい……じゃなくて!


 どう考えてもさらに収拾が付かなくなってしまっただろ!


 リザードマンの方をみるとこちらに向かってサムズアップしている。

 というかリザードマンさんそれどこで習ったんですか。

 異世界でもこれは通じるのか?


 なんて関係ないことを思っているとコンがようやく口を開いた。


「良いでしょう、リザードマンさんあなたの同行を認めましょう」


「え?」


「分かった。二人とも私のことはエリアと呼んでくれ」

 

「分かりました、エリアさん。私の事はコンでいいですよ」


 そう言ってさっきまで戦っていたとは思えないことに握手までしだした。


 どうなっているんだ?

 俺は状況に付いて行けずに首を傾げつつ、まあ解決したのならそれでいいかと納得することにした。


 その後でリザードマンじゃなくてエリアさんが『師匠の言っていた通りこれがツンデレなのか!』とか言ってたけどあれはなんだったんだろう。


現在のカタログポイントは496324となっています。


すいません今日も遅れました。ついマビノギの配信を見ていて()


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