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カタログを持って異世界に行こう!  作者: 天野 洋
三章 ダンジョン放浪編
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半魚人の洞窟 10

 コンがいくつものかまいたちをリザードマンに向かって放つがリザードマンは狭い一本道で器用に避けている。

 てっきり避けてそのまま水中へと逃げると思ったのだが、そのまま狭い道でわざわざ避けるとは、コンを挑発しているのかな?


 コンの方はというと一向にかまいたちが当たらないことに苛立っているみたいだ。

 このままだとリザードマンの挑発に乗って他の力も使いそうだな。

 そんなことを思っていると。


「鬱陶しい、トカゲ風情が!」


 コンが汚い言葉を使いつつ今までの様に避けられないような密度でかまいたちを大量に放つ。


 いやいや、コンさん口調変わり過ぎじゃないですか?

 俺と話している時はえらい違いだ。

 俺に喧嘩売ってるような人とかには確かに今までも口調がひどくなっていたが、ここまで苛立っていたことはない。

 あれなのか、狐とリザードマンって犬猿の仲みたいな感じなのか?


水守みなもり!」


 リザードマンは水を操りかまいたちの攻撃を防いだみたいだ。

 

 コンのかまいたちの威力はかなり高い筈なんだが、普通に防げているということはかなりの実力者だな。

 まあ、レベルが71だから強いのは分かっていたんだけどね。


 俺がそんなことを呑気に考えていると早くもコンが他の能力を使う。


「な、これは」


 リザードマンが驚きの表情で空中に浮いている。


 コンの能力の一つ、すっかり忘れていて詳しくは聞いてないがおそらくは念動力だろう。


 リザードマンは念動力により空中に浮いていて身動きが取れていない。

 どうにか逃れようと必死に体を動かしているようだが無駄だろう。

 空中では地上の様に踏ん張ることも、水中の様に抵抗することもできない、空中で飛ぶ様な芸当や念動力そのものを阻害したり効果を打ち消したりしない限り、空中に囚われたままになるだろう。

 というかこの念動力は事前情報なしで食らったら、ほぼ確実に空中で無力化されてかまいたちで首ちょんぱされる。

 だっていきなり自分の体が勝手に浮くとか虚を突かれている間、空中に連れて行かれるんだぜ。

 普通は何もできず死んでいくだろう。

 コンも何でこんな凶悪な能力を習得するかな。

 確かに便利だとは思うけどこれはチートってやつじゃないですか?


「トドメです!」


 コンが空中で身動きの取れないリザードマンに向かって今までとは違う高威力のかまいたちを放つ。


 これで両断されればリザードマンさんはお終いだねと、俺は呑気に思いつつ見ているだけで手を出さない。

 それはSランクの冒険者がこの程度ではないと信じているからだ。

 信じていると言ってもこれは大斗の勝手な評価なのだが。


水鎌すいれん!」


 リザードマンの大きな声が響いた瞬間何かがかまいたちを軽く打ち払いコンに向かって飛んで行った。


「ちっ」


 コンは危なげなくリザードマンの飛ばしていた攻撃を避けた。

 コンが居た地点は大きな傷痕と水が残っている。

 あれを喰らったらさすがにコンと言えども即死だろう。

 さすがわ、S級冒険者だ。


「いやあ、危なかったね。なかなか怖い攻撃をしてくるもんだね」


 リザードマンはにやにやと笑いながら地面へと着地していた。


 咄嗟の攻撃を避けるためにコンが念動力を解除したのか、それとも集中していないとあの念動力は使えないのか。

 どちらにしろ、念動力による不意打ちはもう使えないだろう。

 使ったとしてもおそらく同様にさっきの攻撃で攻撃してくるだろうし、水中に潜って水中から攻撃してくる可能性もある。

 特に嫌なのが水位を増やして自分に有利なフィールドを作ることが出来た場合はやりずらさは半端ないものになるだろう。


 今のところコンの手札は狐火に念動力にかまいたちそして察知スキルだ。

 しかし、このままだとリザードマンを倒すのは難しい。

 このままでは手詰まりになることは明白だろう。

 コンが新しくスキルを取得していない限りは……うん?

 あれ? そういえばつい最近家を買って40万ポイント分コンが強化されてね?


「…………」


 俺新しくコンが何の能力を取得したか聞いていないわ。

 凄く嫌な予感がするなあ。

 この戦いこの辺で止めなければ本当にコンがこのリザードマン殺しちまうんじゃね?


 俺は脳内で今後の戦いをシュミレーションしてみる。


 すぐに止めよう、今すぐ止めよう。


 俺はどうにか戦いを止めなければと傍観を止め、両者を止めようと蛍丸を抜き両者の中間地点に向かって蛍丸に付加された魔法を放つ。


烈火砲れっかほう!」




◇◆◇◆◇◆◇◆




「死に晒しなさい!」


 狐の獣人の少女が私に向かってかまいたちを飛ばしてくるが余裕を持ってかわしていく。

 

 先程、冒険者カードを交換した少年と違ってこの少女の方は少年と私のやりとりを見ている間、ずっと私を目の敵でも見るような目で睨みつけていた。

 しかし、少年の方は私に敵意など見せていないというか、リザードマンを初めて見たとばかりにじっくりねっとり見てくるのには多少辟易したが、他の人族とは違う反応で珍しく私も気に入った。


 普通のリザードマンの鱗は緑色なのに私の鱗の色は赤色だ。

 そのせいで同族からも親からも嫌われ村を追い出され、他種族からもこの鱗の色のせいで迫害された。

 普通のリザードマンなら生きて行くことは難しい境遇だったが私には固有スキルがあったので、なんとか生きて来れた。

 そんな私をこの少年は見たこともない様な視線を私に送ってきた。


 なぜそのような視線をこの少年は送って来るか不思議だった。

 そして、私はこの少年に興味が沸いた。

 この少年と話してみたいと。

 ついでに私に流れるリザードマンとしての血が強者と戦えると訴えているというのもあるのだが。


 しかし、いきなりそんなことを言っても驚かれ拒否されるだけだろう。

 この少年と話すためにはどうにかその場を設けないといけない。


 こういう時は……そう、戦ってみれば良い!


 私の師匠はよく言っていた。

 『友とは己の拳で殴り合いできるものだと』

 そうして殴り合いの結果、その相手と親友になれると。

 別に血が戦いと騒いでいるからというわけじゃないんだからね!


 白状しよう、私はぼっちだ。

 

 師匠以外には事務的な話以外はしたことがない!

 つまり、友達というものを作ったことが無いのだ。

 だから師匠以外と話すのはどうしたら良いかわからないのだ。

 とりあえず、私はリザードマンとしては鱗が赤く迫害されることが多いので泰然としている風を装うことにしている。


 とりあえず、少年はともかく少女の方は私に敵意を向けているのでそれを煽ってやれば、戦うことになるだろう、そして少女が苦戦すれば少年も戦いに出てこざるを得なくなる。

 私はそれを狙ってわざと少女が怒りそうなことを言うと私の予想通り少女は私に攻撃してきた。

 私の狙い通りだ。

 

 それと私が言っていた事は半分正解で半分はずれだ。

 確かにダンジョンには特別に許可を貰うか、国の騎士とかじゃない限り、冒険者ランクを上げて入る資格を取得する必要がある

 確かにそうだが、それを律儀に守らなくても別にダンジョンに入れる。

 有名な三級ダンジョンなどはレベル上げをしたいが、訳ありや犯罪者であり普通には入れないような奴を斡旋するような所なども存在しているらしいし。

 ここのような放置ダンジョンは誰でも入り放題なのが現状だ。

 それにそのような人を見つけてもギルドに報告する必要もない。

 ほとんどがダンジョンを舐めているような者だから放っておいても死ぬからだ。

 ギルドもそのことを知ってはいるのだが放置しているとの噂もあるが。


 私は次々と飛んでくるかまいたちを避けていく。

 時間が経つに連れて飛んでくるかまいたちも工夫がされていってどんどん避けずらくなっている。

 この少女はそこまで戦闘経験がないことはこれを見れば明白だが、飛んでくるかまいたちの威力は看過できないほどの威力だ。

 これほどの若さでこれだけの魔法を使えるということはかなり有望な少女だ。


 だが、かまいたちは大したものだが他のスキルはここまで育っていないだろう。

 これだけスキルを上げるのにはかなりの時間が必要になる。

 そうなれば必然的に他の手札は大したことないことになるはずだ。


「鬱陶しい、トカゲ風情が!」


 少女が今までとは比べ物にならないほどの数のかまいたちを飛ばして来た。

 私は冷静にそれを見て魔法を発動させる。


水守みなもり!」


 私は避けることも出来ないほどに飛んできたかまいたちを水の防御魔法で防ぐ。

 なかなかの威力だが私の防御魔法を破るほどではない。


 そろそろ、この少女も手詰まりになっただろう。

 あの少年が出てくるかな、私がそう思った瞬間体が浮いていた。


「な、これは」


 体が宙に浮いている?

 私は咄嗟に体を動かして地面に降りようとするが、何かに掴まれているかの様に体は動かせるが地面に降りることはできない。

 浮遊レビテーションか何かの魔法?

 いや、しかし、浮遊レビテーションにここまでの拘束力はないはずだ。

 こんな魔法聞いたこともないぞ。

 私は必死にもがくが空中に浮いたままだ。

 こんなところを狙われたら避けようがない。

 私は少女の方を見ると少女がかまいたちを撃とうとしている所だった。

 おそらくは今度は時間を掛けてでも防御魔法でも防げないほどの強力なかまいたちを撃ってくるだろう。


「トドメです!」


 少女は私の予測通りにかなり強力なかまいたちを撃ってきた。

 さすがにまずいあれは防げない。


 私は覚悟を決め固有スキルを使うことにした。


水鎌すいれん!」


 空中に水の大鎌が生成され、かまいたちを迎え撃つように飛んでいく。

 水の大鎌は容易くかまいたちを消し散らすと少女の方に向かっていく。


 や、やっちゃった。

 私は今の攻撃を後悔していた。

 つい手加減できなくて固有スキルをいつもの威力で使ってしまったのだ。

 少女は獣人とはいえ術者タイプのようだから避けられず、このままでは死ぬだろう。

 そうなると同行者である少年とは絶対友達にはなれないだろう。

 水鎌すいれんは強力な固有スキルで私も完全には使いこなせていない。

 手加減が出来なく、一度放った攻撃の修正すらも出来ない。


 ああ、私の友達よ。さようなら。


 私は私の仕出かしたことだから最後まで見ようと少女を見つめていると。


「ちっ」


 少女は舌打ちをすると余裕を持って水鎌すいれんをかわした。


 私はそれを呆然と見送った。

 

 え……咄嗟に撃ったとはいえ私の固有スキルの攻撃ですよ。

 威力も速さも十分ある攻撃を簡単にかわすとは。

 しかも、舌打ちするとは……。

 少しイラっとした。

 私が心配して上げたというのになんですか!

 その態度は!


 私は少女の集中力が切れたのかそれとも攻撃を避けるために解除したのか、自由となり着地しつつ一言。


「いやあ、危なかったね。なかなか怖い攻撃をしてくるもんだね」


 私は無意識の内にそう言って笑っていた。


 ああああああああああああああああああ


 何をしているんですか、私!

 まだ年幼い少女にイラっと来て大人げない発言をするなんて。

 というかこのままだと私も本気で戦わないと危なさそうなんですけど。

 おそらく、少年の方も同時に相手をすると負ける自信がある。

 この少女がこれだけ強いのなら少年の方も思っていた以上にかなり強いのだろう。

 この状況は非常にまずいのでは。

 私はこの状況に焦りつつどうしよう、どうしようとパニックになる。


 内面はあれだが対外的に見れば泰然としていて不敵に笑っているのだが……。


 私がどうしようと考えていると少女が物凄い勢いでこちらに向かって突っ込んで来た。

 しかも、少女は気を纏っている。

 まさか、気まで使えこなせるのか。

 私はどうにかしようとカットラスを構え迎え撃とうとして――。


烈火砲れっかほう!」


 少女は飛んできた攻撃魔法により撃沈され、きりもみ飛行しつつ水中へと墜落していった。


「…………」


 どうすればいいの? この状況。


現在のカタログポイントは496324となっています。


すいません、話が長くなって時間に間に合いませんでした。

それにエリアさん(リザードマン)が多少暴走気味で口調がおかしいのをどうしようと悩んでいるうちにry


結局そのままGOにしましたけどね!


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