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カタログを持って異世界に行こう!  作者: 天野 洋
一章 アザレスの森編
5/68

制限解除

「ふふふ、わが軍は優秀じゃないか、連戦連勝だよ!」


 俺はコンの頭をパタパタと叩きながら機嫌よさげに言う。

 コンは頭をはたくな噛むぞというような顔をしているかどうか分からないがあまり機嫌が良さそうじゃない(キツネだから良く分かんないんだけど)。

 ちなみに今回の戦果は最初のゴブリン3匹にゴブリン3匹の集団を2回、ゴブリン2匹の集団を1回倒した。

 それも無傷でだ。

 それにレベル4から6へと上がった。

 そのおかげもあり体がよく動くようになりゴブリンとの1対1なら絶対に負けることはないと思う

 まあ、元々1対1で楽勝のはずの相手なんだがな

 それとポイントもけっこう入ったゴブリンを合計で11匹狩り110ポイント

 それに物納で110ポイント

 だから現在のポイントは254ポイントだ

 え?

 少ないって?

 無理言うなよ

 これでも頑張った方なんだぞ

 取り敢えずこのポイントを使ってコンに掛けられた制限を解くことにしよう

 武器を買おうと思ったけど200ポイント程度じゃそこそこの武器しか買えないみたいだったからこの際制限解除でいいかということとなったのだ。


「それじゃあポイントを使ってコンの制限を解除してくれ、解除するのは助言と自由発言でお願い」


「はい、分かりました。解除が完了しました」


 コンはそう言うとごろんと転がった。

 ごろごろ転がってお腹を見せてくる。

 これって何?

 これはあれか

 服従か服従のポーズなのか

 家の猫もよくやってたなあ

 可愛いから別にいいんだけど

 俺はコンの姿を見て和みつつお腹を撫でることにした。


「すまなかった。ほんとうに済まなかった。制限が付いていてまともな助言もできずに」


「いやいや、別にいいよ。死んでなかったらなんとかなるものだしね」


「しかし、さすがに転移魔法の件で100万ポイントも使ってしまうとは」


「ああ、あれね。不幸な事故だったなあれって俺が魔法使えないのに転移魔法って言ってしまったのが問題だったんだよね」


「あれはほんとうに済まなかった。助言できない私にはどうしようもなかったんだ。それにあの時魔法ではなく魔術を勧められることができればあんなにポイントを消費しなかったのに」


「魔術? 魔法じゃなくて魔術もあるの?」


「はい、魔法は体内の魔力を使い発動させる術のことで、魔術は体外、例えば空気中にあるような魔力を使って発動させる術のことです」


「へぇ、それじゃ俺は魔法は発動させることができないけど魔術は可能なのか!」


 魔術が使えると分かって俺は喜んでいるが

 その反対にコンの表情は暗い(タブン)


「そうなんですけど、残念ながら魔術は体外の魔力を扱うため体外の魔力を干渉するための物が必要なんですワンドっていうんですけど」


「おおお、いかにも魔法使いっぽいじゃなくて、魔術師っぽいじゃないか」


「ですがこのワンド高いんですよ」


「マジで?」


「マジです。大体粗悪品が1万ポイント普通のものが10万ポイント、高級品は50万ポイントします」


「たけえよ! 今の俺の残高じゃ無理じゃん」


「そうですね、ですが心配しないでください。ポイントのない人たちのためにある商品たちがあるんです」


「とある商品?」


「それは訳有り品です」


「訳有り品か」


 つまりは性能上アレだったものとか、量産しちゃったけど欠陥が有った製品とかか

 確かにそれなら俺でも買えそうだな


「まあ、訳有り品もピンキリですが時々名のある鍛冶師や職人や研究者が作った作品でミスったものが売られるのですが、それは性能の割にはかなり安く売られるのでそれをかうことをお勧めします。まあ、その手の物は人気なので売り出されたらすぐに買われちゃうのですが」


「おお、つまりその性能の良い訳有り品を買うために常にいくらかのポイントを残しておいて売りに出されたらすぐに買うって方針で行くってことだな」


「そうですね理想では常に最低でも5万ポイントは今は無理ですから、5千ポイントは確保して欲しいですね」


 どうやら結局ポイントが足らないということらしい

 頑張って魔物を狩らないとな!


「それともう一つオススメがあるんですがそれの説明もいいですか?」


「ああ、いいよ」


「もう一つのお勧めの商品は気の扱い方が書かれた本です」


「気? 気ってあのマンガとかアニメやエロゲーによく出てくるアレ?」


「そうです。異世界というか全世界において強いのは魔法と気を扱う気闘術なんです」


「なるほど俺は魔法が使えないからせめて気を扱えるようになった方が良いと、それに魔術じゃだめなのか? 同じような気がするけど」


「いえ、魔術は周囲に魔力がなければまったく使えないのですが魔法は自分の中にある魔力を使って発動するのでそういうことは起こらないのです。まあ、周囲に魔力がなくともワンドに魔力を蓄えて置いておけば魔術が使えることは使えますが蓄えておける魔力は完全にワンドによりますからね」


「そういうことか魔術は使い勝手悪いんだな」


「そうですね、主に魔術を使われる方は大斗のように魔力がない人や魔力が少ない人ですから、まあ、周囲の魔力が多い場所ではその立場が逆転することもありますが普通はないですね」


「う~ん、色々めんどくさいことは分かった。それで気を操る気闘術だっけ、それは俺にも普通に使えるんだよな?」


「はい、普通に使えます。気闘術は生きている物なら必ず持つ生命力を操る技術ですから」


「それなら問題はないな、それでその本はいくらくらいなんだ?」


「ベストセラーですからかなりお安くなっていまして500ポイントですね」


「高くはないけど今の俺にとっては安くもないな、なあ、コンが気の使い方とか教えてくれたりしないのか?」


「残念ながら私も気が強いってことは知っていますが使い方までは知りません」


「そっかあ、ほんとポイントが少なすぎてままならないなあ」


「申し訳ありません、あの時私が無駄遣いしなければ」


 コンがそう言いながらごろんと転がりながらお腹を見せてくる。

 やっぱそれはあれなのか

 人間で言う土下座がそれなのか?

 コンが土下座?をしても伏せにしか見えないのは事実だろうが

 まあ、どっちをしても可愛いと思うんだけど


「良いって気にしないでよ、超安全な拠点ができたことはかなり大きいから」


「ですが……」


「もうそのことは気にしなくて良いって、俺が気にしなくて良いって言ってるんだから気にするなよ。ポイントなんて毎日こつこつ貯めていけばいつか100万ポイントぐらいになるだろうし、俺のレベルが上がったらもっと効率の良い狩りができるからすぐだって」


 俺が気にするなと言いつつコンのお腹を撫でまわし、ついでに尻尾に触る。

 ガブッ

 

 どさくさに紛れて尻尾触ろうとしたけどやっぱ噛むんですね

 甘噛みだからあんま痛くないんですけどね

 十分ガブガブ俺の手を噛んだ後、コンは姿勢を正して


「分かりました、大斗がそう言うならこの話を蒸し返すのは止めます」


「ああ、それでいい。これからもよろしくな、コン」


「はい」


「それと不思議に思っていたんだがコンて大体丁寧語でしゃべっているけど何か時々キャラがぶれるよね」


「ああ、それですか。制限解除をしたのですがどうも制限が有った時の名残と言いますか、つい丁寧語でしゃべってしまうんです。それでも解除の影響か感情が高ぶると素が時々出ているみたいなんです」


 なるほどね

 最初の頃冗談言ってた時は素だったのか

 途中から冗談とかあまり言わなくなってきていたけど

 それはまあ、いいとして



「それで相談なんだがコン」


「なんですか?」


「尻尾をもっともふもふさせてくれないか?」


「獣と言えば耳派が多いが断然俺は尻尾派なんだ! だというのに家の猫は尻尾を触るのを嫌がって噛んで来てネコキックを連打してくるんだ。時々マジ噛みもしてくるからおちおち感触を楽しみながらもふもふすることもままならないことが多かったんだ。だから尻尾を触らせてくれええええええええええ」


 俺はコンに飛びかかり尻尾をもふもふしようとするが

 さすが獣

するりと避けて俺の後ろに回った。

 おのれ、やりよるな

 俺はすぐにコンの方に向き直るがコンが(おそらく)じと目で睨んで来ている。


「人の尻尾を触りたいだなんて変態なんですか? 変態なんですね? いっぺん死んでみますか?」


「違うんだ俺は変態なんかじゃないんだ、ただそこに尻尾があるからそれに触りたいんだ!」


「それを世間では変態というのですよ」


「えええい、大人しく尻尾を触らせろ! こっちに来てから尻尾分が足りてないんだ。もふもふしなければ俺のモチベーションが下がってしまうではないか」


 俺がもふもふを求めてコンに襲いかかるが

 素早くかわされてしまう

 ステータスが上がって俺の元の身体能力より上がっているというのこの体たらく

 くそう、かくなるうえは


「持久力で勝負じゃあああああああ」


「まったくとんだ変態さんですね」


 俺とコンとの追いかけっこは俺が腹へって死ぬ死ぬ~というまで続けられた。

 やっぱ獣言えば尻尾でしょ!


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