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カタログを持って異世界に行こう!  作者: 天野 洋
三章 ダンジョン放浪編
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半魚人の洞窟 8

「コンもうすぐリザードマンの居る場所に着くか?」


「ええ、もうすぐこの道を抜けた開けた所にいるようです」


 俺とコンは冒険者であるリザードマンに会いに近づいていた。

 もうすぐ生リザードマンに会えるのだ!

 俺は期待を膨らませつつ進んでいく。


 開けた所に出ると……そこには。


 誰もいなかった。


 周りをもう一度見回して見るがそこには何もいない。


「あれ? おかしいなここにリザードマンが居るんじゃなかったっけ?」


 確かに道は一本道で周りは水に囲まれているから隠れられそうなところなんてないんだが。

 俺が不思議そうに首を傾げていると。


「大斗どうやらリザードマンは水中に居るようです」


「水中?」


 そういえばリザードマンって水辺に住んでいるから水中とかにも潜れるのか。

 まあ、リザードマンが出てくる作品によっては砂漠に住んでいるタイプも居るってのも見たことあるけど。

 

 そんなことを考えていると水音がした。

 音のした方向を見てみると半魚人たちが水中から上がってきていた。


 おいおい、リザードマンじゃないのかよ。

 俺はため息を吐きつつ蛍丸を抜き放ち構える。


 早くリザードマンに会いたいし早めに片付けますか。


 俺は素早く手前にいる半魚人に近寄り首を切り落とす。

 仲間の半魚人が切られてようやく残りの半魚人も動き出し、持っていた槍を俺に向かって突きだしてくる。

 その時には俺はもう一体の半魚人の首を切り飛ばしていた。

 俺は突きだされてくる槍を避け半魚人を袈裟切りにする。

 最後の1体となった所で気配察知スキルが後ろから俺に向かってくる物が感じられた。

 俺はそれをしゃがんで避け飛んできた方向に素早く飛びさっきの何かを飛ばしたであろうカエル型の魔物を切り殺す。


 向き直ってみるとカエル型の魔物が放った粘着液が半魚人に当たったみたいで、どうにか逃れようともがいていた。


焔切ほむらぎり!」


 蛍丸が炎に包まれ半魚人を粘着液ごと両断した。


 このカエルの粘着液は普通に切ったら蛍丸に引っ付いてかなり邪魔だったので焼き切ることにしているのだ。




 俺は終わったとばかり蛍丸を納刀し先程水中から上がってきたリザードマンに声を掛ける。


「初めましてリザードマンさん、俺の名は大斗、こっちの子は相棒のコンだ。ここにはレベル上げに来ていて、リザードマンさんを察知スキルの範囲に捕えたんで挨拶に来たんです」


 俺は『生リザードマン来たああああああああああ』と叫ぶのを必死に我慢しつつ、冷静にリザードマンを観察する。

 リザードマンの鱗はよく小説なんかで見る様な緑色の鱗だとばかり思っていたのだが、鱗の色は赤色だった。

 赤色ということは火トカゲみたいなタイプかと思ったのだが、さっきは水中に潜っていた事から水中戦もできるのだろう。

 見るからに高そうな胸当てに腰には二本のカットラスそして長い尻尾!

 尻尾が短かったらどうしようとか思っていたけど尻尾が長くて安心した。

 尻尾が長くないと全身でスリスリできないからな。

 そして、問題なのは鱗だな。

 もしも、スリスリしようとしたところを鱗が突き刺さるのなら問題と言わざるを得ない。

 できることならざらざらではなく、スベスベを所望する。

 俺は鷹の目スキルを使い(今初めて使った)鱗の表面がトゲトゲしていないか目を皿のようにして注意深く鱗の表面を観察する。

 ふむ、鷹の目を使って見る限り鱗の表面は綺麗だな。

 これなら俺がペロペロしても何の問題もないだろう。

 舐めたら舌が血だらけになりましたとか洒落にならないからな、俺はそう思いつつ観察を終えたので鷹の目を解除する。


 俺がこれほど観察している間リザードマンの方も俺たち二人を観察しているようだった。

 俺は一通りリザードマンを観察し終えたのだが、リザードマンの方はまだ観察を終えていないみたいで俺らの事をじろじろと見ていた。


 気まずいな……一応フランクに話しかけてみたんだけど。

 相手側の反応が無いとね。

 俺は仕方なくリザードマンの観察が終わるまで待つことにした。


 それから数分程してようやく観察を終えたのかリザードマンがこちらに歩み寄って来た。

 一応俺も納刀してはいるが警戒は怠っていない。

 リザードマンは俺たちの10メートル手前ほどで止まりやっと話しかけて来た。


「すまない、君たちを囮として他の冒険者が襲ってくるのを警戒していたんだ、君の実力は半魚人たちを苦も無く倒したことから相当な使い手と見ていたのでさすがに警戒せざるを得なかったのでね」


 なるほど、そういう取り方も出来るか。

 まあ、こんな人がほとんど来ない様なダンジョンにいるやつだからまともな奴じゃないと見るのは確かだろうが。

 でも、このリザードマンがそういうことを考慮に入れているということはダンジョンでは日常的に行われていることなのだろう。

 ダンジョンってか人が怖いな、おい。


「いえ、俺たちもこんな人がほとんど来ない様なダンジョンに居るんですから警戒するのは当然ですしね」


 俺もよく分からないがそれが当然だと言う風に返す。


「しかし、君たちはこんなダンジョンに何で居るのかい? ここはあまり旨みが無い様なダンジョンだって話は聞いたことが無くてもここに来れば分かると思うが」


「いえ、魚が食べたくて港町カイーグに来て、この近くにもダンジョンがあるという話を聞いたんで興味本位で来ただけですね」


「ほぅ」


 リザードマンの視線が一瞬鋭くなったような気がする。

 俺何かまずいこと言ったか?

 しかし、特にまずいことは言ってないはずなので話を続ける。


「リザードマンさんの方こそ何でこんな所に? 装備とかを見る限りかなりの使い手と思いますが」


 俺は装備が良いとか一切分からないが、相手のレベルを調べることが出来ると言う情報を出さない方が良いだろうと判断し適当に言う。


「ああ、私はギルドからここのダンジョンの掃除を頼まれていてね、しかし、情報の通りだとここは大量の魔物が居るはずなんだけど君たちは何か知らないかい?」


 リザードマンはおそらく笑顔なのだろう、笑いながらこちらに聞いてきているが、口から尖った牙が見え隠れして子供ならトラウマ物のような笑顔だ。

さすがにこれは本人の前では言ってはいけないだろう。

 というかこのリザードマンは男性なのだろうかそれとも女性?

 胸の部分は胸当てで覆われていて分からないし、あそこの部分も布が巻かれていて判別は不可能だ。


 いやいやいや、そんなことを考えている場合じゃないだろう。

 大量の魔物って……俺たちが来た時はけっこうな数の魔物が居たからな。

 しかも、俺たちが魔物倒しまくって数が減ってしまっている。

 大量の魔物たちをどうしたのかと聞かれて俺たちが倒しましたと正直に答えたら絶対厄介事になるし、ここは素っ惚けるのが吉だろう。


「そうですか? 俺たちが来た時にはこんな感じでしたけど」


「そうか、ならこのダンジョンで他の者に会わなかったか? そういう奴がそいつの仕業かもしれないからな」


 ふむ、あまり突っ込んで来ないようだな。

 ただ単に聞いてみただけみたいな感じで話しかけてきている。

 ここでそういう奴に会ったと話をしてそいつのせいにするのもアリだが、 突っ込まれたら困るのはこちらなので無難に知らないと答えておこう。


「さぁ、知りませんね。察知スキルの範囲内にはそういう反応はありませんでしたし、このダンジョンで会ったのはリザードマンさんが初めてですね」


「そうだったか、それなら良いよ。ところで冒険者カードを見せてくれないかい? 勿論私の方も見せるよ、先程の腕前から最低でもAランク以上だとは思うが」


 そう言ってリザードマンは腰に下げた袋から冒険者カードを取り出していた。


 来るとは思っていたけどこれは見せるしかないよね。

 俺はため息を吐きつつ同様に腰の袋から冒険者カードを取り出しリザードマンと互いに冒険者カードを交換した。


現在のカタログポイントは496324となっています。


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