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カタログを持って異世界に行こう!  作者: 天野 洋
三章 ダンジョン放浪編
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半魚人の洞窟 4

「さてさて、けっこう倒したしかなりポイントが貯まってきたよな!」


 この半魚人の洞窟に潜り始めてすでに2日が過ぎている。

 あの水面に囲まれた道の様な場所は他にもいくつかありその場所は例外なく大量の魔物が襲ってきて超美味しかったです。

 はっきり言ってここのダンジョン召喚トラップとか使う必要とかないくらい魔物が多かった。

 むしろ黒猫の庭みたいに無駄に広くて魔物との遭遇率が低いとこで召喚トラップで頑張るよりも、ここのような狭くて魔物の数が多くて、魔物の密度が高い所の方が美味しい気がする。

 さすがに2日目の後半となるとコンの索敵で魔物の多い場所を優先的に狩り場としていたせいで、その魔物の数も密度も大したことないことになってしまったが。


 ダンジョンのことは良いとしてそれよりもだ。


 俺は嬉しそうにカタログのポイント残高を覗きこむ。


 現在のポイント残高は894328ポイント。

 めちゃくちゃ貯まっている。

 これだけあれば欲しかったマイホームを買っても、十分余裕があって他にもスキルとかも買えるだろう。

 やべえわ、ついにうちも文明開化だわ!!!

 え? 言葉の使いどころがおかしいって?

 そんなもんニュアンスで分かるだろ!


 俺はテンションが上がり過ぎて我慢できずにコンに抱きつく。


「コン! ついにうちも文明開化だよ! 地デジ化だよ! 大正デモクラシーだよ! 風呂にも入れず我慢して濡れタオルで体を拭いていた生活からおさらばだよ!」


 最初は風呂が無くて水行だったのだが、さすがに我慢できずに今はお湯を出す魔道具を買ってそのお湯でタオルを濡らしてお風呂の代わりにしていたのだ。

 主人公が意味不明なことを言っていることについてはスルーしてください。


 これで色々不便だったことが一気に解消するな。

 異世界に来て俺ほど文明的に暮らしている奴は居ないだろうというくらいの生活をこれからは過ごしてやろう。

 俺はこれからの生活を妄想してふふふと不気味に笑う。


 そういえばノリで抱きついたとはいえ、そろそろコンに殴られるか『狐火』で燃やされると思っていたのだが一向に俺への攻撃がない。

 不審に思いコンの顔をそっと覗き込んで見るとなぜかコンは気まずそうに顔を横にずらしていただけだった。

 普段なら怒るとか何らかのアクションを起こすはずなのだが……これはどういうことだ?


 俺はコンがなぜ黙ったままなのか分からず、首を傾げる。


 まあ、黙って反応がないということはあれだなこのまま悪戯続行と言うことだな。

 コンも一応性別は男だが今の外見は可愛い狐耳の美少女だしな。


 俺はニヤニヤと笑いながらコンの狐耳にあむっと噛みつく。


「ひゃぁっ!」


 なんかコンが女の子らしい可愛い声を上げている。

 コンは狐耳を噛みつかれたのにも関わらず俺から逃げようとしない。

 どうやらあまりのことに混乱していて何をどうしていいのか分からなくて動けないのだろう。

 俺はさらに悪ノリしてさらにコンの狐耳をはむはむする。


「ううう……」


 コンが顔を真っ赤にして俯いている。


 俺はそれを見てコンは可愛いなあと和んでいたら、急に威圧感を感じた。

 その方向を見てみるとコンが物凄い力で握りこぶしを作っている、それに気の力を感じる。

 もしかして、コンさんも気闘術を習得していらっしゃるんですか?

 俺がそう思った瞬間には俺は5メートルほど上空に殴り飛ばされていた。


「やべっ」


 今のシックスセンススキルと気配察知スキルで前兆と来る方向が分かってなかったら、気のガードが間に合わなくて腕が砕けてたんですけど……。


 あれだな。

 悪ノリが過ぎましたね。

 後悔してももはや遅い、コンはどうやら本気で俺を潰そうとしているみたいだ。


 俺は着地しつつ冷静に思考加速と全身に気を纏い、いつ攻撃が来ても良い様に準備する。


「うわああああああ!」


 コンさんはどうやらバーサクモードみたいだ。

 全身を俺の数倍の量の気を纏いこちらへと突っ込んでくる。


 え~。

 ちょっとちょっと、これはヤバいんじゃないっすか。

 だって気の量が俺の数倍とかしゃれにならないんですけど。


 俺はそんなことを考えながらコンの拳や蹴りをギリギリの所で回避していく。


 どうも身体能力自体に関しては俺の方に分があるが、気に関してはちょっと次元が違いすぎる。

 一発でも当たったら重傷コース、悪ければ死亡コースだ。

 幸いな事に暴走状態で攻撃が見切りやすいという所が俺の命を繋いでいると言ってもいいだろう。


 これどうやって収拾つけるんだ?

 ケモナー化でも使うか?

 いやいや、事態がさらに悪い方向にしか行かない予感がするから却下だな。


 ここは王道のキスで収拾をつけるという方法で……うん、無理だな。

 そんなことしたら俺は確実に死ぬわ。


 ならばここは他の常套手段で行かせて貰おう。

 俺はすぐに床に置いてあったカタログを手に取りアイテムを購入する。

 すぐに購入が完了し、俺の手には丸い球が握られていた。

 これをコンに当てれば決着が着くだろうが簡単に当てさせてもらえるとは思えない。


 ここは一発当たるの覚悟でこれを当てるしかないだろう。

 俺は覚悟を決め、気を右手に集中させる。


「気闘術 まとい 剛拳!」


 俺の出せる全ての気を手に集中させ拳の威力を跳ね上げる技だ。

 だけど防御に回している気も使っちゃうから、今の状態で攻撃されたら終わりです。


 そして俺の現在使える渾身の一撃はいとも簡単にコンの手によって止められていた。


 おいおい、嘘だろ、一応俺の全力だったんですけど。

 これは無理ゲーだな。

 俺は諦めの色を見せつつ、なんとかコンに隙ができないか見据える。


 コンは俺の右手を引っ張り俺を軽々と持ち上げ地面に叩きつけようとする。


 ちゃ~んす!


 俺はそこで気闘術を発動させる。


「気闘術 はつ 空歩!」


 俺は地面に叩きつけられる寸前でいわゆる空中ジャンプをすることでどうにか、コンの攻撃を免れる。


 コンは俺が地面に叩きつけられないのを不思議に思い、気を抜いた瞬間を狙って左手に持った眠り玉をコンの顔面に投げつける。

 モロに眠り玉を食らったコンはふらふらと数歩後ずさった後どさりと地面に倒れた。


 なんとかなったな。

 あそこで剛拳が止められて殴り返されていたら確実に俺の人生終了だったけど、それをしなかったということはコンも理性があったということなのだろうか。


 まあ、とにかく命があったことだけ喜ぼう。

 

 というかコンっていつの間にあれだけ強くなっていたんだ?

 新たに発現する力ってのは俺がカタログで何かを買わなければならないはずだから、それはない筈……あれ?

 俺コンからコンの新たに発現した力の説明一切聞いてなくね?

 それなら発言してたけど使ってなかったということもありうる。

 あの時は嫌な方向に話が行ってしまったからなあ。

 今度からはちゃんと聞いておかねば……俺の命が無くなりそうだ。

 うん、割とマジで。


 後でそれについて聞くとしてコンにどうやって許して貰おうか俺は重要な案件について悩みだした。


現在のカタログポイントは894328となっています。


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