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カタログを持って異世界に行こう!  作者: 天野 洋
三章 ダンジョン放浪編
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宝箱って大切ですよね?

「さてさて朝がやって参りました!」


 俺はテンション高く、開けた空に向かって叫ぶ。


 今日はこれから二級ダンジョン半漁人の洞窟に行ってレベル上げをする予定だ。

 半漁人ということは残念ながら人魚みたいな下半身が魚の姿ではなく、普通の手足があるけど鱗とかエラがあるタイプの魔物が居るのだろう。

 どちらかと言うと人魚の方がイメージ的にも良いし見ているこっちも良いと思うんだけど……半漁人ねえ。

 半漁人はおっさんに鱗とかエラがあるイメージが……。

 うわ、なんか想像してたらテンション下がって来たわ。


 俺は妄想の中のおっさん顔の半漁人を打ち消し、可愛い人魚を思い浮かべて心を落ち着ける。


「何をしているんですか、大斗?」


 そこに黙っている俺を不審に思ったのかコンが声を掛けてくる。


「ああ、ちょっと半漁人の姿を想像していたらなんかやる気が無くなったんで、人魚さんの妄想をして打ち消していたんだ」


「はぁ、相変わらずですね、大斗は」


 コンはため息をしつつ、先に魔法の絨毯の上に乗る。


「ダンジョンに行きますから早く乗ってください、置いていきますよ」


「は~い」


 俺は元気よくそれに答えるとコンの後ろに座ると静かに魔法の絨毯は浮き出し、ダンジョンの方向に進みだした。




 俺たちは順調にダンジョンへと向かっているのだが、昨日俺たちはイクノアのおばちゃんにダンジョンまでの道を聞いていないのだが、コンは場所が分かっているように魔法の絨毯を飛ばしている。

 どうやってダンジョンの場所を知ったんだ?

 今までコンは自分たちが居る場所や近くの街や村なんかの場所も知っているようにみえたけど、察知スキルなのか?

 というか察知スキルでそういうのも分かるものなのかな?


 俺は疑問に思ってコンに尋ねる。


「そういえば、コン、ダンジョンの場所とか分かるのか? 昨日結局ダンジョンの場所はおばちゃんには教えて貰えなかったけど」


「ああ、それなら簡単ですよ。ダンジョンの名前は半漁人の洞窟と聞いているんですから、察知スキルで半漁人系の魔物が居る場所に向かえば良いのですから」


 なるほど、それなら場所を分かっていなくても無事にダンジョンに行けるだろう。

 ん?

 そんな方法で調べているということはコンはダンジョンの場所を知っているというわけではないのか?

 でも、コンはアザレスの森に居た時もアザレスの森という名前を知っていたし、近くの村の名前も知っていたのに、なんでダンジョンの事は分からないんだ?


 俺が首を傾げているコンはそれに気付いたのか。


「大斗に言ってませんでしたが、私には初期機能として固有スキルのマップと鑑定スキルを持っているんです、そこまで重要でないので言ってませんでしたが」


 重要だよ!!!

 けっこう重要なことですからコンさん!


 マップとかあれでしょう?

 ネトゲーとかによく付いている機能で高性能なものだとトラップ、宝箱、敵の位置まで分かるという超優れモノじゃないですか。

 てか、鑑定って俺が1回取ろうとしたスキルじゃないですか。

 持っているなら言ってくれてもいいじゃない!

 

 俺は興奮する自身を一旦落ちつける。


 今までコンが言わなかったのはおそらく制限のせいであるのだろう。


 神魔商会はほんと意地が悪いな!


 というかお客様は神様って言葉を知らないのか!

 でも、運営はおそらく神様や悪魔様なのだろうから同等と言うことか……いやいや、そんな馬鹿なことを考えている場合じゃない。


 コンにその固有スキルの詳細について聞いておいた方が良いだろう。


「コンその固有スキルについて説明を頼む」


「はい、分かりました。マップはかなり大雑把に現在位置や近くの街や村などが分かるスキルです」


 大雑把って……。

 トラップとか宝箱とか敵の位置まで分かるやつじゃないんですか。

 これはあんま期待できないが一応聞いておこう。


「コン、そのマップってのはトラップとか宝箱とか敵の位置が分かったりしないのか?」


「ええ、まったく分かりません。分かるのはさっき言ったように、街の名前や村の名前程度です、まあ、有名な森や山の名前なんかもわかりますが、マイナーなところだと分かりません」


「使えない……」


 ほんと使えないじゃないかそれ……というかそのマップって大雑把って言ったよな?

 嫌な予感がしつつ、俺はコンに聞いてみる。


「なあ、コンそのマップって山とかの詳しい地形とかダンジョンの入り組んだ通路とか分からないのか?」


「ええ、分かりませんね」


「おいいいいいいいいいいいいいいい」


 それはまずいんじゃなかろうか。

 山とかの詳しい地形が分からないのは魔法の絨毯で飛べば全然問題ないので良いが。

 ダンジョンはまずいだろ、迷路みたいなダンジョンで迷うとか……まあ、ホームに逃げれば問題ないし、最悪完全に迷って出れない場合は転移結晶で逃げれば済むが……。

 

 あれ?

 全然問題なくないか?

 どうせ今から行く半漁人の洞窟もダンジョン内で狩れるだけ狩ってホームに戻るつもりだし、出る時はめんどくさいから街まで転移結晶で行けば。


 おおおおお


 全く問題なかったな。

 心配して損したわ。

 さすがコンだな、これを見越してこの手のスキルを取った方が良いと勧めなかったんだな。

 俺はコンの事を見直しつつ?一応残った疑問を聞くことにする。


「ところでコンはマップで罠とか宝箱とか分からないならどうやって調べていたんだ?

 察知スキルで分かるのか?」


「ええ、察知スキルが高ランクですと罠の場所まで分かりますので、他に察知スキルで分かるのは魔物や人間ですね」


 なるほど、それで罠を感知していたのか。

 それはいいとして宝は?

 ダンジョンと言えば宝物なのに、宝の場所が分からないなんて事はないよね?


 俺は恐る恐るコンに聞く。


「コンさん、もしかして宝箱の場所が分からないなんてことはないよね?」


 コンはそこでにっこりと笑って。

 

「はい、分かりません」


「おいいいいいいいいいいいい、なんでダンジョンで一番大切なものが探索できないんだよ! 何なんだよ、その悪意のある様なスキル構成は! 俺にまるで稼がせたくはないというような、素晴らしいスキル構成ができてるじゃないですか」


 俺はついつい大声でコンに詰め寄る。

 それをコンは押し留め。


「ご安心ください、宝箱の代わりに宝箱に擬態したミミックの居場所は完璧に分かります」


 コンはぐっと親指を突き出し、自信満々に言う。


 それを俺は怒る気力もなかった……。


 俺は魔法の絨毯の上で体育座りをして、ぼーっと下を眺める。

 魔法の絨毯はすでに止まっており、眼下にはぽっかりと空いた洞窟が見える。

 おそらくあそこが目的のダンジョンなのだろう。


 さすがにやり過ぎたと思ったのかコンは慌ててフォローをする。


「だ、大丈夫ですよ。ダンジョンの宝箱から出るアイテムなんてカタログで買えるものと比べたらゴミみたいなものですから! この前の失礼な冒険者たちも言ってたじゃないですか高々1000ポイントのグラディウスが白金貨クラスの武器だって」


 そういえばあの黒猫の庭で会った冒険者がそんなことを言っていたような気もする。

 あの程度の武器がダンジョンで出る相当高い武器なのなら確かにダンジョンで出るアイテムには期待できないだろう。

 そうなると宝箱探しもあまり楽しいものではなくなることは確かだ。

 良いものの出ない宝箱なんて只のゴミ箱だしな。

 

 でも、ダンジョンで開ける宝箱って男のロマンの一つなんだけどな。

 まあ、適当に見つけた宝箱は開ける方針で良いかと納得することにした。


「さて、コン。早速ダンジョンに行こうぜ!」


 俺はそう言うと勢いよく魔法の絨毯から飛び降りる。


「ちょっと、大斗危ないですよ!」


 俺はコンの叫びを聞きつつ、着地しダンジョンへと向かう。


「ほんと変わり身が早すぎますよ」


 コンもすぐに魔法の絨毯を地面に着地させて一言。


「この魔法の絨毯邪魔なんでダンジョンに入るのはそれからにしてください」


 俺はカッコよく決めたのにと思いつつ、しぶしぶコンの元に戻り魔法の絨毯をホームに置いてダンジョンへと入る。


現在のカタログポイントは8012となっています。


投稿間に合わなくてすみません。


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