初戦闘
あれから3日が過ぎた。
56ポイントあったポイントは44ポイントに減っていた。
一応節制していたが1日2食に飲み物の2リットルのペットボトル2本で1日につき4ポイント消費していた。
覚悟は一応決めた。
揺らぐかもしれないがそこはまあ平和な世界の学生だったんだからしょうがないだろう
とりあえず残った44ポイントで武器を買うことんした。
「コン残った44ポイントで武器を買いたいのだが良いのが有るか?」
「さすが44ポイントだと良いのはありませんね、50ポイントならまだあったのですが」
「そうか、なら俺でも使えこなせそうな武器をくれ、そうだなショートソード辺りで」
「分かりました、ただのショートソードで10ポイントになりますね」
そうコンが言った瞬間カタログが光り輝きショートソードが出てきた。
手で持ってみると思った以上に重い。
これが武器か
鞘から抜いてみると細身の刀身が鈍く光っていた。
さて俺は魔物を殺せるのだろうか
まあ、殺すしか生きる道はないんだけどな
幸いなところいつでもやばくなったらホームに戻ればいいだけの話だから大丈夫だろう。
こうして俺は覚悟を決め初の魔物狩りをすることとなった。
俺はベルトの間にショートソードを差し、いつでもショートソードを抜けるよう右手で柄を握っておく。
「さてコン、サーチして俺が狩れそうな魔物がいないか確かめてくれないか」
「分かりました」
そう言ってコンがサーチを始める。
数秒ほどで目を開けて。
「外には魔物がいませんでした。それとサーチで大斗が今の状態でも倒せそうな魔物を発見できました。相手はゴブリンが3体ですね、ゴブリンは単体なら最低ランクの魔物ですが複数になるとランクが上がるので気を付けてくださいね、ちなみにゴブリンがこの森で一番弱い魔物となっています」
「そうか、こいつらを倒せなければいけないのか、しかし1匹とかはいなかったのか?」
「残念ながらゴブリンは複数でいるのが普通ですから3体でも少ない方です」
「それならそいつらを倒すとするか」
「それじゃあ外に出るか」
「はい」
「ホーム!」
俺たちはホームから出て森の中に出た。
久しぶりの外だ。
どこに魔物がいるかわからないから怖いと言えば怖いがコンが魔物がいるかどうかサーチできるからそんな心配もない、いざとなればホームで逃げられるというのがかなり大きいが。
「それじゃゴブリン3体のとこまで案内してくれ、それと時々サーチをかけて他の魔物が近づいてこないか知らせてくれよ。来たら即効でホームで逃げるから」
「分かりました。では獲物の場所まで案内しますね」
俺はとことこ走っていくコンを追いかけ森の中を歩き始めた。
そして10分ほど歩いた所でコンが立ち止った。
俺もすぐに立ち止り周りを見回してみると20メートルくらい先にゴブリンが3体歩いているのが視認できた。
俺は静かにショートソードを抜き放つ。
「それじゃあ奇襲といこう、まず俺が奇襲して1体にとどめを差す。次にコンがいきなり反対側の草むらから現れ注意を引きつけたあともう1体倒す、最後に残った1体は俺が普通に倒すというのが予定だ上手くやってくれよ」
我ながらせこいと思うが人数いるというのを利用しないわけがない
使えるものは使わないとな
コンが回り込んでゴブリンの向こう側に行ったのを確認すると俺は動き出した。
ゆっくりゆっくりとゴブリンに気付かれないように近づいて行く
ゴブリンたちはごぶごぶごぶと謎の言語を使いながら歩いている
こちらに気付いた気配はない
距離でいってあと5メートルといったところまで近づくと俺は一気に茂みの中から出る。
素早くショートソードを構え近くに居たゴブリンの首に向かって振りぬく。
俺が振るったショートソードは勢いよくショートソードでゴブリンの首を切り裂いた。
これだけの出血だ放っておいてもすぐに死ぬだろう。
首筋を切り裂かれたゴブリンは首を押えながら地面に転がり、痛みにもだえ苦しんでいるようだ。
残りの2体はこちらの方を向き武器である棍棒と簡素な槍を構える。
次の瞬間コンがゴブリンの後ろの茂みから現れる。
突然の音に驚いた2体のゴブリンが後ろを振り向く。
俺はその瞬間を見逃さずに厄介そうな槍を持ったゴブリンの首筋に向けてショートソードを振りぬく。
ゴブリンは悲鳴を上げながら最初の一体と同様に首を押えながら無残に転がり始める。
残ったゴブリンは怒りながら棍棒を振り上げつつ俺に突っ込んできた。
俺はじっとゴブリンの動きを観察しつつ棍棒を俺に向けて振り下ろした瞬間、その攻撃を避けるために一歩下がる。
そうすると見事にゴブリンの棍棒は空振る。
俺はその隙を見逃さずに棍棒を持ったゴブリンの手をショートソードで切りつける。
ゴブリンは悲鳴を上げて棍棒を取り落とした。
そして、俺はゴブリンの心臓辺りを突き差しとどめを差す。
ゴブリンはぴくぴくと痙攣した後すぐに動かなくなった。
なんとかやりきったようだ。
だけど、ここで気を抜いてはいけない
俺は首筋を切った残りの2体のゴブリンも死亡したかどうか確認する。
その後俺はすぐ傍にコンがいることを確かめ話しかける。
「コン、サーチでこの辺に敵が来てないか調べてくれ」
「はい、分かりました」
そう言ってコンは耳をピンと立てた後ピクピクと動かす。
その姿に超なごみながら俺も一応ショートソードを構え魔物が来ないか警戒をしておく。
まあ、魔物が来たら逃げるんですけどね。
「どうやら近くに魔物はいないようですから大丈夫ですね」
「そうか」
俺はその言葉を聞くとやっと全身から力を抜いて近くにあった木に寄りかかる。
「あー、マジで緊張したわ、最後の1体はすげえ緊張したわ。さすがに1対1なら確実に勝てる相手って言われても初めての魔物なんだから緊張するなって言われても無理があるよな」
「お疲れ様です、ちなみにゴブリン1体の討伐ポイントは10ポイントになります。さらに遺体を物納すれば10ポイントですが物納しますか?」
「ああ、そうだな。そういえばあれだこの世界は冒険者ギルドとか異世界の定番とかないのか? 指定部位を切り取って持っていったらお金が貰えるとかいうような」
「さあ、どうでしょう。残念ながら冒険者ギルドの知識は有りません、それに私が持っている知識はこの世界の概要程度でその文化などとなってくると全く知りません。現地民に聞いてみるしかないでしょうね」
「そっかー、なら物納お願いするわ」
そう言うとコンはトコトコとゴブリンの死体の近くまで行き『物納!』と言うと光の渦みたいなものが現れて一瞬の間に3つあったゴブリンの死体を呑込んでしまった。
てかゴブリンの死体とか何に使うんだ?
という疑問もあるがあまり聞かない方が良いだろう
アンデッドとして使うとか、素材として使うとかなのだろう
まあ、あまりよいことに使われないだろうということは確かだろう。
物納が済んでコンはトコトコと戻って来た。
「ご苦労さん」
俺はついよく家の猫にしていたようにコンの頭を撫でる。
気安く俺の頭を撫でるな!という視線が飛んでくるかと思ったがコンはされるがままにされて目を細めている。
ますます、家の猫に似ているなと思いコンの後ろにある尻尾を触ると
ガブッ
「いたっ」
コンに手を噛まれてしまった。
まあ、勿論甘噛みなので本当に痛くはないのだが
どうやらコンは家の猫と一緒で尻尾を触られることを嫌がるらしい。
俺は仕方なく体を撫でることで我慢しつつさっきから高速で拍動する心臓を落ち着けることにした。
だいぶ落ち着いた所でさっきゴブリン達を狩っていた時に気付いた異和感についてコンに聞いてみることにした。
さっきゴブリンを狩っているときに急に体が熱くなったのだ。
大体その瞬間はゴブリンにとどめを刺したぐらいの時だ。
ゲーム的に考えればレベルアップではないだろうか
そのことをとりあえずコンに聞いてみる。
「ええ、それはレベルアップですね」
やっぱりレベルアップだったらしい。
やっぱゲームとおんなじで魔物を倒すとレベルが上がるのかな
というかレベルがいくつになったのだ?
そうやって俺は自分のステータスの見方が分からないことに気付いた
最初の時はコンに見せてもらったから自分でのやり方が分からない。
まあ、聞いてみよう。
「なあ、コン。レベルってかステータスってどうやって見るんだ?」
「あれ? 教えてませんでしたっけ」
「うん、教えられてないな」
「そうですか、自分の心の中でステータスと強く思い浮かべてください、そうするとステータスが自分の心の中に浮かび上がってきます」
言われたとおりに俺はステータスと心の中で念じてみる。
そうすると何かが浮かび上がって来た
名前:犂宮 大斗
年齢:18
レベル:4
<固有スキル> なし
<スキル> なし
「お、レベルが1から4に上がってるぞ」
「おめでとうございます」
そういえばレベルが上がるとテンプレ的に強くなるとかそういうのだろうか?
このステータスはネトゲーと違ってSTRとかDEXとか表示されないからな
「なあ、コン。このステータスってレベルが上がると身体能力とか魔力が上がったりとかしないのか?」
「ええ、その通りレベルが上がると身体能力とか魔力が上がりますよ」
「マジか! これで俺も魔法とかが使えるようになるのか? そういえばこの世界、剣と魔法の世界なのに今まで『ホーム』しか魔法使ってなかったしな コン、魔法の使い方とか教えてくれよ」
俺がそう言うとコンは申し訳そうな顔で(キツネだからよく分からんが)
「残念ながら大斗は魔法を使うことができません」
「へ? それってレベルが低いから魔力が足りなくて使えないってこと?」
「いいえ、そういう意味ではなく大斗たち、地球人は元々魔力を持っていないので魔法を使うことができないのです」
「マジ?」
「マジです」
「そっかぁ、でも俺『ホーム』の魔法を使えるよね」
「ええ、あれが特殊なだけで普通の魔法は一切使えません」
「あれってやっぱネトゲにおけるホームとか拠点みたいなものだから特殊な扱いになるんだ」
「それと俺の魔力は上がらないことは分かったけど他のステータス力とか早さが上がったりするんだよね?」
「はい、それどころか魔力が上がらない分他のステータスは普通の者よりも上がります」
「おお、魔力がない分補正が掛かるってことかそれなら納得だな」
「それで質問は以上でよろしいでしょうか? ゴブリンではない魔物が近寄ってきていますので場所を移動した方がよろしいと思います」
「あいあい」
俺は立ち上がって砂を払い、ゴブリンたちの死体が有ったとこまで行き、そこに落ちている武器を一応拾ってホームの中に入れておく。
何かに使えるかも知れないからな。
そうして俺たちはその場を離れ他の場所で人数の少ないゴブリンを探し狩ることにした。
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