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カタログを持って異世界に行こう!  作者: 天野 洋
三章 ダンジョン放浪編
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コングナノス・ティレコルド・ネルバセリン略してコン

 俺とコンはシーサーペントが退治された事が良く分かるように港に死体を置いてきて、魔法の絨毯でそのまま街から少し離れた人気のない森まで移動していた。


 おそらく魚の件についてはああやって退治された事が分かりやすいよう、死体を置いておいて来たから2,3日の間には魚料理が食えるように戻るだろう。


 それはいいとして、コンの力の事についてだ。

 いつの間にあんな力を付けたのか、それとも元々強かったのか聞いておかないといけない。

 もし本当は超強くてそれを隠していたとすると……今度からはコンを呼ぶ時に必ず『さん』を付けないといけないな、いやこの際『様』で呼ばないといけないのか?


 そんな馬鹿なことを考え始める。

 

 なぜここで黒猫みたいな超格上との闘いの時に手伝ってくれなかったのか?と考えないのは大斗の良いところなのか、それともただ忘れているだけなのか……。


「それでコン、シーサーペントを倒した力は何なんだ? 俺あんな力があるなんて知らなかったんですが」


「ええ、先程初めて大斗に見せましたしね、簡単に言うとあれは新たに発現した力です」


 新たに発現ということは元はなかったということだ。

 コンも俺と同様に黒猫の庭で魔物を倒していたからレベルが上がってということだろうか?


「発現ということは今ままでなかったということだよな? ということはレベルが上がってそういうのが使えるようになったということか?」


「いえ、そういうことではありません」


 違うのか?

 他にコンが強くなった要因が分からないのだが。


 おそらくコンならあの黒猫に対して今の力を使わないはずはない。

 あの時あの力を使わなかったということはあの時はまだあの力が使えなかったはずだ。

 ということはあれからシーサーペントまでの間にあの力を手に入れたということになるが……。

 心当たりが全くない。

 黒猫に会ってからたった1日しかないはずだが、特に何もなかったはずだ。

 あの日は1日何のスキルを取るか悩んでスキルを取得したくらいだが……。


 考えても分からない.

 仕方ないここはコンに正直に聞くしかないだろう。


「ならコンはどうやってあれを使えるようになったんだ? 考えても俺は心当たりが無いんだが」


「私には強化機能が付いていまして大斗がカタログでポイントを使えば使うほど私は強くなっていくんです」


 そうだったのか、だから俺がカタログでスキルを買いまくったりしたから急にコンが強くなったというわけか。

 あれ?

 でも、なんかおかしくないか?

 コンが俺がポイントを使えば使うほど強くなることは分かったのだが、俺が最初に『ホーム』の魔法を買った時に100万ポイントも使ったのに戦闘能力があるようには全然思えなかったんだけど。

 俺はその疑問をコンに聞いてみる。


「コン、俺最初に『ホーム』の魔法を買った時に100万ポイントも使ったけど、コンが全然強くなったように見えなかったんだけど」


「ああ、それですか、その時は残念ながら私に制限が付いていましたので、大斗がホームの中で外を知りたいと言った時に、自動的に察知スキルに私の強化の100万ポイント分が注ぎ込まれました」


 おおおおおおおおおおおおおおおい。

 神魔商会何やってんだよ!!!

 ほんっと碌でもないやつらだな!


 しかし、察知スキルか。

 よくよく、考えてみればコンの察知の範囲はおかしいほど広かったからな。

 簡単にアザレスの森全域を超えて周辺の町や村まで探れてたし、ダンジョンでも『冒険者が多いですね』とか言ってたけど、あれダンジョン全域を調べてたんじゃ……。

 もっと注意していればこんなこと簡単に気付いていただろう。

 そもそも、カタログの助言役みたいな存在があんな広範囲の察知スキルを持っている時点で気付くべきだったな。

 

 しかし、100万ポイント分か……。

 超勿体ないことしたな。

 それだけあればコンはかなり強くなっていただろうに。

 

 ない物ねだりをしてもしょうがないとは思うが逃がした魚は大きいというかね。

 残念でたまらないよ。



 

 それは済んだ事だから仕方がないとしてどうしてコンは俺にこの事を言わなかったんだ?

 コンならちゃんと言うはずだと思うが……まさかな。


 俺は嫌な予感がしつつ、コンに問いかける。


「なあ、コン質問なんだが、なんで俺にコンの力の事を言わなかったんだ? もしかして制限が掛っていたとか言わないよな? 制限はもう解除したのだから」


 そういうとコンは俺に微笑み掛けつつ。


「残念ながら大斗の予測通りです。私には大斗に解除できない制限が未だ付いています。ただこの力については特典みたいなものなのでサプライズ的な仕様のため黙っていただけですが」


 俺はそう言うコンを見つめる。

 コンは現在狐の獣人の格好をしているため、キツネの時のコンよりも表情は読みやすい。

 今しゃっべているコンはどこかおかしい気がする。

 どこがおかしいと言われると答えを窮するが、どこかがおかしいと俺の直感が言っている。

 俺はじっとコンを見つめつつ質問を続ける。


「コン、お前嘘は付いていないよな?」


 俺はシックスセンススキルを全力で使いコンの次の発現を注視する。


「ええ、私が嘘を言うわけがないじゃないですか」


 くそっ!

 シックスセンスの反応は嘘を付いている、または本当の事を言っているということは分からなかった。

 つまりは反応なしだ。

 スキルのレベルが低いせいか、それともコンに付いている制限が強力なモノなのか……。


 俺は質問を繰り返す。


「コン、お前の未だ付いている制限は何なんだ!」


「私にはお答えできません」


「神魔商会とは何なんだ!」


「神魔商会とは神と悪魔そして他次元世界のみなさんのための商会です」


「カタログは何のために存在しているんだ!」


「カタログは持ち主の皆さまにより良い生活が送れるよう作られました」


 くそっ!

 全部の質問にシックセンスの反応はない。


 ただこの程度のスキルレベルでは嘘か本当かを判断することは難しい、おそらくスキルレベルが7くらいないと判別は不可能だという気がする。


 これ以上の質問は時間の無駄だろう。

 俺はコンへの質問を止める。

 思考加速を発動させカタログとコンについて考え始める。


 現状ではどうにもできないだろう。

 そもそも、カタログで買えるスキルでどうにかできるのか?

 できるかもしれないがおそらくはスキルレベル7以上のものが求められるのは確かだろう。


 しかしながら俺は魔法を使うことはできない。

 コンの制限をどうにかしようとしてできるとすればおそらく魔法だろう。

 解呪の魔法か何かが必要だろうが、俺に使えるスキルではないことは簡単に予測が付く。


 くそっ!

 本当に打つ手なしだ。


 神魔商会のやつらが付けた制限だ。

 おそらく商売に関する事ではないか?

 それならコンは安全なのでは……だが本当にそうか?


 そもそも、神魔商会とは何なんだ。

 どういう組織なのか。

 神や悪魔他の他次元世界を相手に商売している奴らがまともだとは思わない。


 情報が足りなさすぎる。

 カタログを使って情報を買うことが出来ると思うが、そんな情報はどうでも良いような情報に決まっている。


 結局今の俺ではどうにもならないということが分かっただけだ、俺は働かせていた思考加速を切る。

 



 商会と名のつく組織ならそこまで変な制限を付けているわけではないと期待するしかないだろう。


 現状俺はそこまで強くないし、コンも変な質問をしなければ普通に見える。

 頼りたくはないが今後もカタログを使うことになるだろう。


 俺はカタログに不信感を強めつつも、カタログを使わないといけない状況に嫌気が差しつつ、己の弱さを嘆いた。


現在のカタログポイントは8012となっています。


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