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カタログを持って異世界に行こう!  作者: 天野 洋
三章 ダンジョン放浪編
37/68

シーサーペント

「ふぅんなるほどね、それで魚料理が食べれないのか」


 俺はコンからおっさんに聞いた話を聞いていた。

 シーサーペントは残念ながら魔物のようだからペットにというわけにはいかないみたいだ。

 というか魔物じゃない生物ってあんまいないのか?

 その辺の話は聞いてなかったな。

 でも霊獣とかは魔物とは違う存在らしいし、居るとは思うんだけど……運が悪いのか連れてる人とかも会わないよな。

 

「それでどうします? シーサーペントを倒しに行きますか? シーサーペントはレベルは41ですが今の大斗なら余裕ですよ」


 う~ん、倒してもいいんだけど。

 どうやって海中に居る奴を引きずり出すんだ?

 そこら辺の案があるならやっても良いと思うが。

 まあ、銃をまた新たに買って上空から撃ちまくれば出てきそうなものだが。

 とりあえず、コンに聞いてみよう。


「でもコンどうやってシーサーペントを引きずり出すんだ?」


「それについては私に任せてください。私が海中から引きずり出しますから」


 コンは自信満々にそう言った。


 まあ、大丈夫というのならそれでいいけど。

 どうやってコンは引きずり出すんだ?

 『狐火』って海中でも使えたっけ?

 俺は疑問を抱きつつも魔法の絨毯に乗り海へと向かうことにした。




「凄いな、マジで飛んでいるぜこの絨毯」


 俺はついファンタジーな絨毯に興奮を抑え切れずに、はしゃぎながらコンに声を掛ける。


「そりゃ、カタログで買ったものなんですから飛ぶに決まっているじゃないですか」


 コンは何を言っているのかと呆れつつ返答する。


 いや、そりゃカタログで買ったもので今まで不良品だったものはない。

 そういう意味じゃなくてな。

 男なら一度はファンタジーに憧れるものだ。

 魔法の絨毯に乗るなど理想的なシュチュエーションに興奮して、現在の状況を口に出してさらに実感しているのだ。

 どうやら、それが残念ながらコンにはそのことが分からないようだ。

 男なら絶対興奮すると思うんだが……まあ、女でも同様になるとは思うけど。


 コンにこの事についていくら語っても分かって貰えないのでもう諦めている。


 しかし、この飛んでいる絨毯は凄いのだが今一実感が出来ない。


 この絨毯高性能過ぎて風除け機能が付いているため、空を飛んでいるというのにまったく風が来ないのだ。

 それが残念で堪らない。

 あれだ飛行機に乗っていて凄い速さで周りの景色が過ぎて行くんだけど、今一実感できなくて興奮するのは最初だけみたいな感じだ。

 まあ、飛行機よりも全方位が開けているので臨場感は飛行機とはまるで違うのだが。

 

 やっぱ、あれだ風を切ってこそ魔法の絨毯だろ!


 俺はコンに伝えず、こっそりと魔法の絨毯に念じて風除け機能をOFFにする。


 さあ、風よ来い!


 ゴオオオオオォォォォ……


 その瞬間俺は空を舞った。


 あれ?

 おかしいな、なんで俺が空を舞っているんだ?

 俺は今さっきまで絨毯の上に乗っていたのに。

 俺は回転をしつつ海に向かって落ちて行くのを眺めつつ、思考加速をして俺が飛ばされた理由を考える。

 



 絨毯はけっこうなスピードで飛んでいる

   ↓

 風除け機能を切る

   ↓

 風が直接来る

   ↓

 俺は絨毯の上に座っているだけ

   ↓

 抵抗することも出来ず飛んでいく

   ↓

 空を舞って海に落ちて行こうとしている ←今ここ




 なるほどそういうことだったか。

 考えてみれば当たり前の事だった。

 

 しかし、良くあるアニメでは魔法使いは風除けの魔法もなしに、普通に箒に乗って飛んでいるから錯覚したというわけだ。

 あれだな、ファンタジーの世界だから二次元の知識が常に役立つというわけではないというパターンだろう。

 

 俺は冷静にそんなことを思いつつ海中へとみるみる落ちて行き、海に落ちる直前の所で絨毯に乗ったコンに見事にキャッチされた。




「大斗なんでこんな馬鹿なことをするんですか! 常識で考えれば風に吹き飛ばされて落ちるくらいは考え付くでしょうが!」


 目を吊り上げて怒るコンに俺はとりあえず絨毯の上で土下座していた。


「いやあ、風を切りながら進む絨毯ってカッコイイじゃないか」


「カッコイイじゃありません! もし、落ち方が悪くて首の骨でも折れたらどうするんですか!」


「いえいえ、コンさんこの手の時のために取ったシックスセンススキルに反応がなかったということは、あまり危険ではなかったということじゃ……それに俺はちゃんと泳げますし」


「そういうことじゃありません! 本当に心配したんですから!」


 コンは目尻に涙を貯めつつ叫ぶ。


「こういう無茶なことをする時はちゃんと私に言ってからしてください! いいですね!」


「は、はい、分かりました」


 俺はなんとも苦い思いをしながらコンに謝る。


 泣くことなんてないのに……あれくらいじゃ俺は死なないという確信もちゃんとあった。


 勘だけどな……。


 しかし、さすがにコンに女の子の姿で狐耳、尻尾付きで泣かれるとどうしていいのか分からない。

 ケモナーとしては『萌えるううううううううう』とか言うべきだろうが。

 俺は今までこうやって女の子と話す事なんてほとんどなかったから、何をすればいいのか全く分からないのだ。

 こういう時はイケメン風にコンを抱いて『心配させてごめんね』とささやくべきだろうか。

 俺がそんなことを本気で思案し始めて、ふと気付いた。


 てかコンは現在女の子の格好をしているけど男じゃん!

 こんなことをしたら確実に逆効果になるに違いない。

 ここは土下座で許して貰うまで頑張る以外ないだろう。

 俺はそう確信し土下座をして誠心誠意コンに謝ることにした。




 そうして、コンに土下座を続けること約三〇分ようやく、コンも気が済んだのか説教が終わった。


 いやはや、もうちょっと続けば足が痺れてシーサーペントとの戦闘が難しくなったであろう。

 そんなことを口に出したら確実に小言を言われるのでそんなことは勿論言わない。


 コンが言うにはこの下にシーサーペントが居るらしい。


 俺は絨毯から下を覗き込んで見るが下にあるのはただの海だ。

 海中に蛇みたいなでかい生物は見えない。

 おそらくは上からじゃ見えないほど深い所に潜っているのだろう。

 コンはどうやってそれを海中から引きずり出すのだろうか?

 俺はどうやってやるんだ?と声を掛けようとして。


「大斗、やっぱりシーサーペントは私が倒します。先ほどのイライラをどこかにぶつけたいので」


「え?」


 突然の発言に俺は驚いて二の句が継げない。


 コンがシーサーペントを倒せるのか?

 だってシーサーペントはレベル41と俺よりもレベルにおいては格上らしい相手だぞ。

 それをコンが?

 俺が驚いている間コンは目を瞑り何かをし始めた。


「空間把握完了 敵捕捉完了 これより海蛇を釣り上げます」


 コンがそう言った瞬間巨大な水しぶきが起こり、十メートルはある巨大な海蛇、シーサーペントが空中に浮いていた。


 何が起こったんだ?

 俺は状況が分からず、ただ空中に浮いているシーサーペントを見つめる。


 シーサーペントは体をうねらせどうにか逃れようとしているのだろうが、何かに捕まっているのかうねうね動いているだけで空中に留まったままだ。


「さてと海蛇を駆除しましょうか」


「かまいたち!」


コンがそう言った瞬間に何かがコンの方から放たれてシーサーペントを切り刻んでいく。


 一瞬にしてシーサーペントは体を切り刻まれ、すぐに動かなくなった。


「レベル41ですからもう少し歯応えがあると思いましたけど、大したことないですね」


「…………」


 俺はあまりの状況に何も言えなかった。


 コンさん。

 あなたいつの間にこんな技を習得したんですか。

 というか元々これだけ強かったんですか?

 と色々言いたい事があったが、とりあえず俺とコンは港にシーサーペントを倒した事が分かるように、死体を積んで逃げることにした。


現在のカタログポイントは8012となっています。


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