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カタログを持って異世界に行こう!  作者: 天野 洋
三章 ダンジョン放浪編
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新スキル買いませんか?

「はあ、さてどうするか、コン」


 俺は地面に転がったまま起き上がる気力もなく、コンをお腹の上に乗せたまま話しかける。


「さすがにあれの相手は止めた方が良いでしょう、今の私たちが勝てる様な相手ではないでしょう」


 コンの言う通りあの黒猫は異常だった。

 なぜなら俺のケモナー心が動かなかったのだ。

 普通なら俺のケモナーとしての食指が動いたはずだが、あれはそれよりも恐怖が先に来た。

 いくらケモナーだって野生のお腹がすいたライオンを前にして『おお、可愛い猫だ!』と言って抱きつける奴は少ないだろう。

 というかあれはライオンとかの比じゃなかったが。

 俺も、もうちょっと強くなれば『おお、かわゆい猫だ!』と抱きつくこともできただろうが……早く、そのレベルになってあの猫に抱きつけるようになりたいものだ。


 だって二股の猫だぜ!

 二股!

 二股って言えば日本で超有名な猫又ですよ。

 あの猫が百年生きれば尻尾が増えるって言う。

 俺も元の世界でうちの猫の尻尾を触って2本になれ、2本に成れと念じながら触ってよく猫に手を齧られたものですよ。

 俺が尻尾フェチになった原点とも言っていいだろう。


 おっとつい妄想してしまったぜ、話に戻ろう。


「そうだよね、カタログを使って火力によるごり押しで倒せないことはないと思うけど、割に合わない気がするな」


 核とか撃ちこめば余裕であの猫なら倒せるだろう。

 まあ、核は言い過ぎだけど、あの猫の討伐と物納のポイントでは見合わないことは確かだろう。


「ふう、良かったです。まさか大斗があの猫と戦おうとするんじゃないかと戦々恐々でしたよ」


「ははは、少しは戦いたいって思いはあるけど、さすがにアレ相手は止めておくよ」


「さすがに大斗も勝てない敵と戦うほど馬鹿じゃありませんよね」


「しかし、それにしてもなんであんな魔物が出て来たんだ? あそこまで強い魔物があのダンジョンに居るはずがないと思うんだけど」


「それについてですが、私が察知スキルでダンジョン全域を調べた時はあんなものはどこにもいませんでした。おそらくは突如あの場所に現れたものと思います」


「突如あそこに現れたねえ」


 なぜあの猫があそこに現れたのか理由が分からない。

 あんな強い魔物が出てくるなんてギルドマスターに聞いてないし。


 でもダンジョン系のゲームではいくつかそのダンジョンでは不釣り合いな魔物が出てきたりとかすることがあるんだよな。

 確かあれは同じ階に留まって延々とレベル上げしているとペナルティとして超強い敵が出てくるんだったよな。

 それはゲームの難易度を上げるための設定であって、この世界ではそんなものが必要なわけはない。

 そもそも、ダンジョンにずっと留まって、あんなのが現れるのなら普通にギルドマスターから教えてもらえたはずだしな。


 う~ん、考えてもあの敵が現れた理由が分からん。

 でも、案外ダンジョンが間違えて強い魔物を生み出しただけだったりしてな。

 しかし、ダンジョンっていうもの自体よく分かっていないのだから、原因が分かるわけないから考えても無駄な気もするな。

 俺は考えるのを止めることにした。


 それにあいつに会えたことも無駄ではないだろう。

 おかげで強い魔物のスキルというのが分かった。

 これを参考にしてスキルを取得すれば強くなることは間違いないだろう。


「コン、あの黒猫のスキル構成は覚えているよな、あれを参考にスキルを習得したいと思う、それと他にもオススメがあったら教えてくれ」


「分かりました、あの黒猫については完全に魔法タイプの敵でしたのであまり参考にはならないと思うのですが」


「そうなのか?」


 確かにあれだけの攻撃魔法を放っていたからそうじゃないかとも思ったが、あいつの尻尾簡単にグラディウスを貫いていたんだぞ?

 近接もできるようにしか見えないんだが。

 まあ、あのグラディウスは付加された魔法はともかく名剣でもなんでもなかったからな。

 なんでも電撃属性10(付加される値はランダム)を付けようとした結果、大量のランクの低い剣ができてそれを売りに出して、在庫が大量に余っているから安く売ってたから買っただけなんだけどね。

 1000ポイントの剣だったし。

 

 そう考えると魔法系だったのか? あいつ。

 確かに魔法で身体を強化していた線もあるからな。


「取り合えず、あいつが使っていたスキルも含めて使えそうなスキルをピックアップしてくれ」


「分かりました。使えそうなスキルは身体強化、シックスセンス、成長促進、鷹の目、思考加速、気闘術、気力強化、それと倫理的にどうかと思いますが肉体改造、覚醒処理、ナノ化、言いたくないけど獣化などですね」


 なんだと……獣化だと。

 俺自身が獣に成れるというのか……。


 いや、自分をもふもふしてもあんま嬉しくないんだが。

 もふもふはやはり他人にやってこそだろ。

 いやでもそういうプレイも……くっ、悩ましいぜ。

 

 っとそれはいいとしてそれぞれのスキルの説明を聞こう。


「コン、順にスキルの説明をしてくれないか?」


「分かりました、まずは身体強化ですね、これは身体能力を上げるスキルです。次にシックスセンスですが直観がよく働くようになり色々便利になるようです、ですが少し高いですね」


 シックセンスってやっぱ第6感のことかよ。

 なんか胡散臭いけど本当にそうならかなり使えるスキルだろう。


「成長促進はスキルの成長が早くなるスキルですね、勿論高いです、鷹の目は文字通り目が鷹のようによく見えるようになります」


 成長促進って……超使えるスキルじゃないか!

 これを全力で上げれば後になって楽になるだろう。

 鷹の目はまあ、目が良い方が良いよな。

 狙撃用だと思うけど……あんまやりたくないな。


「思考加速はその通り思考を加速させる、相手の対処を考える時などに便利です。そして、気闘術です。これは感覚的に先に気の操り方を覚えて貰わないでこれを先に覚えてしまうと、下地が無い状態で気を動かしてしまって死ぬ危険性があったので習得を勧めませんでした。まあ、ポイントがなかったのも事実ですが。それと気力強化は自分の気の最大量を増やすものですね」


 思考加速か。

 これで初対面の獣人に合ってもいくらでも妄想しまくれる!

 これがあれば思考は一瞬で済むのでバレないだろう。


 気ってけっこう危険だったんだな。

 でも、これって使いこなせるとかなり強くなるらしいから最優先で上げたいな。


「肉体改造は肉体を改造して強くします、はっきり言って人間止めるようなものです。それと覚醒処理ですがこれも人間のリミッターをはずして身体能力の強化とスキルの成長度合いを加速させることができるらしいですが、偶に人が死ぬそうです」


 おいおい、なんか危なそうなスキルだな。

 人間止めるって……どんな反動があるか分からないから止めた方が良いな。

 覚醒処理は確かに凄いと思うんだけど。

 偶に死ぬって駄目だろ!

 危なすぎる。


「ナノ化はナノマシンを体内に打ち込むことで身体能力の強化、回復の促進などが出来ます。肉体改造系はこれがオススメですね、最後に獣化です、その通り人間を止めて獣人になります」


 ナノマシンか。

 これは使えそうだな。

 獣化はいいや、俺は自分じゃなくて他人をもふもふしたいのだからな。


「おや、食いつかないとは珍しいですね」


 コンが獣化に食いつかない俺を不思議そうに見る。

 

「当たり前だ! 自分をもふってどうするんだ、俺は他人をもふりたいんだ! 普通の男も女が好きと思うが、自分が女になっても嬉しくないだろ! もうヤレないんだぜ、いやしかしふたなりなら……」


「はいはい、説明を続けますね他にもありますが残念ながら大斗は魔力を持っていないため、魔力が必要となるスキルを覚える事ができませんので大斗が好きそうな魔眼とかは無理ですね」


「いや俺が獣人になってももふもふできるし、そういうプレイもできるから何も困らないのか? いや、でも獣人になったら自分も同じだから興味を失うという可能性も……俺に限ってそんなことがないとは思うが、俺は同じ人間にはあまり興味ないからな……」


「はぁ……話を聞いてください!」


「お、コンどうかしたのか?」


「今の話聞いてませんでしたからもう一度言いますね。残念ながら大斗は魔力を持っていないため、魔力が必要となるスキルを覚える事ができませんので大斗が好きそうな魔眼とかは無理です」


 マジかよ。

 俺魔力がないから魔眼とか無理なのか……。

 他にも厨二的なスキルとか合ったかもしれないのに、残念だ。


「とにかく、これらの中でどれをどこまで上げるか考えて決めてくださいね」


「分かった」


 俺は強くなるためにどのスキルを取るか思案し始める。


現在のカタログポイントは276712となっています。


次回大斗が獣化……する?


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