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カタログを持って異世界に行こう!  作者: 天野 洋
二章 イスカの街編
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黒猫の庭 1

 俺とコンは入り口から離れ少し奥まで歩いて行き、近くに人が居ないことを確認すると。


「コン索敵をお願い、適当に魔物を倒しつつ、ここのダンジョンの奥まで行ってみよう」


「分かりました……意外に冒険者たちが居るようですね、それに冒険者が多いせいかあまり魔物が居ないような気がします」


「マジか~」


 やっぱり三級ダンジョンということでレベル上げとかに来ている冒険者が多いせいで、魔物の出現より早く冒険者たちが狩っていくという状況なのだろう。

 まあ、最下級のダンジョンだからそこまで期待してなかったけどな。

 取り敢えず、このダンジョンの奥の方まで行ってみよう。

 奥なら敵も強くなって、冒険者の数も少ないはずだと思うから。

 多分ね。


「じゃあさっさとダンジョンの奥の方に行ってみよう。そこなら敵が強くなって冒険者の数も多くないだろ?」


「そうですね、確かに奥の方が魔物の数が多く、冒険者の数が少ないようですね」


「それと他の冒険者が倒した魔物の死体を物納しながら行くとかどうだ? 一石二鳥だろ」


「うわぁ、墓場荒らし、もとい死体泥棒ですか。相変わらず考えることが鬼畜ですね」


「えええ、合理的な考えに基づく思考だと思うんだけど」


「残念ながら私の索敵は死体は分かりませんので、それは不可能ですね」


「そっか~、なら見つけた死体だけ物納していく方向で、後、人が居ないことを確認してね」


「はい、分かりました」


 俺とコンはダンジョンの奥までの冒険者を避けつつ最短ルートを通って行く。




「大斗前方にマッドキャットが7匹居ます」


「よっしゃ特攻で! 援護は任せたぜ、コン!」


 俺はグラディウスを腰から抜き一気に前方にいる黒い猫たちの群れに突撃する。


「ひゃっはー、猫の名を冠する魔物共よ。我が貴様等を地獄に送ってくれるわ!」


 俺が猫たちの前で前口上を言っていると。

 その隙に猫たちは一気に散開し、それぞれ俺に向かって攻撃してくる。

 だが遅い。

 俺はサングラスをくぃっと上にあげるとグラディウスの付加された魔法を発動させる。


「フラッシュ!」


 その瞬間グラディウスから眩い光が解き放たれ、その光により猫たちは動きを止める。

 俺は止まった猫たちを容赦なく、グラディウスで斬り殺していく。


「ガハハッハハ、弱い弱いぞ、猫どもよ!」


 俺が4匹斬り殺した所でやっとマッドキャット達は動き出し、それぞれ襲いかかって来る。

 俺はそれをグラディウスで切り裂き、もう一匹を殴り飛ばし、最後の一匹はコンの狐火によって焼かれた。

 俺は最後に殴り飛ばしたマッドキャットにトドメを差す。



「やっぱこの程度のダンジョンなら余裕だな」


 闘いが終わりマッドキャットの死体から魔石を取り出しつつ、物納をしていく。


「余裕と言いながらあの超卑怯な戦法は何なんですか? 相変わらず鬼畜すぎますよ」


「それは褒め言葉として取っておくよ」


 俺はくいっとサングラスを上げつつ、コンに答える。


「しかし、この魔石を取り出す作業が超めんどくさいよな。大した金にならないから辞めたいんだけど」


「ぐずぐず言ってないでさっさと取り出してください。普通の冒険者は魔石とか魔物の素材を売って暮らしているんですから、それをしないと怪しまれるでしょう。それにこうやって魔物を捌くのを上手くなっておくのも必要でしょう? 強い魔物の使える素材を捌くのを失敗して売り物にならなくなったとかアホらしいでしょう」


「むむむ、それはそうだけど」


 俺は嫌々ながらコンの言うとおりマッドキャットを解体して魔石を取り出していく。

 マッドキャットは魔石を取り出すだけでいいからまだいいが、さっき会ったグレイウルフなんかは毛皮が素材として売れるらしく、コンに言われるままに毛皮を剥ぐ作業をやらされた。

 こうダンジョンって言ったら魔物を倒したらドロップアイテムを落として、後は綺麗に消えるみたいなシステムになっているものとばかり思っていたのだが現実は非情であった。

 まあ、倒した後消えるシステムだと物納が出来なくなるのでそれはそれで困ったと思うが、でも人間は楽な方を選びたいものだからね。

 俺はなんとかマッドキャットから魔石を取り出し終わる。

 残った死体を物納してポイントへと変えていく。

 そして、俺とコンは奥へと進んでいく。




「ところで大斗、一つ気になっていることが有るのですが、いいですか?」


「ああ、なんだ?」


「大斗は生粋のケモナーで変態ということは分かり切っているのですが、猫系の魔物や狼系の魔物を普通というかなぜかテンション上げながら倒しているのはなぜですか? 普通ケモナーなら『猫ちゃんは可愛いから手を出さない!』とか『狼たんだああああああ、くんか、くんか、くんか、うあああああ、ううううああああ』とか叫んで倒せないと思うのですが」


 「コンの中のケモナーが酷いことになっているな、誰がこんなことを教えたんだよ!……どう考えても俺のせいか」


 俺はコンの中のケモナー像のひどさに呆れつつ、コンを撫でながら答える。

 

「魔物ってのは他の生物とは根本的に違う気がするんだ。ただの生き物なら俺もまず分かり合おうとするが魔物は違う、今まで見た魔物のほとんど全ては殺気を向けて襲ってくる。それもほとんど全ての魔物がだ。これはどう考えてもおかしい、少しは逃げるという選択肢を持ってもいいと思うのに奴らはそれをしない。人間を認識したら襲えとそう作られたように」


「大斗は魔物がそうやって作られた様に考えているのですか?」


「ああ、おそらくは神とか悪魔が面白がってこういうシステムを作り上げたんだろう」


「神や悪魔がですか……彼らならやりかねませんね」


「魔物が自然的に発生した生物なら分かりあえるはずだ! そう俺の発している『君をもふもふしても構わないかい?』というオーラを魔物たちはことごとく断って襲ってくる、俺にはそれが我慢ならないんだ!」


「は?」


「だからこそ俺は我慢できず、彼らを殺してしまう、せめての手向けとして彼らと楽しみながら殺し合う。その時の快感と言ったら……もふもふもいいのだがこういう本気でのぶつかり合いというのも乙なもの……はっ」


 コンの方を見るとまるで俺をゴミでも見るかのような目で俺を見つめている。

 まずい、変なことまでしゃべってしまった。

 俺は慌てて訂正をする。


「そ、そうせめてのもの手向けとして本気でぶつかり合って彼らを分かってあげようとしているんだ」


「それにしては戦闘を楽しんでませんでした? フラッシュでネコたちの目を潰したりとか、テンション上げて闘っていたりとか」


「ええ、えっとそれは俺の世界のネコとこの世界のネコは一緒なのかどうか実験をするために仕方なくだよ、仕方なく」


「ええ、分かりました。あなたは最低の鬼畜ということは知っていましたから、ただその評価がさらに下がったというだけですから」


「止めて~、俺をそんな目で見ないで~」


 俺の叫びはこのダンジョンに響き渡った。


 三級ダンジョン黒猫の庭に変態の幽霊が出るらしいという噂が出来たのはきっと大斗とコンのせいではないだろうとここに書き記しておく。


現在のカタログポイントは17943となっています。


やべえ、ちょっと変態度が上がり過ぎた……設定した当初はここまで変態にするつもりはなかったのに……皆さんの反応を見て変態度の再度設定をしたいと思います。


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